第1部 第9章 過去エピソード
(第9章の概要)(過去のエピソード)
タカスギは息子の発熱による急な欠勤の間に、ハジが自分の業務(システム処理依頼票)を代わりに提出してくれていたことを知りお礼を伝える。ハジは「お互い様だから」と優しく微笑み、タカスギを安心させる。その後、タカスギはシステム担当としての業務に不安を感じていることを打ち明ける。マニュアルが複雑で混乱するという悩みに対し、ハジは「マニュアルは人の仕事を支えるためにある」という信念から、人の動きを中心に考えるよう助言する。その言葉にタカスギは完全には理解できなかったが、二人は笑顔を交わす。やがて桐原の声に気づいたタカスギは立ち去り、ハジはその背中を静かに見送る。
(9章)
「ハジさん」
タカスギはおずおずと呼びかける「昨日、期限だったシステム処理依頼票替わりに提出してくれたって聞きました」ハジは振り返る。
「本当にありがとうございます」
「大変な時はお互い様だから」ハジは微笑んでそう優しく言った。
タカスギはその表情に少し安堵したようだ。
「昨日は息子が熱をだして急に休むしかなかったんです」いいんです、気にしないでと言うようにハジは軽く手を振る。
そうして、再び仕事に取り掛かろうとするハジに、タカスギは思い切って尋ねる。
「わたしシステム担当をしていてわからないことばかりなんです」
ハジはタカスギをそっとみる。
「マニュアルいっぱいあるんですけど、どれも何か違うこと書いてあるみたいでつい混乱しちゃって」
ハジはそのタカスギのボヤキを口で呟き直す。
「え?」
タカスギはハジの言葉を聞き返す。
「・・・タカスギさんマニュアルは人の仕事を支えるためにあると思います」
「まず人がどうやって受付をして、どうやって人はシステム入力するかを軸に据えて考えると」
ハジはそこで言葉をとめてゆっくりとタカスギをみる
「そうするとマニュアルの言葉もみえてくると、わたしは思います」
タカスギは、うーんわからないですね、と軽く笑顔をみせる。
「そうですよね、変な話ですね」ハジもつい笑った。
桐原の声がする。
タカスギは少し緊張した面持ちで振り返り、ハジに軽く会釈すると足早に去っていく。
ハジは忙しそうなタカスギの背中をそうっと眺めていた。
本作品はフィクションです。登場する人物、組織、職業、制度及び出来事は物語上の設定として構成したものであり、実在するいかなる個人、団体、職種、組織とも関係ありません。本作品は特定の職業や組織を描写・評価することを目的とするものではありません。




