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お姉さまと幼馴染に、気づいたら囲われてました

 薄暗い校舎と体育館の間の人気のない場所でルベウスと翠は会話していた。

 こそこそと肩を寄せ合って、声を低くして。

それはむしろこの二人こそが愛し合っていて、密会をしているのではないかというように。


「遥ちゃんの共有というのはどういうことなの?」

「私は寛大な女です。ハルのような魅力的な女性ならば、それを求める者が多くなるというのも理解しています」

「それが遥ちゃんの共有はどう繋がるというの。遥ちゃんのお嫁さんの座は渡さないから」

「なら私はハルの夫になります。どうですか、その辺りが私達の譲歩し合えるギリギリのラインだと思いますが」

「……抜け駆けは」


 僅かに警戒の色を出す翠だが、ルベウスは余裕を持って答える。

その声の中には、確実に翠がこの話に乗ってくるという自信が溢れているかのようだった。


「何言っているんですか。ハルを共有する私達の間に抜け駆けなどという概念は存在しません。お互いが、お互いのハルからの愛情を得るための行動に協力しあうんです」

「……その協定を貴女が守るという保障はどこにあるのよ」

「ではまず手始めに、私が貴女を認めた事をハルに伝えましょう」

「ど、どういうこと?」

「一目見れば解りましたよ。貴女はハルに距離を取られている」

「そ、そんな事は……」


 目を逸らす翠にルベウスはずいずいと踏み込んでいく。

本来なら嘘だと反論する所だが、ルベウスの耳を圧倒する美声がそれを許さない。


「なら何故貴女のお嫁さんにしてもらう発言にハルはあんなに言葉を濁すんですか」

「そ、それは貴女に遠慮してただけで……」

「半年です」

「何がよ」

「半年、お互いメールしあい、二日に一度の面会日には二人きりになっていました。でも、貴女の話題は一度も出ませんでしたよ」

「え」

「一度もですよ。私は貴女の存在を今日知りました」

「そんな……」


 諭すような声の威圧感に負け、顔を青ざめガクリとくず折れる翠に肩を貸しながらルベウスは続ける。


「ですがそんな貴女を、私がハルに近づけます。どうですか?」

「……本当に、そんなことができるの?」

「貴女は押しが強すぎる。そこを少し抑えてもらえるなら可能です」

「本当?遥ちゃんが私の事、自分のお嫁さんって言ってくれるようにできるの?」

「約束しますよ。それで、この話に乗りますか?」

「……乗るわ。だから……」

「ええ、貴女をハルの花嫁に」


 そんな悪魔との契約めいた会話を交わして二人は和解した。

そこには打算や明らかに黒い企みも混ざっていたかも知れない。

しかしここに稲穂 遥を連れ添いにする同盟が組まれたのだった。


 この密約の後、教室に戻ったルベウスと、やけに大人しくなった翠の様子に遥は至極安心したのだが、それは別の話。

 ルベウスの契約を果たそうとする動きは即座に始まった。


「ハル。私はミドリと話して理解して頂きましたよ。これからは無理やり貴女を引き止めるような事はしないそうですよ」

「え!?あの翠ちゃんが!?」

「……どういうミドリなのかはあえて聞きませんけれど。お嫁さんになる為には落ち着きも必要だと理解してくれたようですよ」

「あ、あははー、そこは変わらないんだなぁ」


 少し諦めの見える苦笑をした遥に、ルベウスがそっと言葉の妙薬を流し込む。

 さらさらと、気づかれないように。


「ハル。私はお婿さんでいいですよ」

「へ?どーゆーこと?」

「ミドリ一人ならお嫁さんにしても文句は言わないという事です」

「え、えぇぇ!?そんな……ルベウス様はいいの!?」

「私とミドリは仲良くできそうですから。そこでハルにお願いがあるのですが」

「なーに?」


 きょとんとした遥に、ルベウスは最後まで薬を流し込む。


「ミドリは無理やりは止めるから、普通に仲良くしたいと言っています。そのお願いを聞いてあげて欲しいのです」

「翠ちゃんがそこまで!私に近寄るのは男も女も威嚇するくらいの狂犬だった翠ちゃんが!?」

「……あの、竜神の棲家で独りだった私が言うのもなんですが。ハルは友達がいないのでは……」

「う、うー!それ以上言わないでー!ネット友達は居たよ!」


 ネット友達というのが苦しい言い訳だと解っているのか、机にうつぶせて頭を抱える遥に、翠が少しぎこちなく話しかけた。

 先ほどの密約の時の、半年親しくして話題に一度も登らなかった、というのがよほど聞いたのか。

 とにかく極度に距離を気にしながらの声掛けだった。


「あ、あの遥ちゃん」

「なーに?翠ちゃん」

「あ、あのね。明日から遥ちゃんとルベウスさんのお弁当、私が作ってもいいかしら?」

「……え?ルベウス様の分も?」

「う、うん。遥ちゃんが仲のいい人とは、私も仲良くなりたいから」


 その言葉に遥も含めて、周囲に居るクラスメイト全員が目を見開いた。

あの狂犬がこんな殊勝な事を言うだなんて、ルベウスはどんな魔法を使ったのか、と言わんばかりの反応だ。


「あのー、ルベウス様。本当に酷い事してないんですよね?」

「はい、お話しただけです」

「凄いなぁー。翠ちゃん私がどんなに言っても止まってくれない暴走機関車みたいな子だったのに」

「根は良い子のようですからね。私はちょっと急ぎすぎるのを直した方がいいと言っただけです」

「ふえー。凄い!」


 ルベウスは遥にキラキラとした目で見られて笑顔を作る。

だがそこは密約の提案者、抜かりは無かった。

そっと気分が高揚している遥の注目を翠に移す。


「それで、お弁当の話はどうするんですかハル。ミドリはとても気になっているようですよ」


 遥が言われて翠を見てみれば、自分より大きな体の翠が身を縮こまらせて答えを待っている。

 よく見ればその視線の中には縋りつくような色さえ伺える。


「あ、うん。私は願っても無いくらいの申し出だけど。たしかー、翠ちゃんって家庭科の達成度極めてたよね?私も施設行きになる前、ちょっと教わってたし」

「うん!つ、作ってきてもいいかな?」

「私としてはお願いしたいくらいだけど、ちょっとそれは家の人と相談した方がいいよ」

「え?なんでかしら?」

「だって、お弁当作るとなると材料費が掛かるでしょ。お金の問題だからそこはきちんとしないと」


 遥からの思いもよらない方向からの攻撃を受けて、翠はちらちらとルベウスの方へと視線を送る。

 ちらりと視線を送り返して頷いたルベウスは口を開いた。


「ハル、きっと彼女はお金なんか気にせず、貴女に自分の手料理を食べて欲しいのでしょう。それを金銭を理由に断ってしまうと言うのも」

「うーん。その気持ちは嬉しいけど、やっぱり私、そういのはきちんとしたい。ダメかな?ルベウス様」


 ルベウスはちらっと翠を見る。

そこにはすっかり気落ちした少女の姿があった。

だが、そこでルベウスの援護は終わらない。


「ではご両親と相談して許可が出ればミドリがお弁当を作ってくるのは構わないのですね?」

「え?うん。それはね。ミドリちゃんとお弁当のおかず交換した事あるけど美味しかったし」

「じゃ、じゃあ遥ちゃん!すぐにお母さんに電話して聞いてみるね!」

「はーい。じゃあ私もおかーさんに電話かけて聞いてみるよ。あ、翠ちゃんのおかーさんって、うちの家のナンバー知ってるよね?」

「知ってるよ。じゃあお母さんには許可貰ったら遥ちゃんのお母さんと連絡取ってもらうから」

「おっけー。じゃあそういう事でいこっか」


 嬉しそうに円盤型の携帯通信端末を取り出して通話を始める直前、翠はルベウスに目礼した。

 それを見たルベウスは微笑みながら、内心、やはりこの子とは上手くやっていけそうですね、などと思っていたのだった。




 あの後、無事に遥とルベウスのお弁当を翠が作ることになり事は丸く収まった。


「明日から翠ちゃんのお弁当だね。楽しみだよー」


 と、笑顔で言う遥の姿に翠が感激してまた暴走しそうになったのをルベウスが抑える場面もあった。

 それでも以前までちょっと困った人だった翠が、比較的まともになった事に遥はとても喜んだ。

 これで普通に友達できかな、なんていう希望まで抱いていた。


 だがそんな希望とは裏腹に、休み時間になるとルベウスと翠に両脇を固められる。

 そしてその二人に話し掛けるついでのように話題を振られる、一応話題の輪には入っているのだが。

 基本的に皆元から優しげで美人なルベウスと、大人しくなって素直に綺麗系の美少女になったように見える翠目的なのが透けて見える。

 そんな事が続くと、なんだか自分ってこの二人と並ぶと居ても居なくても良い人間なんだなぁ、という気持ちが湧き出てきて遥はしょんぼりする。


 遥のそんな様子を愛の狩人である二人は見逃さない。

素早く話かけてくるクラスメイトをいなして遥に向き直る。


「どうしましたハル。落ち込んでいますよ」

「あ、あのね遥ちゃん。何かあるなら言って欲しいな。私でも何か助けられるかもしれないから」


 しかし、見逃さなかったからと言ってどうする事もできない場合もあるわけで。


「ルベウス様と翠ちゃんに並ばれてるとまともなリア友が出来る気がしないー……」


 そんな嘆きを聞いたらどうするか?

ちらりと視線を飛ばしてどうするの?と問う翠に対して、率先してルベウスが遥に声を掛ける。


「良いじゃないですか。ハル。貴女には私達が居れば」

「ルベウス様ー、私そこまで割り切れません」

「えっと、あのね。私達まだ18だし。遥ちゃんがその気になれば機会はあると思うよ?」

「翠ちゃん。それは私を1人にしてくれるって事だよね?」

「え?あ……う……ル、ルベウス!」

「落ち着きなさいミドリ。ハル、貴女が本当にそれが必要だと感じるなら私は止めません。私が言えばミドリも納得します」

「む、ぐぐぐっ……」


 ルベウスの言葉に、言葉を詰まらせる翠。

彼女の脳裏にルベウスに従うべきかどうかの葛藤が生まれる。

しかしその葛藤を、手作り弁当を作ってくる流れを作った実績で信頼して任せる事にする。


「でも聞いてくださいハル。人間関係を増やすという事は、それだけ有限な時間を切り分ける事になるんですよ」

「えと、それってどういう事?」

「つまりですね。ハルは切り分けた短い時間で人と濃密な関係を作る事ができますか?」

「それは……ちょっと、自信ないかも」

「ならばと、こんな事を願うのは貴女を縛り付ける事になると思いますが、時間を私の為に使って欲しい。そう願ってしまうのはいけない事でしょうか」

「……それはルベウス様が翠ちゃんと私を挟んでるのと矛盾しない?」

「しません。話し合った結果、私とミドリは貴女との時間を共有する事ができると解りましたから」

「そうなの?翠ちゃん」

「え?あ、うん。私ルベウスとなら一緒に遥ちゃんとの時間を過ごせると思うわ」


 初めての休み時間で顔を合わせた時にはあんなに喧々諤々だった翠が肯定するのを聞いて遥は、何だか自分だけ除け者にされているような気分になった。

 二人の仲が良いのは嬉しい、翠がまともになったのは嬉しい、二人が傍に居てくれるのは嬉しい。

 でもなんだか自分は空っぽで、二人に釣り合っていないと感じる。

そんな気分だ。


 ルベウスは沈み始めた遥を、素早く見定め手を差し伸べる。

見る人間にとっては悪魔の腕に見えるかもしれないが、彼女にとっては愛しい連れ合いに伸ばす愛の手だ。


「ハル。何を落ち込み始めているのか知りませんが、私とミドリを繋ぐ線の中心に居るのは貴女ですよ」

「私?」

「そうです。貴女を愛しているという共通点があるから私とミドリは友になれました。これがどういうことだか翠は解りますか?」

「……ごめん、ちょっと解らないわ」

「しっかりしてください。ハル、もし私とミドリが好ましいと思って近づいてくる人間でも、話して見れば貴女と親しくなる事もあるのです。共通の好きなもので」

「じゃ、じゃあ私の友達できないかもって言うの根暗な思い込みってこと?」

「言い方が悪いですが、そう言ってしまっても良いかもしれませんね。ハル、本当に友になれる相手ならきっかけは何であれ、自然と貴女の友になると思いますよ」

「ほぇー……さすがルベウス様。2000年生きてるのは伊達じゃないね」

「す、すごい!遥ちゃん元気になった!」


 気持ちを明るくした遥に微笑み掛け、翠に尊敬の眼差しを向けられるルベウスだが、こんなのはぶっちゃけハッタリだ。

 遥は忘れているが、2000年生きてきてずっとルベウスは独りだった。

そんな存在が友情を語るなんて、という所まで頭が周らないのがまだ遥の若いという事を示す。

 なんだか良い声でそれっぽい事を言われたから、そんな気になる。


 こんな身もふたも無い会話だが、確かに遥の気持ちは軽くなった上に、なんとなくルベウスと翠が遥の傍に居ることも認めさせている。

誰も損をしない良い関係と言って良いだろう。


 ただ、この光景を見せ付けられたクラスメイト達は一様にげっそりしている。

これは激しさが無いだけで、まったく翠の中身は変わっていないし、一見まともそうに見えるルベウスも十分遥に首っ丈なのが明らかだからだ。

 公然と三人の世界を作ります宣言をされて、砂を吐くような気持ちになるのは致し方ない。

 こうして遥は気づかない間に友達の出来る機会が削られたのだった。


 休み時間はこんな感じだったが、履修の時間は真面目に行われた。

遥、ルベウス、翠の三人が電脳空間を接続し、それぞれの達成度に見合った授業を履修するのだが。

 本来はもっと高い達成度を修めているだろう事を感じさせる翠が遥とルベウスを指導する。


 とはいっても、ルベウスの行っている学習は小学生高学年レベルの勉強。

この電脳時代で大幅に勉強する時間が増えた小学生高学年は2000年代初頭の大学生が行うような内容を履修する事になる。

 半年でそれを修めたというのは感嘆に値するが、内容としては元々知性の高いルベウスには問題の無い内容だった。

 だからルベウスは基本的に一人で黙々と履修を行い、時折遥に解らない所を聞くだけに留まっている。


 しかし遥の達成度上昇が問題だった。

電脳世界内で机を並べて勉強する三人。

なお、ルベウスの翼や尻尾、角に対応するアバターはゲーム用電脳ではないので、この空間の中ではただ美しいだけの人間の女性だ。


 そんな中で、翠に数学を教えてもらっていた遥が声を上げた。


「ねぇ、翠ちゃん。惑星間航行時の周囲の惑星からの重力干渉係数の計算とかいつ使うのー」

「……宇宙開発局に勤めて星間航行船の操舵手になって、メインとサブの演算装置が故障したら、かしら」

「うわーん!私そんなお仕事つかないよー!」

「え、でも前年度もっとも人気の高かった職業だよ遥ちゃん」

「私、そんな頭良くないからなー」

「遥ちゃん。大丈夫よ。今の時代誰でも時間さえあれば理解できるようになるから」

「建前ではそうなってるけどさ……やっぱり、そういうの理解するセンスってあると思うの」

「じゃあ遥ちゃんはどんなセンスならあると思うの?」

「うんとね、施設に居た時、暇な時間に適職診断テストを受けさせてもらったんだけどねー」

「あ、そうなの?しっかりしてるわね。結果はどうだった?」

「厨房の鍋の監視員とか、演算装置の挙動監視員とか、じーっと何かを見守る系の仕事に適正があるみたい」

「厨房の鍋の監視員なんだ……」

「私のとりえってしつこさくらいだからなー」


 遥と翠が年頃の学生らしく将来の話をしているところに、ルベウス軽く口を挟む。


「そうですね。2000年かけて私を口説いたハルには根気が必要な職業が向いていると思いますよ」


 そんな事を言われた遥は、少し顔を赤くしながら言った。


「も、もールベウス様。そういわれると私がしつこいストーカーみたいじゃん」

「別にそうとは言っていませんよ。ただ熱烈だったと……あの時の私との対話にやりがいはありましたか?」

「あ、うん。凄くあったよ。でもその反動かなー。あの後ルベウス様に会いに行かなくなったのは、なんか一山越えて燃え尽きちゃったみたいな感じがして……ごめんね?」

「なるほど。ミドリ、ハルにとって挑み甲斐が感じられて、情熱を燃やせるような職業はありますか?」


 途中で話の主導権をとられて少しふてくされていた翠だが、話の水を向けられると顎に手を当てながら真顔で考え込む。


「現在の遥の達成度でやりがいのある仕事……それも継続的に続けて遣り甲斐のある仕事っていうと……」


 そんな翠の様子を見て、遥は期待に瞳を輝かせて彼女を見つめる。

うきうきとした様子で翠の言葉を待つ遥の頭をルベウスが撫でた。

この感触にチラリとルベウスを見ながら、何?という表情をする遥に、何でもないという風にルベウスは微笑む。


 そんなやり取りに気づかないほど集中して考えていた翠は、パッと遥の肩を掴んで言った。

にこりと大和撫子らしい穏やかな笑みで翠は言った。


「そうよ遥ちゃん。2000年のラブロマンスをファンタジー小説として書き上げればいいのよ!遥ちゃん、文章作成の達成度は高かったわよね!」

「え?えー!そ、それはちょっと……多分私2000年分の告白そんなお金に出来るほど巧く書けないよ!それに、殆ど瞬殺されながら声を掛け続けただけだからね?お話になんか出来ないよ」

「そうかしら?じゃあちょっとお話を盛っちゃってさ、告白自体は簡単に済ませちゃうのね。で、告白を受け入れてからの2000年を書くの」

「それって嘘を書くって事じゃ……」

「創作なんだから嘘も何も無いでしょ?重要なのは2000年生きた孤独な人と、その孤独を埋める女の子のお話なんだから。ちょっと自分の実体験をお話向けに弄るくらい許されると思うわ」

「う、うーん。そういわれるとなんだか許される気が」


 なんだか流されそうになりながら遥は翠とルベウスを見比べる。

二人とも遥に微笑みかけている理由はなんとなく解ってきた。

でも言葉に出して欲しかった。


「あの……いいのかな、ルベウス様。私達の話を嘘みたいに脚色して書くのって」

「私は構いませんよ。貴女と私の物語である限り」

「翠ちゃん……」

「遥ちゃんが納得する形にすればいいわ。もし売れなくても、養ってあげるから」

「ああ、それは私も同じ気持ちですよミドリ」

「ふ、二人とも!?」

「あら、ルベウスは勤め先あるのかしら。貴女一人の為に専用の設備費を投じる価値のある存在にならなければいけないのよ?」

「そういう存在になるためにミドリは手助けしてくれるのでしょう?」

「まあそれはね。お互い遥ちゃんを支える人間だし」

「へっ、へっ?」

「そうですね。ほうらハルは可愛い可愛い」

「そうそう、遥ちゃん可愛い可愛い」

「ん、んあー!美女と美少女に言われてると馬鹿にされてる気がするー!」


 その後も可愛いコールを続けた結果。

ログをチェックした教師にハラスメント行為による罰則がルベウスと翠に適応される。

 接近禁止令は遥の取り成しで無くなった物の、社会規範の宿題として50達成度分の宿題が課されました。

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