ゴールデントライアングル
うつぶせに眠り、身を縮めていた遥の上に覆いかぶさって、懐に収めるように眠っていたルベウスが目を覚ます。
健やかな寝息を立てて眠る遥のおかっぱから除く首筋にはいくつもの口付けの痕がある。
その体に遥用の掛け布団を掛けてから、ルベウスは部屋を出る。
遥にシャワーも浴びさ前日、眠りに入る前にぐったりとした遥にはシャワーを浴びせたので二人は清潔だ。
ルベウスはそのままショーツだけを身に着けて部屋をでた。
今の時刻は7時少し前、ルベウスの出勤にもまだ余裕がある。
そんな時間でも既に翠は朝食を作り始めていた。
「おはようございますミドリ。毎朝ご苦労様です」
「おはようルベウス。遥ちゃんはどうしてる?」
「疲れてぐっすりですよ」
「そう。じゃあご飯できても保温機に入れておいたほうがいいかしら」
「ええ、そうしてあげてください。貴女も解っていると思いますが、ハルはへとへとになるまでしますからね」
「……そうね」
自分がされる時を思い出したのか、少し顔を朱に染めながら、頷く翠。
しかし、その後に口を開く。
「遥ちゃんとずっと居られて、お嫁さんになれて。ありがとうね、ルベウス」
「気にする事はありませんよ。貴女は私の見立てどおり遥を支えるのに必要な人になってくれた。それだけで十分です」
そんな短い会話を交わしてから少しして、朝食の用意が出来たので二人でそれを食べた。
ルベウスはその後自らの部屋に戻り身支度を整えると、遥の様子を翠に見るように頼むと、今日も尻尾を切り落とす為に出かけるのだった。
「ふくすべー!……あえ?あ、ルベウス様の部屋だ……なんだ夢かー」
包まっていた掛け布団の中からはっと身を起こしパジャマ姿を現わした遥に、ちょっとだらしなく緩んでいた寝顔を見つめていた翠が声を掛ける。
「おはよう遥ちゃん。朝ごはんできてるけどすぐ食べる?」
「おっはよー翠ちゃん。んとね……すぐ食べるよ」
目を擦りながらお臍の上に手を当てて少し考えた遥はぱっとベッドの上から降り立った。
太すぎない身体だが、胸もそれなり。
豊穣の象徴のような豊かなスタイルのルベウスや、全体的に大きい翠とは比べるべくも無い。
そんな遥のすこし乱れた髪を手櫛で整えてあげながら、翠は遥とリビングに出て行く。
そしてテーブルの上に並んだトーストに数種類のジャム、ベーコンとほうれん草のソテーに牛乳を平らげる遥を見ながら、翠は言った。
「そういえば遥ちゃん、最近運動してないよね。ジムに行かない?」
「ジムかー。ん、いいよ。じゃあ今日はリフレッシュにあてよっか」
「うん、そうするといいと思うわ。3日ぶりの外出ね」
「ありゃ、まだ3日?なら家で書きたいかなー、なんて」
「ダメよ遥ちゃん。貴女そういって油断してるとずるずる外でなくなっちゃうんだから」
「あはは……だってお話を書くのがあんな楽しいだなんて知らなくてさー」
あっけらかんと笑う遥に、翠は釘を刺す。
「もう、遥ちゃんはそうやってのめりこんじゃうんだから。やっぱり私が見て無いとね」
「う、うぅ。ゴメンナサイ」
「いいのよ。私遥ちゃんの事見てるの好きだから」
じっと見つめられながら翠にそういわれた遥は、慣れた様子で食べ終わった食器を片付けながら言った。
「えーっと、ジム行くのって何時ごろから?」
「爽やかな朝の内にいっちゃいましょ。まぁ何時に行ってもいいんだけど、午後にはルベウスが帰ってくるでしょ?それなら早くでて早く帰ろう」
「はーい、じゃ着替えてくるね」
「あ、私も一緒に着替えるわ。遥ちゃんの着替えもしてあげようか?」
「それはいいよー。翠ちゃんの用意する服って大抵着物だからね。慣れなきゃ」
「解ったわ。それじゃあ着替えようか遥ちゃん」
「うん。そーしよう」
こうして二人とも衣裳部屋に入ると、お互い話ながら着ていく着物を選ぶ。
「爽やかな運動しに行くんだから青系の着物がいいかなー」
「若葉色とかもいいと思うわよ」
「翠ちゃんは緑系の色好きだよねー。やっぱり自分の名前と同系色だから?」
「ん……それもあるけど、やっぱり見た人を落ち着かせる色合いだからかしら。自分の気持ちもなんだか落ち着くし」
「そっかー。ん……じゃあやっぱり今日は翠ちゃんとお揃いで行こうかな」
遥のお揃いという言葉に、翠は素早く反応した。
すっと衣装箪笥を開き、どこに何が入っているのかは解っているというように、自分と遥の分の瑪瑙色の着物を取り出す。
「はい遥ちゃん。自分で着れる?」
「大丈夫!だと思うー」
二人ともパジャマ、と言っても翠は襦袢だったが、を脱いでそれぞれ着物を羽織る。
遥は下着を着けているが、翠は体型補正用のサポーターだけ身につけて下着はつけない。
着物に下着の線が出るのを嫌って、彼女はいつもこの状態である。
翠は本当は遥にも線が出るような下着はつけて欲しくないようだが、遥は下着だけは自分で選んでいる。
その後、帯を留める所だけ翠にやってもらった遥は、室内にあった個人認証用端末を小さなバックに仕舞いこみ、軽い足取りで家を出た。
翠もそれに続き、例によって護衛の男達が二人の周りを囲む。
そしてスーパーに行く時のように車での移動でも囲まれて30分ほど掛けて、ジムと呼ばれる身体機能調節施設に移動する。
小難しい名前は付いているが、人口増加と身体を動かす場所が限られている為に自然と生まれたスポーツをする為の施設だ。
公園もあるが、今回はあくまで身体の調子を整え、活性化させるための運動を行うのが目的であるため、そういった専門施設で運動する事を選んだ。
こうして到着したジムで、個人認証用端末で会員である事を証明すると、まずトレーニングウェアに着替える為の更衣室に通される。
薄手ながらも汗を良く吸い、身体に馴染むトレーニングウェアはジムに入会すると身体のデータを取って専用の物が作られる。
このウェアには体型の変化を感知する機能が備わっていて、その変化が望ましくないものであれば、それを補正するトレーニングプランを提示する端末へと情報を送信する。
それを受けてジムの会員はそれぞれ運動をするわけだ。
しかし遥は翠が監視について貰わないとこのプログラムをこなせない。
いや、こなせる事はこなせるのだが、遥は集中しすぎてオーバーワークをしてしまうのだ。
以前、遥は富士山を40分で登りきったが、あの異常な身体能力は登山をする時にしか発揮されないらしく、純粋な肉体的には至って平均的な物しか持って居ない。
それなのに放って置くと筋肉が痙攣を起こし運動が出来なくなるまで、ぼんやりと創作の事を考えながら体を動かしてしまうのだ。
だから遥が運動する日はいつも翠が付いている。
翠が運動したいと思ったらまた別の日に、1人で執筆をしている遥を自宅に置いて、という事になる。
まずウォーキングマシンで遥は散歩感覚で歩き始める、遥は比較的小まめにジムに通っているのでそこまで激しい走りこみではない。
仮想映像を写すヘッドマウントディスプレイをつけての散歩はそれなりの楽しみを遥に与える。
映し出される仮想映像は好きな年代・ジャンルを選べるので、今の遥は蒸気のもやと煤に包まれた500年ほど前のイギリス地方のレンガ造りの街中を歩く。
視界の端を通る人々、街中の喧騒、それらのものが再現される中を遥は歩く。
しばらく過去の町並みの中を歩いていた遥の視界の端にトレーニング終了を示す赤いランプが付くが、遥はそれを無視して歩き続ける。
歩行者が行き来する道から見える黒く、先端に向かって丸みを帯びつつ細まる、全体に曲線の多い古いデザインの車を目で追ったりしながらだ。
だがそれも唐突に現実の光景に戻る。
「はれ?」
「遥ちゃん。歩きすぎ」
「もうそんな時間?」
「1時間くらい歩いてるわよ。少し休憩ね」
「うん、解った。ありがとうね翠ちゃん」
はふ、と息をつく遥に翠はスポーツドリンクを渡す。
「翠ちゃん。ウォーキングマシンの傾斜は0だったよね?」
「うん。本当は負荷を掛ける為に傾斜を掛けた方がいいんだけど、傾斜があると遥ちゃんの体は登山っていう認識をしちゃうから、ちゃんと傾斜0よ」
「そっかー。じゃあ安心だね。この程よい疲れが気持ちいいや」
ウォーキングマシンから降りて遥はスポーツドリンクを飲み干す。
そんな彼女と翠はこの後のプランを確認する。
「じゃあ30分休憩して、その後背筋のトレーニングを小休止入れながら4セットやって、その後は体を解すマッサージ。12時少し越えてしまうわね」
「お昼過ぎちゃうかー。お昼どうしようね」
「ジムのカフェで良いんじゃないかしら」
「カフェかー。でもここのカフェのメニューってサプリメントが入ってくるよね」
「ああ、サプリメントはあんまり好きじゃないんだっけ。遥ちゃんは」
「うん。なんだかご飯1回分、とは言わないけど。なんだかご飯食べるの損してる気分になるんだよねー」
「それならちょっとお昼ご飯遅くなるけど、家まで我慢する?」
「する!翠ちゃんのご飯の為なら我慢するよー」
少し汗ばんだ、遥は火照った身体で翠に抱きつく。
その柔らかな感触に翠が相好を崩すと、彼女は遥に言った。
「じゃ、じゃあ休憩時間中ちょっとお話してようか」
「あ、うん。そういえば翠ちゃんって着物買うけどさ、ああいうアナクロなデザインって探すの大変じゃない?」
「それがそうでもないよの。逆にしっかりと系統だったカタログが出来てるから、好みの着物を見つけるのなんて簡単よ」
「そうなんだー。情報端末で簡単に探せる?」
「慣れればね。その時にしかない一点物の着物とかあるから、そこは気をつけなきゃいけないけど。あぁ、後私は端末じゃなくて近くに専門店の肥後屋」
「一点物!なんかそれ豪華な響きだねぇ!」
「そうね。この時代に手作りで一着作っちゃうんだから。豪華よね」
「で、でもさ、さすがにそんなのばっかりじゃないよね?」
「それはね。そんなのばっかりだと着物着たい人に物が行き渡らなくなっちゃうわ」
「だよねー。ちなみに私のって一点物?」
「普段使いするものだから量産品よ。一点物、欲しい?」
「い、いい!汚してダメにしちゃいそうだし!」
「遥ちゃんらしいわね。でももし、この先きちんとした場所に出るなんて時のためには一点物が一着くらいあっても良いわよね」
「うー、いいよ。私がちゃんとした場所に出ることなんて無いだろうし」
「そうでもないわよ。ルベウスが凄く稼いだりしてるから、公的とはいわないでも真面目な場所に出る事はあるかもしれなわ」
「え?ルベウス様ってそんな稼いでるの?」
「その辺りの事はマンション一つぽんと買っちゃったあたりで察するべきだよ遥ちゃん」
「え、あぁー。うん。そうだよね。普通私達みたいな少人数であんなマンション買えないよね」
「遥ちゃんの小説もそこそこ売れるようになってはきてるけどね。やっぱりルベウスの稼ぎが大きいわ」
「そういえばさ、ルベウス様ってどんな仕事してるんだろう。全然そういうお話してくれないけど」
「んー。今のところ製薬に関する仕事だとは言ってたわね」
「製薬業かー。ルベウス様頭良いもんね。研究員なのかな」
「かもしれないわね……と、そろそろ休憩終わりよ遥ちゃん。背筋を鍛えましょ。座ってするお仕事だからきちんと鍛えないとね」
「はーい。それじゃいこっか」
スポーツドリンクの容器を回収ボックスに放り込むと、目一杯背伸びをして遥は背筋を鍛えるマシーンのある部屋に移動する。
当然翠もそれに続く。
背筋を鍛えるトレーニングには細かい休憩が必要なため、これから先はより一層翠の監督が必要になる。
そうして二人は昼過ぎまで身体を動かすと、帰る前に先日翠が通っていたスーパーで買い物をしてから帰った。
お昼の天カスとキャベツたっぷりのお好み焼きを食べた後、遥は執筆作業に戻る。
文章作成端末の前に座り、それまで構築してきた展開から、自分はこの先どう話を作りたいかを練り上げる。
それは反射行動のように浮かんできて、取りあえずは思ったように打ち込む。
学生時代に翠には告白自体はあっさり済んでと提案されていたが、この話はまだ告白までたどり着いていない。
まず、魅了の声を持つ少女が、徐々にその力をまして、弱い生き物に囲まれていたのが、徐々に強い生き物を使役し始める。
その力はその世界では比較的ありふれた物だったので最初はさほど注目はされなかったのだが、急速に高まるその力で徐々に周囲から圧力が高まる。
彼女を兵器として使おうとするもの、仮想敵として認定して暗殺しようとするもの、彼女の力のおこぼれにあずかろうとするもの。
それらによって生まれるしがらみから逃れるように彼女は、伝説にある絶対唯一の孤高の竜が住むという霊峰を目指す。
安穏を目指す旅の、その旅の最中を描いているところだ。
何度も声で友好的になった、本来人と対立する生き物であるシャイターインと出会い、別れそれがさらに声の力を増していく。
遥のプロットではシャイターインだけでなく、同じ人間でさえ声で狂わせるようになった少女が霊峰にたどり着き、声を代償に孤高の竜と誓約を結び永い時を生きる、という流れにするつもりだ。
だがそれは先の話今は担当編集者と話し合って書き始めた魅了の声の使い方に対する呵責の話だ。
とある街に行き着いた少女は最小限の、騎獣と護衛役の中位シャイターインを伴って居るのを見咎められ、街の近辺に居るシャイターインを狩るのに協力を求められる。
それは声で魅了されたシャイターインを一方的に駆除する作戦なのだが、幼いことから下位のシャイターインと戯れてきた少女は、シャイターインを純粋な敵として見られない。
彼女はそんな状況でどんな答えを出すのか、という流れのエピソードだ。
編集はシャイターインの駆除に協力するものの、少女の力に頼るような討伐隊では倒せない上位シャイターインを出して、仲間を殺させた少女を付けねらうという流れにしたいようだ。
遥としてはシャイターインの駆除に協力する所までは同じでも、それによって金銭を受け取る事に罪悪感を覚えた少女は霊峰への道を急ぐ、という流れにしたい。
遥は自分の望む流れにする為に、編集者を納得させるだけの出来でその展開を描かなければならない。
手抜きは出来ない。
なぜならこれはルベウスと共に生きる事に至る話だから。
現実の自分では満たせない、綺麗で、輝いていて、ルベウスに見合うなにかを持っている主人公を描きたいから。
これを書き上げれば支えてくれるルベウスと翠の二人に、胸を張って自分にも出来る事があると言えるようになる気がするのだ。
遥は書く、ひたすらに思いを広げて稲穂 遥の脳という1個の文章出力装置に、時折翠や編集者から装置に刺激を与える分子を取り込んで糧にしながら。
そうこうしている内に、夕飯の時間が訪れる。
ルベウスも帰っていて、いつものスキンシップ。
彼女が遥の対面に座る前に、そっと遥の頭を一撫でして卓につく。
後は料理が出来上がった後は全員で配膳するのだが、それまでは居間に置いてある情報端末から流される情報を話題の種に会話をする。
今日は動物園から逃げ出したと思われたアライグマが無事に園外に通じるゲート部分で捕獲された、という和やかなニュースが流れていた。
「ハル、アライグマというのはどういう生物ですか?」
「えっとね。ザ・ワンプレイしてみたんだよね、ルベウス様」
「ええ。どの程度私の世界と酷似しているか、施設時代に確認を要請されましたから」
「あの世界で言うとー……アラケットみたいな生物」
「ああ、あの目の下の部分が放射状に黒くなっていて、灰色の毛皮を纏った結構な暴れ者の」
「そーそー。あれをね、私達の膝下くらいの大きさにしたのがアライグマ。ふさふさとしてそうで外見は可愛いんだよね」
アライグマの大きさを表そうと腕を動かそうとして、それを止めて口で説明する。
彼女はこういう細かい事を口で言い表すように努めている。
「ううん、アラケットのサイズになると……まぁ可愛らしいといえばらしいのかもしれませんが」
「大人しいうちはねー。あれ、遠めに見て可愛いなーって思ってると。アクティブだから凄い顔で襲ってくるの」
「ふふ、たしかにアレはそういう生き物でしたね。ハルが初めてアレを見たときは驚きましたか?」
「うん!もーすっごい驚いてさぁ、連れてたお供のテイムモンスター全部突撃させちゃった」
「それはそれは。見てみたかったですね、その時のハルの顔を」
ふわりと微笑むルベウスに、少し罰の悪そうな半笑いの表情を向ける遥。
実はそんな風に驚かされる事は幾度もあったし、慣れていったのも事実。
しかし、一番驚いたのはルベウスの居た神竜の棲みかの反応範囲内で登りきった!と。
そうはしゃいでいたら、次の瞬間には死に戻りしていた事なのだから。
だから、実を言えば遥はルベウスとの初遭遇時、顔を見る間も無く死んでいたのだ。
その事はルベウスにも既に話しているが、軽く笑われてしまい、なんとも気恥ずかしい思いをしたのを遥は覚えている。
こんな他愛も無い会話をしながら、翠の料理が終わるのを待つ二人。
「遥ちゃん、ルベウス、お皿運んでね」
その声がキッチンから届くと、ルベウスと遥は動き始める。
翠の調理した料理を両手に持って手早く並べていく。
そして、全員が席に座っていただきます。
のその前に。
翠が何かを期待するように遥を見る。
それは定例のようなもので、食事の前に席につく時ルベウスが遥の頭を撫でているのを知ってから、自分もそれをやって欲しがるようになった。
当然、遥はその期待に応えてさわさわと翠の頭頂部を撫でる。
すると、翠は遥より高い背を屈めて、もっともっとというように頭を突き出してくるのだが、それに応えるのはほどほどにしておく。
お腹もすいているし、あまりやりすぎると後で揺り返しがあるから。
揺り返しというのはつまるところ、ルベウスも自分も自分もと迫って来て、両手を二人に占められてしまうのだ。
こうなると小説の執筆が出来なくなってしまうので、ほどほどにとどめる。
夫兼妻という、二人の間に挟まれる彼女の立場は、それなりに難しいものなのだ。
ただ、それを難しいとは感じずになんとなく乗り切ってしまうのが能天気な遥らしさだったが。
それを基本として、三人の生活は安定した三角形を作り出し、遥はルベウスと翠に支えられて、悠々自適の執筆生活を送るのだった。




