年齢の雑学
「もうすぐ4月だねー」
物寂しそうに一ノ瀬は言う。
そんな彼女に津樂と霧崎は素っ気無い返事で返した。
「そだな」
「そうね」
「なんか冷たくない!? もう4月だよ。もうすぐ3年生になるんだよ!」
「あぁその心配はねぇよ」
津樂が言うと一ノ瀬は頬を膨らませて、
「馬鹿にしないでくれる! いくら私でも留年は問題ない……はず」
「一気に勢いが消えるあたり留年の心当たりが滲め出てっけど」
「でも一ノ瀬さんが気にする必要はないわ。あなたを含めて私達全員3年生にはならないもの」
「え、皆も留年の危機!?」
「“も”ってことはお前は危機なんじゃねぇか。霧崎が言いたいのはそんなことじゃねぇよ」
「どういうこと?」
「サザ〇さん見てこい」
津樂が言うと、一ノ瀬は首を傾げた。
そんなこんなで今日も雑学部は特にすることが無く時間を潰す。
いつものように一ノ瀬が会話の始まりだ。
「そいえば私の友達の妹が4月1日生まれらしいけど、『じゃあクラスで1番早く誕生日が来るね』って言ったら、なんでかその子が1番最後に誕生日がくるみたいでさー。4月1日から新学期が始まるのに上の学年になるって不思議だよね」
「別におかしくはねぇだろ。学年で1番早く誕生日が来るのは4月2日。つまり、4月1日生まれは1つ上の学年になるんだ」
「どうして? 新学期は4月1日からなのに」
そんな質問に霧崎は門に目を向けたまま、
「民法百四十三条、“週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する”ということになってるわ」
首を傾げる一ノ瀬に、津樂は読みかけの本を閉じて、一ノ瀬に向き直る。
「いいか。法律上で年齢が上がるのは前日の24時になるんだ。今回の場合4月1日生まれの人は法律上3月31日の24時になる。だから4月1日生まれの人は一つ上の学年になるんだ」
「なんかややこしいね」
「でないと2月29日生まれの人は4年に一回しか誕生日が来ないしな」
津樂が言うと、一ノ瀬は胸の引っかかりが取れたようにすっきりした表情だ。
「そういえば二人の誕生日っていつなの?」
「俺は7月12日だけど」
「霧崎さんは?」
一ノ瀬が聞くと、霧崎は何処か照れ臭そうにして、
「4月……5日」
すると、一ノ瀬は驚嘆の声を漏らしながら勢いよく立ち上がり、
「誕生日会しなくちゃ!! ね、達也君!」
「ぇぁ、あぁ……」
一ノ瀬の勢いに負けてめんどくさいとも言えなかった津樂であった。
さ~て次回の雑学部は――
こんにちは津樂です。
霧崎の誕生日が近いということで俺と一ノ瀬は誕生日プレゼントを買いに行くことになりました。因みに最近俺の誕生日は妹しか祝ってくれません。悲しくなんかないし……
さて次回は、『誕生日の雑学』『エイプリルフールの雑学』『漢字の雑学』の三本です。
次回もまた読んで下さいね。ジャンけん……ポン✌




