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城に入ると使用人たちに囲まれたジャスミンたちは、簡単に経緯を説明して、国王に会うことになった。国王やウォーレスに伝わっていなければいいが、と思っていたのだが、伝わってしまっていたらしい。仕事が手につかず、二人して執務室をうろうろしているそうだ。王妃は「一時間やそこら城下町にお忍びで散歩に行ってるんじゃない?」とあきれているようだが。
ドレスを着替えることなく、簡単に身なりを整えて、応接間に向かった。
「ええと、リュディアスさまたちはお帰りいただいてもかまいませんが」
応接間についた時、リュディアスに一応聞いてみる。むしろ帰っていただいたほうが、面倒がなくていい気がする。言わばジャスミンを誘拐した犯人であるリュディアスがいると、国王とウォーレスは大変怒り狂うだろう。ましてやそれが竜族となれば、またややこしくなる。
「いや? 国王に挨拶せねばならないからな」
だが、ジャスミンの願いむなしく、リュディアスは国王と面会する気満々のようだ。
「そうですか……」
「ジャスミンと結婚のゆるしをもらわなくては。ああ、まだ未成年であれば、婚約が先だな」
「「話がややこしくなるので、それは絶対にやめてください」」
「ジャスミンさまをお連れいたしました」
メイドが応接間の扉をノックする。中からの返事を待って、重厚な扉を開く。
「ご心配をおかけして申し訳ございません。ジャスミンが参りました」
入室したジャスミンが深々と淑女の礼をとる。そのとたん、
「ジャ、ジャスミンー!」
小走りに駆け寄って抱きついてきたのは、ウォーレスだ。玉座の両脇に控えていた騎士たちも、ジャスミンの元気そうな姿を見て、安堵している様子だ。
「お、お兄さま。く、苦しいです」
ジャスミンの訴えに、
「お前の無事が嬉しくてな。悪い」
ウォーレスは力を緩めたものの、ジャスミンを抱きしめたままだ。
じろり、とリュディアスたちに目を向ける。
「ええと、こちらは?」
「あとでご説明します」
「ジャスミン、無事で安心した」
両親はさすがに兄のように駆け寄って抱きつくような真似はしないが、国王は目を潤ませている。母である王妃はごく普通だと思うが、国王とウォーレスはジャスミンのことを溺愛しているのだ。
「それで? 何があった、ジャスミン」
「私からご説明させていただきます」
ジャスミンが口を開く前に、さっとリュディアスが進み出る。
(この人こういう凛々しい顔もできるのね)
ジャスミンの前では基本的に締まりのないデレデレした表情が多かったため、内心こっそり感心した。
「ええと、あなたは? ……竜族、ですか?」
進み出てきたリュディアスに、国王夫妻とウォーレスは驚きを隠せないようだ。
まずはジャスミンに目がいったため、ようやくリュディアスたちの羽に今気づいたらしい。
「いかにも。私が竜族の長を務めております、リュディアスです。単刀直入に申し上げますが、私とジャスミン殿は番です」
「つが、い? 番とは?」
初めて聞く言葉に国王たちは困惑を隠せないようだ。




