ゴメンね。
騎士さん達に護られながら地下から出ると、そこは修羅の国でした…。と言いたい位凄惨な状況になっていた。
小さい子供達に見せたくないので結界に色を付けて外界の視界を遮断し、話しかける。
「君たちに見せたくない程の凄惨な状況だよ。皆はこのまま進んで保護して貰いなさい。こんなものは見なくてもいい。」
そのまま進んでもらい、外に出てから騎士さん達に子供達の保護を頼む。
「兄上!!」
ギルの声がしたのでそちらに顔を向けると、ギルとウィル君、ロバート様とクレイス様とジルがいた。
皆ホッとしたような怒ったような顔をしていた。
だいぶ心配かけてしまったようだ。途中で寝ちゃって連絡も途切れちゃったから心配もひとしおだったのだろう。
ごめんなさい。
アレク君と共にギルとウィル君に抱きつかれ、
「心配しました。ご無事で良かった。」
と泣かれてしまった。
ごめんなさい、ギル。僕ぐっすり寝てたのに…。
僕はロバート様とクレイス様に向き合い膝をつき謝罪する。
「サンガリア公爵閣下、スピール公爵閣下、此度は私の認識の甘さでご子息を危険な目に合わせた事、どのように謝罪しても謝罪しきれません。
私はどのような処分も甘んじて受け入れますので、どうか家の者に咎がいきませんようにどうか寛大な処分を願います。」
ギルやジルや家の者に迷惑をかけたくなく寛大な処分を求める。
公爵家の次期様を巻き込んだんだもんね。怒られて当然だ。
「「アル君?!」」
ウィル君とアレク君が顔を青くして僕と公爵様方を見る。
「父上!違うのです!僕が街歩きをしたかったのです。楽しかったのです!
ですから、どうか!どうか、処分は私に!」
ウィル君が、
「父上!ごめんなさい。僕も楽しかったのです!アル君は悪くありません!処分するなら僕にも!」
アレク君が、
「公爵閣下、此度は我がストロイエ家の失態です。処分は次期当主たる私にお願い致します。」
ギルが、
「アル様の教育係は私でございます。どうか私に処分をお願い致します。」
ジルが言う。
やめてよぉ…。泣いちゃうぅ…。
僕はいいんだよ。だって遅かれ早かれこの国を出るんだもん。
だから僕を庇わなくていいんだよ。
ロバート様もクレイス様もキョトンとして僕達を見る。
「ん?何を言っているんだい?僕達は君達の勇姿を見に来ただけだよ?」
「そうだよ。凶悪な犯罪組織の根城を潰して、芋づる式にそれに加担していた貴族をも引きずり落とすだなんて荒業をやってのけた我が子供達を褒める事はしても叱るなんて事はしないよ。」
なんですと?!僕が寝ている内に?!
おぉぅ…、大層な事をやってしまってる…。
「それに、君達があの程度の人間相手に何かあるなんて思ってもみないよ。何かあっても自分の身を、相手も守れる位の強さがあると分かっているから僕達は君達を自由にさせているんだよ?」
信頼ぃぃ!そんな信頼されたら今後ケガなんて出来なくなっちゃうぅぅ!
ロバート様、クレイス様ありがとうございます!!
感動に浸っていたけど周りの騎士さん達の目が痛い。
この凄惨な状況の説明を願います。なんせぐっすり眠ってたもんで…。
聞くと、これは精霊さん達の怒りなんだそうだ。
ギル達が止める間もなくラス君が他の精霊さん達を連れて殺ったらしい。
「これだから!これだから人間は嫌いなんだよ!同じ人間なのに!弱い奴を見つけてイジメたり攫って奴隷にするなんて!!こんな人間!人間なんて大っ嫌いだ!!」
…ラス君は人間が好きなんだよ。僕に最初に話しかけて姿を見せてくれたのはラス君だ。
好きだからこそこうして人間の醜さを見ると余計にガッカリしちゃうんだ。そして、多分今、ラス君の心の中にあるのは怒りより悲しみだと思う。
ラス君を呼んでお礼を言う。
「ラス君、ありがとう。ゴメンね。心配かけて、人間の嫌な所もたくさん見せちゃって…。
でも嫌な人間ばかりじゃないから人間を嫌いにならないで。」
こちらを見ずに俯いてるラス君を抱きしめる。
ゴメンね、嫌なもの見せて、嫌な事させて。
ラス君の心が癒えるように歌を歌う。癒しの歌を。
ギル達も一緒に歌ってくれる。
集まってくれた精霊さん達を労るように、慰めるように、感謝と癒しを込めて歌う。
凄惨な現場だったこの地に光が降り注ぐ。
皆を慰めるような労るような…。険しい顔をしていた騎士さん達の顔が和らぐ。
空気が温かく、軽くなった気がした。




