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許さないからな!


「あっ、コズ君こんにちは〜。」

「アル兄ちゃんまた来たのか?本当に大丈夫なのかよ。貴族って勉強とかないのか?」

おぉ!コズ君が素直に心配を口にする位成長している。子供の成長は早いねぇ。


 僕はあれからちょくちょく孤児院に来ている。

僕の事は貴族だけど冒険者もしている人と認識されている。

僕は孤児院に来ては勉強を教えたり、冒険者のノウハウ(僕のノウハウは怪しいので知り合いの冒険者に教えて貰っている)や、薬草の見分け方や、魔法の使い方、とにかく大人になって生きていけるように、ジル達から教えて貰ったことを教えている。

争い事が苦手な子にはマナーや文字や計算等商家の勤めに必要な事を、手先が器用な子には刺繍や料理を。


皆がそれぞれの道で生きていけますように。


今日は勉強の前に畑に来ていた。孤児院にはある程度自分達で賄えるように畑がある。そうだよね、予算は限られてるからね…。


ここの畑には土の精霊さん達がたくさんいる。きっと無邪気な子供達の笑い声に癒されているんだろう。僕は皆に精霊さん達と仲良くなる方法を教える。

「ええ〜!嘘だぁ〜!そんなの見たことないよ!」

子供達が口々に精霊さん達を否定する。

それを精霊さん達はキャッキャと笑いながら聞いている。君の頭にも乗ってるんだけどね。

「じゃあ見てて!」

僕はまだ何も植えられていない所に行き歌を歌う。

土を耕し畝を作り収穫の願いを込めた祈りの歌を。

すると、みるみるとキャーベッツの種が芽を出し葉を伸ばし大きく成長する。

「わぁ〜!!凄い!」

後ろで子供達が飛び跳ねて喜んでいる。それに合わせて精霊さん達も踊っている。

後ろを振り返り、

「ねっ!今精霊さん達に力を貸してもらったんだ。

精霊さん達と仲良くなると声が聞こえたり姿が見えたりするよ。」

「凄い!!やってみる!」

「僕も!仲良くなれたらいいなぁ!」

それぞれ声が上がる。


そうだ、土の精霊さんと仲良くなれた子には土地の穢れを祓ってもらえばいいんじゃない?

瘴気の森の他にも穢れた土地はたくさんある。それを放置して瘴気に呑まれたら大変だ。ならば手はたくさんあった方が良いし、何よりこの子達が生きる術にもなる。


早速宰相さんに相談してみよう。

丸投げとも言うけどね。えへ。




 今日はギルとシロガネと共に冒険者志望の子達を連れてギルドへ冒険者登録に行く約束をしている。

コズ君含め5人がまずは登録する事になった。


今日は絡まれなきゃいいなぁ…。


…うん…、僕の希望ってかなりの確率で叶わないよね…。

何が言いたいかと言うと、早速絡まれてるって事。


もおぉぉ…、なんなんだよぉ!!


「おぉ!お貴族様!今日は引率かい?生活がかかっていない奴は優雅でいいなぁ!」

うんもぉぉ…!その通りだからから言い返せない!

僕は貴族だし、今日は引率だし、まぁ優雅だし…。

仕方ない、認めるか…。

「えぇ、今日はこの子達の引率予定です。今日は冒険者登録するので先輩冒険者の方々はよろしくお願いしますね。」

ニコッと笑って答える。僕が喧嘩を売ってこの子達に何かあったら嫌だからね。今日は素直に行こう。

「お…、おぅ!なんか今日は素直だな…。」

拍子抜けしたように視線を僕の後ろに流す。

「おい!お前ら、冒険者は自由だが全てが自己責任だ。大変だぞ!覚悟はあるのか?」

コズ君が皆を代表して、

「あぁ。僕達は生きなければならない。これしか道はないんだ。」

覚悟をした目で答える。


違うよ、コズ君。これしかないんじゃないよ。ダメなら違う道を選べば良いよ。僕が用意するよ。

だからそんな覚悟した目をしないで…。


「良い目だ。気に入った!おい、お前達、何か困った事があったら助けてやる。俺達を頼りな。

そこのお貴族様には分からねえような細かい事や抜け道なんかも教えてやる。冒険者は綺麗事ばかりじゃやってられないからな。

登録終わったらこっちに来いよ。」


良い人だった…。

良かった。この子達の助けになる人達はたくさんいて欲しい。


でもね……、でも…、今日は僕が引率なの!!

僕がアル兄ちゃん凄いねって、尊敬の目を貰える筈だったの!!

色々教える予定だったの!!


なんで…、なんであいつらがそのポジションになってるんだよ!!

あいつは一般的な冒険者じゃないからな、じゃあないんだよ!!

コズ君もあぁ…みたいな顔しないでよ!

あの子達の僕を見る目が変わったらどうするんだよ!


絶対許さないからな!!



その後ギルはいつも以上に僕を称えてくれた。

なんか…、気を使わせたみたいで…、

なんか、スミマセン…。




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