メリアは過去を語る 前篇
お待たせしました。今回はメリアがいかにして62式を手に入れるのかを書きました。
メリアはゆっくりと当時のことを話した。
「そうね、あれは一年前のことだったわ」
彼女はどこか懐かしみ、そして楽しそうに語った。
一年前
「メリア、私達はここに居るから遊んできなさい」
私はお父様とお母様といっしょに旅行に来ていた。まだ寒くなる前だったから快適な日だったのを覚えている。
「はーい!」
私は久しぶりの空に若干ワクワクしながら出かけたわ。お父様とお母様の姿は最初のうちはあったけど途中から見えないくらいまで奥に進んで行ったわ。
「あれ?」
そして私は気が付いたの。いつの間にかかなりの奥に行っていたのを。
「え?え?」
私は急に心細くなってしまってしまったわ。私は滅多に外に出ないから余計にね。地図は無いし、メイドはいない、私にとってはどうしようもない時に後ろから声をかけられた。
「どうかしたの?お嬢さん」
私は振り向いた。そこにいたのは茶髪の女性だった。そしてそれが私と彼女の最初の出会いだったわ。
「あなたは何をしていたのかな?」
最初は怪しい人だと思ったわ。私のように何も装備を持っていない方向音痴ならまだ分かるけど彼女は見るからに山に登るような恰好をしながら茶色や緑が混ざった色の服を着ていたわ。
「あっ、待って!怪しい者じゃないよ!」
私は逃げたわ。このまま彼女と話して気を許して隙に何かされると思ったからね。今、思えば馬鹿な行為だと思っているけど当時にしてみればまだ外になれて間もない時だったから怖くなったんだと思う。
「待って!待っててば!」
私は逃げた。逃げて、逃げて、逃げまくった。それでも彼女は連いてきた。その反面、私は走り慣れていない身だったから心臓が破裂するくらい体が痛くなっていた。
「ほら、捕まえた!」
「!?」
気が付いた時には手を掴まれていた。
「イヤ!離して!!」
「い、痛い!?大丈夫だから安心して自分で言えた事じゃないけど自分結構かわい・・・・あっ、ごめん、だから落ち着いて!!」
さすがの彼女も捕まえたのはいいけどさすがの彼女も私のような年齢の子を捕まえるのは難しいと考えたのか力を抜いた隙をついて私は暴れまくったわ。
彼女は顔中を怪我にしながら言葉を続けた。
「き、君もしかして迷子じゃないの?ここがどういう森か分かっているの?ここは魔物が出る危険な森なんだ。君ひとりでいたら死ぬよ」
死ぬという言葉に私の体は硬直した。
「よし、いい子だ」
観念したと思ったのか、力を抜いた隙に彼女はすっぽりと抜け出して彼女の顔に一発殴っていた。
「ぐはぁ!?」
とても女性とは思えないような言葉を出しながら彼女は倒れた。更に彼女にとって悪かったのはその倒れた先に手のひらくらいの岩があったのだ。それが彼女の体、特に頭に当たってしまい、そのまま彼女は白目をむいて昏倒した。
「何なのよ、この人」
思わず殴ってしまったっ時には少し罪悪感が湧いたわ。だけどそれだけに捕まるわけにはいかなかったからそのまま放置したわ。
「ええっと、ここね」
でたらめに私は道を進んで行ったわ。道も分からないとしょうがないからとりあえず場所を確認しようと開けた場所に出た。
「やった!!」
広い草原に出た。ここなら場所が分かりそうだと喜んだ。その束の間
「グルルルルル」
「えっ?」
何かの声がした。それは人間の声では無い。明らかに獣の声だった。私は人形のように体を動かしながらその後ろを見たわ。
そこにいたのは・・・・・ダイヤウルフだった。
「しまった!!」
その時の私はこの場所から逃げる事だけを考えていて周りの事になりふり構っていられなかった。当時は外の恐怖でいっぱいで早く家に帰りたいというだけ考えていたからね。だから彼女の忠告を思い出したのもダイヤウルフに囲まれている時だったわ。
『ここは魔物が出る危険な森なんだ』
「あ・・・あ・・・」
世界がここまで恐ろしいと思ったのもこれが初めてだったわ。たぶん彼女がいなかったら私の引きこもりはもっとひどくなっていた。いえ、ここにはいなかったかもしれないわ。
「いや・・・来ないで・・・」
後ろは崖で逃げ場が無かった。逃げ道は全てダイヤウルフ達が塞いでいたからね。ダイヤウルフの一匹が舌の舐めながらこちらに近づいてきた。もうだめだと目を瞑った時に。
「だから言っただろ。ここは危ないからって」
えっと言う暇も無かった。凄まじい音と共にダイヤウルフの悲鳴が聞こえた。そして音が止むと同時にダイヤウルフの声もピタリと止んだ。私は怖かったけど同時に興味が湧いてしまった。
恐る恐る目を開いてみるとそこには地獄絵図だった。
「ひっ!」
思わず悲鳴を上げてしまうくらいにその光景はひどかった。辺り一面にダイヤウルフの死体が散らばっており、どの体にも穴が開いている。
「無事かい?お嬢さん」
そこには先程気絶していたはずのあの女性だった。手には何か大きな棒みたいなものを持ちながらこちらに歩みよってくる。私は未だに状況がよく分からなかったわ。
「立てる?」
呆然としている私に彼女は笑顔で優しく手を差し伸べてくれた。でもそれを手に出来ない私に彼女はため息を吐いた。
「まぁ、こんあ状況で無理ないか」
彼女はため息を吐きながら、服でついた埃を落とし始めた。私はそれを怯えた目線で見るしかなかった。
今回は新しい人物が出てきました。次回は彼女の名前も出ます。




