新しい友達。
ギルドであれこれあってから、何となく僕は外に出る気になれなくて家でうじうじしてた。
ジルが心配そうに見ている。ルイが僕の好きな物を作ってくれる。バトじいも昨日綺麗なお花を届けてくれた。
大事にされてるなぁ。そろそろ気持を切り替えないとなぁ…。
シロガネに癒されて来ようー…。
シロガネはハクエンと日向ぼっこしてた。
「僕もまぜてぇ〜。」
僕もハクエンのお腹へ寄りかかり、シロガネを抱っこする。
「アル、どうしたの?元気ない?」
「ううん。大丈夫。温かいねぇ…。」
シロガネにも心配かけちゃった…。はぁ〜…。
ギルドにはまだ行きたくないし、家で出来る事をしよう。
新しいポーションに挑戦してみようかなぁ。
家にあるのは初級の本ばかり。
本邸に忍び込んでみようか?もしくは、黒い板でまた何か探すか…。面白い本が見つかるかなあ…。
ありました。
中級、上級ポーションの本を見つけた。ポチッ。
もう1つ、精霊と仲良くする本ってのがあった。
うわ〜!!久しぶりに度肝を抜かれるやつが来た!
迷わすポチッ。
「ハクエン〜!精霊っているの?」
「何だ、知らんのか?そなたの周りにも我らの周りにもいっぱい居るぞ。」
えぇ!知らなかった!
これは是非仲良くならねば!!
仲良くならないと姿を見せてくれないらしい。
僕は、精霊さんと仲良くなる為に、毎晩窓辺に水を置いたり、キッチンの隅に角砂糖置いたり、風の強い日は外に甘いお菓子を置いたり、畑仕事の時に歌を歌ったりしている。
今夜も月明かりに当たるようコップを窓辺に置く。
すると耳元で、
「お花を浮かべて〜」とか、「ハチミツもたまには入れて〜」とか、聞こえた。
パッと後ろを向いても誰もいない。
「もしかして精霊さん?」
返事はない。でも、つんつん髪を引っ張れた!
「分かった!明日はお花を浮かべるね!
その次はハチミツだよ!」
すると、頬や肩に何かが触る感覚が…。
その日は、ウキウキ、ソワソワしてなかなか寝付けなかった。
朝寝坊した。キッチンの隅に今日も角砂糖を用意しようとすると、
「今日は赤いーちごのジャムが良い。」
って聞こえた。
任せて!!
お皿にジャムを乗せるのをルイがニコニコと見ていた。
またある日は、バトじいと畑を耕していると、
「今日はこの歌歌って〜。」
と、聞こえる。
教えてもらいながら歌っていると、バトじいが、
「アル様は不思議な歌を知ってるんですなぁ。」
「精霊さんから教えて貰ってるの!
バトじいにも教えてあげるから、一緒に歌おう!」
バトじいと一緒に歌いながら畑仕事をしていると、ハクエンが来て、
「畑が凄いことになっているぞ。何処もかしこも精霊だらけだ。」
と、楽しそうに笑った。
翌朝、畑に行ってみると、収穫がまだ先の予定だった野菜が、ツヤツヤ美味しそうに実っていた。
もしかして、精霊さん?
バトじいとお礼を言いながら収穫したよ。
もちろん、美味しかった。
そんな感じに、偶に精霊さんの声を聞いたり、助けてもらったりしながら、日々を過ごしていた。
そろそろギルドに顔を出そうかなぁ…。
でも、冷たくされたら心折れちゃう。僕、すごい偉そうにしちゃったし…。
モートンの森の魔獣の買い取りも終わってるだろうし、収納袋も預けっぱなしだし…。
うじうじ考えてると、髪を引っ張られた。
そちらを向くと、目の前に僕の手のひらサイズの子供がいる。
「精霊さん?姿見せてくれるの?」
「うん!アルなら良いよ〜。何悩んでるの?」
「ギルドに行きたいけど、行きたくなくて迷ってる…。」
「なら、僕がついて行ってあげる〜!僕がいれば心強いでしょ?」
「君が?いいの?」
「いいよ〜!僕は風の精霊、ラスって呼んで!」
ラスは小さい男の子の姿で目がくりくりした、かわいい子だ。
「いつ行く!今行く?ねぇ~!」
楽しみにしているようだ。
「なら、明日にしようかなぁ…。ありがとう。一緒に行ってくれて。」
ジル達に精霊さんが見えるようになったと話すと喜んでくれた。
さすがアル様ですね、って!くふふ…。
翌朝、ジルにギルドに行く予定だと話すと、心配して、
「私も一緒に行きますか?」
と言われたが、ラス君が一緒だから、大丈夫と断った。
シロガネがそれを聞いて、
「ずるい!!僕も行きたい!!」
と、言い出した。
ハクエンから人間の世界も経験してこい、と一緒に行く事になった。
ラス君の姿は皆には見えないけど、シロガネは皆に見えてるから僕の側を離れないでね!
では、行ってきま〜す!!




