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切り裂きカンズめ」
私は、困っていた、そこには、年齢が、点でバラバラ
腐っているものから、新しめのものまで
そこに、無造作に、積まれているものは、みかんでも
缶詰でもない、人間の耳なのだ
それを見て鑑識のジジイは
「これじゃあまるで、太閤秀吉だな」とあまりしゃべらないくせして、そんなことをつぶやいた
それは、小学校の中庭の日陰
あまり人目の付かない場所にあったものを、かくれんぼ中の小学生女子「田嶋花子」により発見されたのだ
「しかし、これは一体どういう分けか
もしかして、作り物ってことはないよな、もしくは、豚の耳とか」
鑑識のジジイは、首を横に振り
あきれたように、そうしたあと
わたしを、駄目だなとにらんだ
「そうですよね、じゃあ、培養だ
なんでも、ネズミの背中に、人間の耳の形の組織を作ったのを、見たことがありますよ、私は」
しかし老人は、それも否定した
それはそうだろう、確証はないが、それなりの技術が必要なはずだ
もし、これが廃棄処分だとしても、こんな無造作な捨て肩をするとは思えない
「じゃあ、人のですか」
老人は、大きく頷いた
人となれ合わないが、仕事だけは、確かである
そうと、プロが言うからには、そうなのであろう
「しかし、こんなたくさんの、人間の一部を、切り取ったんだ
事件の一つくらい、表沙汰になっても良いはず何だけどな」
わたしは、そうつぶやいたが
老人は、仕事が終わったらしく、もう姿は見えなかった
「それで、血液検査は、すべて、不明と」
私は、書類を、見て、頷いた
「ええ、犯罪歴など、皆無でした
ただ」
ただなんだ、警部が、こちらをみる
話は最後まで聞きませう
「ただ、すべてではないですが、ほとんどが、冷凍されたものでした、それも、かなり古いものから、新しいと思えるものまで」
警部は、苦い顔をさせて天井を、見たかと思うとまたこちらをみた
「いやんなっちゃうよな、赤ん坊の耳まであると言うじゃないか」
私は、資料に目を通す
一歳未満から八十以上
「ええ、しかし、どこから持ってきたんでしょうか」
警部は、さらに顔をしかめ
「そりゃあ、どこなのか調べるのはお前等の仕事だ」
そういって、回るいすを回転させて
私とは反対側の窓を見ている
そのあと振り向くことはなかった
「しかし、今度は、鼻ですか」
「ええ」
教師の顔色は悪い
あまり、先生と言う種類が好きではないが
まあ、気の毒と思わなくもない
「大丈夫ですか」
投げやりな肯定をうなずきで返す
「申し訳ありませんが、しばらくは、学校は、封鎖になりそうなんで、そこら辺お願いします」
あたりには、じわりじわりと蝉の声が、響いている
この熱さで腐った鼻のにおいが、ブルーシートのむこう側から、僅かに臭って来ている気がする
「まあ、お願いします、教職員の方々は
一時的に、公民館・・合田地区のあれは中々良いですよ、田舎のくせにエアコン装備してますから」
教師は、同じく頷くと、顔色悪く戻っていく
私は、鼻をこすった
どうも臭い
その年、巨大な停電が、小さな村を襲った
それは、隣町から引かれた電線の一部が
土砂崩れによる倒木と地盤流出により
壊滅的に百メートルほどの場所が、使えなくなり
結局、急な崖だったこともあって
全面的な、回復まで、二週間も要することになった
そのほかの要因として、大都市の停電も重なり
最果ての村は、そこまでの人員は割けなかったようである
まあ、テレビが、みれないくらいで、大した被害は、無かったとも思えるが、おんなしょうの場合は
風呂が、わかせなくなっただったとか
家は家で、大変だったようだが
普段家事をしない私からしたら、どうも、大変さが分かっていなかったらしく、えらい起こられた
今回の事件も、電気が復旧したのと、同じくらいに
学校に置かれていた
私は、検死も終わり
一人火葬場にいた
都会だと早いらしいが
こんな場所だと、えらく時間がかかる
私は、遺族不明の体の一部たちを
燃やすのを待ちながら、何気なく煙突を眺める
窓から見える、白い煙は
それだけで、魂のようなものがあるのではと思わせなくもないが、嫌なにおいは、どうも、切っては離せない
「あんた、暇そうだな」
いつもいるジジイが、そう言った
「暇ではないですよ」
実際暇だが老人を見て言う
かたっくるしくスーツを着ている老人は
農作業をしている祖父達とは違い
何か、気品のようなものを感じられる
そう見れば、あの気難かし屋の鑑識のジジイに、似ていたりする
「こんな、いろいろな人間を、一度にやくなんてこと
無いでしょ」
老人は、押し黙っていたが、どういう分けか目だけは笑っていた
「そうだね、戦争中は、ごちゃ混ぜに、とにかく焼いたが
最近じゃ、無いね」
果たして、この老人が、いくつかは知らないが
かなりながいきだとは分かる
「今回の事件、おじいさんも知っていますか」
老人は、背を伸ばし今燃えているはずの釜の扉を見て
「ああ、新聞で騒いでいたね」と言った
「おじいさん、耳とか鼻とかが、無いご遺体を見たことはありますか」老人は、こちらを向いた
その目は、やはり同じだった




