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王国潜入開始

後書きに重大発表があります。

「くにさき」艦上にて


「ではお気を付けて」


「あぁ、行ってくる」


ヘリのダウンウォッシュで起こる突風の中で俺と留守を任せるメイドはお互いの無事を祈った。今日は作戦決行の日だった。


「メリア、風魔法を頼むぞ」


メイド達と無事を祈った後に俺はメリアに頼む。メリアは笑顔で「任せて!」と元気よく頷くと少しブツ部としゃべった後に彼女の手の中で緑色の光が生まれた後に四方へ飛ぶ散っていった。しばらくするとあれだけ煩かったヘリの爆音が嘘のように静まりかえっている。


「よし、成功だ!」


「どうよ!」


これはメリアの風魔法のお蔭だ。これによりヘリの周囲の音を遮断して聞こえなくしているのだ。これなくしては深夜での王国潜入は不可能だっただろう。


「システムチェック・・・・OK。じゃあ、行くぞ。ビビるなよ」


後ろにそう言ってヘリの操縦桿をぐっと握って持ち上げる。すると機体はゆっくりと持ち上り、中はおぉと驚きの声を漏らし、外は音が聞こえないが他人から見ても分かるほどに目を見開いて驚いている。


(なんかいい気分だ・・・・)


他人が自分が操っているのを見て驚いていると気分がいいと思うのは自分だけだろうかと思いながら機体を慎重に上げた。

完全に上り切ったのを見て俺はヘリの進路を王国側へと取った。





「真っ暗だな」


「そうですね・・・私も少ししか見たことありませんでしたが少なくともこんなに暗闇が広がっていた記憶はありません」


王国で過ごしていた経験がある俺とミルシアは数か月でまったく風景が180度変わってしまった王国の風景に息を飲みしかなかった。

メリアも息を飲んでいるが王国が静まり返っている不気味さよりも自分が今、空飛ぶ乗り物に初めて乗っているという興奮の方が強いのか、少しだけだが周りの人間よりも元気そうだ。


「しかしここまでとはな・・・・・」


機体の全員の様子を見るともう一度暗黒へ飲み込まれた大地を見た。以前、仕事でここに来た時にはこの場所は松明や光魔法の光源がそこら中で灯っていたが帝国の本土進攻でわれ先へと人間が逃げ出したためにゴーストタウンになった街では人の姿はなく、代わりに暗闇で蠢くものがある。おそらくは魔獣だろう、狩りをする冒険者たちも逃げ出してしまった為に魔獣が大量増殖をしてしまったのだ。


「ここはダメだな。そっちはどうだミルシア?」


隣で双眼鏡を覗いて周囲を捜索していたミルシアに聞いてみるが結果は首を横に振るだけだった。


「ダメです。やはりここは無理でしょう。当初の予定通りに行きましょう」


「そうだな。しかし出来れば誰かいればよかったんだが・・・・」


出来れば多くの人間を助けたい気持ちは誰しもが同じであった。だが下の結果がアレなのだから自分達に出来ることはもう何もなかった。

惜しむ気持ちを堪えてヘリの操縦桿を動かし、進路を東へと向けた。







森から帰った俺は帝国兵から奪い取った戦利品をどっさりと机に置いた。


「はぁ・・・・疲れた」


「まぁ、こんなにたくさん。今日も帝国兵に会ったのかい?」


「うん、そんなところ」


疲れてため息を吐いていると部屋の奥から母さんが出てきた。机の戦利品を見て驚いた顔を一瞬、するが俺の言い分を聞いて顔を顰める。


「危ないって母さんいつも言ってるでしょう!どうしてそんな危ない事をしたのよ!」


「母さんだって分かってるだろ?王国軍は壊滅してしまってもう俺達を守る者は誰もいない。自分の身は自分で守るしかない。これも母さんと自分の生活を守るためなんだ。分かったくれよ」


「それであなたが死んでしまったら元も子もないじゃない」


母さんは今にも泣きそうな顔をしている。その顔を見て俺の心の中に少しだけ罪悪感が湧くがそれが母さんの狙いなのだから乗るわけにはいかない。


「ごめん・・・・・だけど今更やめられないんだ」


居たたまれなくなって部屋を後にする。母さんが呼び止める声がしたがもうあの部屋に戻る意思は今の俺には無かった。階段を上り、自分の部屋へと行く。


「はぁ・・・・・」


ベッドに飛び込んで柔らかいベッドの感触を体で感じながら俺はため息を吐いた。

既にここでの生活は二か月を過ぎている。王国軍が負けはじめたくらいからここで各地から逃げてきた難民達で村を作っているが最初期に持ってきた食料などの物資は既にそろそろそこを尽き始めていた。

その為に俺などの若い男手で帝国軍の物資などを強奪したりなどして何とか食いつないでいる状態だ。既に何人かは村の中で盗みをやらかすようになってしまった。このまま状況が悪くなればこの数はもっと膨れ上がってしまうだろう。


「くそっ・・・・どうすればいいんだ」


この絶望的な状況に思わず歯噛みする。こんな状況なのに何も状況を変える程の力を持っていない自分の力量が悔しかった。


「うっ・・・・うぅ・・・・」


気が付けば涙が溢れていた。俺は泣き疲れてそのまま眠るまでずっと泣き続けていた。







帝国軍陣地にて


私____帝国軍王国侵攻軍の最高責任者であるウッド・ゲルは普段は歩かない帝国軍兵士達の野営地を自分の足で歩いていた。


(くそ、将軍であるはずの私がどうしてこんな手間を・・・・)


歩きながら私はこんなことをしなければならなくなった”彼ら”に対して悪態を吐き続けていた。これが普通なら私は出向かずに部下の下士官などに任せるのだが今回ばかりはそうはいかなかった。これは帝国軍議会からの直接の命令なのだ。命令違反をすれば降格どころか自分の首が物理的に飛びかねない。

ということは自分が会う相手はそれほど帝国にとって大事な相手という事だ。帝国がそれほど大事にする相手はこの世界を見渡してもそうそういない。


(さて・・・・前と同じところにあればそろそろのはずだが)


私の記憶が正しく、陣地転換してなかればそろそろのはずだった。普段の移動は馬車を使っている私にとってはやはりこの距離でも疲れるものであった。


(少し体がなまってきてるのかもな・・・・)


そんな自分の体に内心嫌気を感じていると段々と周囲の風景が変わり始めていた。


「これは二度だが・・・・やはり壮観だな」


思わず声が出てしまう程だ。その陣地では”鋼鉄の馬”達が綺麗に並べ立てられていて体を休めており、向こうの林の方には見えないがたしか鉄の竜が羽を休めていたはずだ。それでもやはり一番目を引くのはやはり”鋼鉄の地龍”だろう。あの巨大な図体と砲身。我が帝国陸軍と帝国海軍に配備されている最新の大砲でもアレに勝るものはないだろう。

その中を歩きながら一つの天幕にたどり着く。その入り口前に立っていた兵士は何やらブツブツと一人ごとを呟くと「こちらへ」と天幕の中を指さした。


「おや、こんな時間に何のようですかなウッド将軍?」


その細身の男はこちらの姿を見つけるとニヤリとほほ笑んだ。どうやらここに来ることは計算済みのようだった。心底胸糞悪い。


「そなた達に頼みがあって来た」


「頼み?それは緊急のご用件で?」


私は事情を説明していた。彼は真面目な顔でそれを聞いていたが聞き終るとさっきまでの顔が嘘のように微笑んだ。


「いいでしょう。丁度、部下も不満が溜まっていたところです」







その男___たしかダイカンミンコク陸軍という組織の長の男は私の背筋が凍る程の笑みをもう一度見せた。


お知らせです。近頃、予定が取れなくなってきたのと時間に追われてストーリーと文章が雑になってきたのでここで一回落ち着こうと思っています。(もしかしたら大幅にストーリーを改変したリメイクを出すかもしれません)なのでしばらく休みます。

今まで見てくれた方、本当にすいません。次は皆様のご期待に添えるように頑張ります。


ではよいお年を。(この作品は一応続けていくつもりです)



注意 特定の組織を批判または差別するような内容は書かないように心がけるつもりです。

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