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ゆっくり待ってようね。


 しばらくガタガタと揺られていたが目的地に着いたのか馬車が止まった。

ゆっくりと扉が開いて男が下卑た顔で、

「着いたぜ、降りろ。ケガしたくなけりゃ抵抗するなよ。そこのお貴族様方もだ。」


皆で地下にある牢屋に入れられる。足元は土が剥き出しになっており、ジメジメして薄暗く寒い。惨劇があったのかうっすら血の匂いもしている。

もう〜、最悪…。こんな所に閉じ込めるなんて、アレク君が汚れちゃうじゃないか!!


「ケガしたくなかったら大人しくしておけよ。お前達はこれから奴隷として一生生きて行くんだ。すぐにご主人様が迎えに来るからな。」

醜悪な顔で笑う男達が鍵を掛けて居なくなってから僕はまずこの環境を改善する所から始めた。


もう〜、こんな環境我慢出来ない!

モル君、テル君、ルルちゃんに頼んで地面の土をキレイにしてもらい芝生を生やしてもらう。目に優しいようにお花も植えてもらい、汚い壁や牢屋の格子にもツタを這わせる。所々にお花を添えて。

天井には僕が魔法で明かりを灯し、光源と熱源を供給する。


ふぅ〜…、取りあえずこんなもんかな?

後はギル達が来るまで待っていよう。

テーブルとイスを収納袋から出して皆が座れるようにセッティングする。

「さあ皆、助けが来るからそれまでここでのんびり待とうじゃないか。まずは座って気持を落ち着けよう。」

皆の方を振り返り声を掛ける。

アレク君は笑っていたが、他の子達はポカンと口を開けて見ている。

固まっている皆を座らせてまずは腹ごしらえだ。スープにサンドウィッチやミートパイ、シチューと果実水を取り出す。

後でデザートもあるからね。


 子供達はお腹が空いていたのか1人が食べ始めると皆も食べ始めた。デザートにクッキーやパイを出し紅茶を用意する。皆おずおずと手を伸ばすが美味しかったのか最後には笑って完食した。

お腹がいっぱいになり眠くなったのか幼い子達はウトウトと眠たそうだ。

残念ながら毛布はあるが人数分のベッドは用意してないので芝生をふかふかにしてもらってそのまま毛布にくるまって寝てもらう事にした。

牢屋全体に結界を施して僕達も寝る事にした。


アレク君も寝れる?

…あぁ…良かったぁ〜。ゆっくり休もうね。

おやすみぃ…。


途中うっすら男の声が聞こえたけど疲れていたからか起きることなく、ぐっすりだった。



 目が覚めると朝になっていたようだ。

ぐっすり寝ちゃった。ジルもギル達も心配してるよね…。失敗失敗。


一緒に拐われた子も何人か起きたようだ。結界の向こうには疲れた顔をしている大人達がいた。

「誰?」

見覚えの無い顔に警戒して聞く。

1人の男が前に出て膝をつき、名乗る。

「オルガナイト王国第二騎士団、団長のシュナイダーと申します。昨夜救出要請を受け参りました。」

あれ?警邏じゃないんだ。何かあったのかな?

第二騎士団って貴族に何かあった時に出動するんだよね?

「あぁ、アレク君は貴族ですものね。よく来てくれました。アレク君も他の子達も皆無事ですよ。

それにしてもなぜ警邏でも町の警護の第三騎士団ではなく、第二騎士団が出動要請されたのですか?」

 

アレク君が居たとはいえ町の揉め事は警邏が、町の犯罪は第三騎士団が担当するはずだ。一足飛びに第二騎士団に話が行くなんてその2つに何かあったと言っているようなものだ。


「はい…、大変言いにくいのですが、警邏にも第三騎士団の者にも今回の犯罪な加担していた者が居たため我ら第二騎士団が救出に参りました。」

あぁ…、やっぱりね…。

「昨夜シロガネ殿とハクエン殿が王城に事の次第を伝えに来たのです。陛下と宰相閣下から直接今回の指揮を取るように勅命が出されたのです。」


おぉ~!シロガネが!皆に助けてもらえたんだなぁ…としんみりしていると、

「して賢者殿、今この状況の説明をお願い出来ますか?」

と言うので、助けに来るまで待ってましたって説明した。

シュナイダー様は納得してなさそうな顔をしていたけど何も言わなかった。


何だろう…。何か言いたそうだけど…。

はっ!!まさか僕が犯人に疑われているとか?!


焦ると余計疑われちゃうかも…。僕は冷静に現状を聞くことにした。

「さて、犯人は捕まったのですか?その協力者とやらも。

是非会っておきたいのですがよろしいですか?」

疑いが深まらないように願いながら聞いてみる。

「賢者殿がお望みならば。

して、皆様方そこから出てきて頂くことは可能ですか?」

勿論だよ~。皆を起こして牢屋を出る。


 アレク君、起きてぇ〜!



シュナイダー団長さんは地下の牢屋に行ったらやたらフローラルな香りでやたらメルヘンな状況に混乱して説明を求めたのでした。

「この状況の説明をお願い出来ますか?」の答えが待ってたよ、で一気に疲れが増したのでした。

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