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お嬢様を助けたら自分の正体に気付かれた

「おらあああ!!」


と勢いをつけてやってきた男に対し、俺は・・・・・。


パン!


死なない程度に撃った。男の顔は最初は余裕の笑みが流れていたが脚に当たった瞬間に表情が変わった。

最初は困惑だった。いきなり視界がぐらりと揺れたのだから当然だろう。次に来たのは当然、痛みに驚く顔だった。いくら拳銃の9mm弾でも当たり所が悪ければ死に至る。


「ぐああああ!!?痛い、助けてくれぇ!」


その言葉にへらへら笑っていた仲間もようやくただ者ではないと気付いたようだ。相手が何を使ったかは分からないもののとりあえず危険な存在というのは分かったらしい。


「痛えええ!何なんだよ、それは!?」


「教えるわけないじゃん、敵なのに」


わざわざ敵に向かって手口を見せると言うのは愚策だと俺は思っている。よく、アニメや漫画で敵のボスとかに「何を使った!?」と聞かれて主人公が答えているが敵を仕留めていないのに手口を見せるのは行けないと俺自身は思っている。

漫画やアニメですらそう思うのだから現実に身を置いている自分は特にその事に関しては敏感だ。


「何やっているんだよ!?さっさとやっちまえ!」


おそらく男がボス的な感じなのだろう。命令すると汗をかきながら、事を見守るしかなかった取り巻きの男たちが一斉に動き出した。その数は丁度、八人。


「うああああ!!!」


「くたばれええええ!!」


大小様々な武器で突進してくる。お前たちはどっからそんなもの出してきたんだと疑いたくなる。同時にどうしてそれだけの力をか弱い少女一人に使おうとしたのかと言う疑問も浮かび上ってくる。

だけど彼らの道がこれ以上間違えってはいけないように俺は撃つ。


パン!パン!パン!


連続した発砲音が八発。倒れた取り巻きが八人。それと同時にスライドがオープンになる。


「どうしますか?」


俺は弾倉を抜いて、新しい弾倉と交換する。


「このまま続けても構いません。ですが今度は力を抜くことが出来ません。それでも戦うのでしたら・・」


足元に倒れている取り巻きの男達は皆、死んではいなかった。極力、足を狙うようにしたがでたらめに動くせいで腹に当たった者もいる。不幸中の幸いは内臓系などの重要な部位に当たっていないことだけだろう。


「今度のあなたの意識は空の上に行くことになるでしょう」


ジャカとスライドが戻る。それを聞いた者達はそれがまるで死刑宣告のように聞こえた。


「お、おいっ!やめようぜ」


「そうだよ。だから俺は最初から嫌だって言ったんだ!」


「こいつはあのガキの護衛で魔女なんじゃ・・・・」


誰が魔女だ。誰が。魔女じゃなくて元自衛官だ。文句あるか!

何か聞いたことがあるようなセリフを聞きながら、最初に突っ込んできたボス的位置の男に取り巻き達が集中砲火で不平不満を漏らす。


「わ、分かったよ。おい、お前!今度会ったら覚えておけよ!」


そのセリフを聞いた時に近くから大きな足音が聞こえてきた。


「やばいぞ。王国の内地軍だ!」


取り巻きが叫ぶ。これほど派手に銃声を馴らしたんだ。それは騒ぎになるだろう。しかしここで捕まるわけにはいかない。俺にはお嬢様を返す職務がある。これから異世界で生きていくにはこれを何としてもここで捕まるわけにはいかない。


「行きますよ。お嬢様!」


俺は未だ呆然としているメリアの手を取って、その現場から逃げた。後ろから「離せよ!」、「痛い!」

「おとなしくしろ!」などの男達と内地軍と思われる声が聞こえたがそんなものを構っている暇は無い。

自業自得だ。


「はぁ、はぁ、ここまで来れば安全でしょう。お怪我はありませんかお嬢様?」


俺は屋敷に裏道を使って戻った後、メリアを見た。何か怪我をしていたら大変だったがどうやら目立った外傷はないようだ。目立った外傷を負わせなかったあの男達にはそこだけ感謝しよう。もっとも傷つけていたらあの程度では済まなかっただろう。


「・・・・・・」


こちらを睨んだように見たまま、彼女は止まってしまった。まさか勝手に行ってしまった事でお嬢様の逆鱗に触れてしまったのだろうか。


「あ、あなたは・・・・・」


俺は覚悟を決めた。仕方がない、俺が悪いのだ。目を離した俺が悪い。これでやめたとしても仕方がないと思おう。そう思った時に。


「ようやく会えたのわ!!」


いきなり抱き着かれた。正面から抱き着かれているので視界が暗闇でゼロになっている中でも気がついては行けない触感が顔を中心に伝わってきてしまう。


「あなただったのね!やっぱりあなたを選んでよかったわ。クニサキ・・・いや、クニサキ様!」


いきなり敬語になったぞ。何か理由が・・・・あっ、あったわ。


「まさか銃を扱っている人間に会えるなんて・・・・アレを手にしてから夢にも思っていなかったわ!ねぇ、記念も握手!」


手を掴まれてブンブン振られる。力が強い。腕がもげるぞ。


「と、とりあえずお嬢様、ここでは目立つので・・・・」


「そうね。あなたも身分を隠してきているのね」


あなたは俺に何の期待を込めたかは知らないが現実にはほど遠いような気がする。


「それなら私の作業部屋に来て!」


「作業部屋ですか・・・あの?」


という事はアレが見えるチャンスかもしれない。実はこの方が早かったんじゃないか。それは言わないでおこう。

ということでお嬢様の禁断の作業部屋に行けるようなので行くことにした。外で待機しているメイド長には呼ばれたのでと言って通してもらう。ちなみにお嬢様は逃げてきた道から戻ってもらっていた。だっていきなり部屋にいたお嬢様が外から来たら驚くでしょ?


「クニサキです」


「入って!」


部屋のドアを開けた瞬間に引きずり込まれた。中を見てみるとうぁと言ってしまった。部屋的に言えば良くも悪くもである。そのような評価をつけたのは理由がある。悪い評価はかなり散らかっていることが上げられるが元の世界ではない、この異世界であるがなぜかこの部屋はひどく既視感を覚えてしまった。


「よくここまでの設備を整えれましたね」


「あなたにそう言ってもらえると無理してお父様とお母様に頼んだ甲斐があったものよ」


そう言って喜んでいる彼女を見ながら、俺は目を細めて本題に入った。


「単刀直入に言いましょう。アレはどこですか?」


すると目に見えてメリアが動揺した。理由は大体分かっている。


「どうしてそれを!?」


「お嬢様も自分の持ち物くらいはしっかりしてください」


そう言ってメイド服から一枚の紙を出す。彼女はその紙を見ると「あっ」と言って体中を触りまくった。それをしてようやく自分が落としたことに気が付いたらしい。


「部屋の中で落としたと思っていたわ」


「はぁ、大体そんな事だろうとは思っていました」


気が付いていない辺り、そうなのだろうと予想は立てていた。だが今はそんな事はいい。アレがあるのかを確かめなければならない。

彼女は若干、目を逸らしている。俺はその視線を追うと布に包まれたものを見る。


「それですか?」


「うっ・・・そうよ」


若干、名残そしそうだ。仕方がないと言えば仕方がないが。

俺はその大きく膨らんだ布を一気に取っ払った・その中には予想通りのものが入っていた。


「・・・・・62式機関銃」


俺はソレの名前を言う。


62式機関銃とは現在自衛隊が配備しているMINIMI軽機関銃の前に配備されていた機関銃である。

かなりのいわくつきの代物で配備部隊や一般からも不名誉な名前を頂戴していた銃だ。


「どこでこんなものを?」


見たところ、あまり損傷はしていないようだった。直している線も考えらるがそこまで傷まで隠させるはずが無い。


「それがね!すごいのよ!」


さっきまでの静けさは何だったのか、彼女は元気よく当時の状況を語り出した。

はい、今回登場した銃は62式機関銃です。えっ、なぜ劇中で名前を言わなかったですって?

それはね?(目逸らし)そんな事よりも次回はメリアの回想編です。


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