地味に行こう!
血の表現があります。そこまでグロくはないですが注意お願いします。
僕とシロガネ、見えないけど、風の精霊のラス君とギルドへ。
扉をくぐると、一瞬緊張した雰囲気になる。
シロガネを連れてるから?それともこの前偉そうにしたから?
何ともない顔をしながらも、気分が落ち込んでくる…。
折角来たから何か依頼を受けようかなぁ…。
依頼の掲示板を見ると、薬草採取と角兎の討伐依頼があった。
依頼書を持って受付へ。ついでに、ギルマスへの面会依頼を頼んでギルドを出ようとすると、
「おい!お前がアルってやつか?そこの獣はお前の従魔か?」
高圧的な男に声をかけられる。
「名前を聞く時は自分の名前も名乗るのがルールではないんですか?知らない人に名前は教えません。」
口調の荒さに反射的に攻撃的に返してしまった。
あぁぁ〜、やっちゃった…。
シロガネがきょとんと僕を見上げてくる。
「あぁ?!」
凄まれる。やっぱり僕嫌われてるんじゃない?
内心しょんぼりしていると、攻撃的な男の影から背の高い男が顔を出す。
「止めなさいよ。確かにお前が悪いよ。知らない人には名乗りなさい。ただでさえお前は顔が怖いんだから。」
あれ?僕の事を嫌ってる訳じゃない?
シロガネは不安そうに僕の足へピタリと身を寄せる。
「リーダー…、酷えよ…。俺が顔怖いの気にしてるの分かってて…。」
しょんぼりする男を放っておいて、背の高い男が
「すまん。俺たちはAランクパーティーの漆黒の風だ。俺はリーダーのダン。さっきの男がカイ、あっちのがシンとエルだ。よろしく。君がアル君?」
離れた席から短髪の小柄な男性シンさんと背の高い綺麗な女性エルさんが手を振ってくれる。
2人に会釈して目の前の男に向き合う。
「はい、僕がアルです。こっちがシロガネ。
あの…、従魔ってなんですか?シロガネは僕の友達なんですけど…。」
ダンさんはビックリして、
「友達?契約してないの?」
と、不思議そうな顔。
何かこの人、いい人かも…。
ダンさんは僕達を食堂の端っこへ連れて行き、目を合わせて説明してくれる。
従魔とは魔獣を従える為に契約をし、従魔を操る人をテイマーと呼ぶんだって。
従魔の登録やタグを付けていないと危険と見なされて攻撃されたり、誰かに奪われる事もあるって…。
シロガネが奪われる?頭が真っ白になる。
シロガネも震えて僕を見上げる。
「嫌だよ、アル。僕はアルとずっと居たいよ…。」
僕はシロガネを抱きしめてダンさんを見る。
ダンさんは困った顔をして、
「脅かして悪かったな。でも、そういう可能性もあるって事だ。
そのお友達が嫌じゃなければ従魔登録したり、首にタグを下げれば誰にも奪われないぞ。
人の従魔を故意に傷付けたり奪ったりすると重いペナルティがあるからな。」
シロガネと相談する。
今後、人の世に混ざるなら形だけでもそうした方がシロガネは自由にいられる。
僕はシロガネを従魔として、ギルドに登録して、タグを首に着けた。
その間ダンさんは僕に付き合ってくれて、あれこれ教えてくれた。
良い人ぉ…。
「色々教えてもらってありがとうございました。
とても助かりました。僕、こういう事あまり知らないんです。」
知らないで、シロガネを危険な目に合わせてたかもしてない…。
「いや…、こっちが先に怖がらせたしな。その詫びだ。」
と、ニカッと笑った。男前ぇ〜。
カイさんは悪気なく、いつもあんな感じだそうだ。人相悪くて、声も大きいから大抵誤解されるそうだ。
何か…、すみません。僕もしっかり誤解しました。
最近、ギルドで僕の噂があるそうだ。ルイスさんって人(あの女性ギルド員の名前だって)に難癖つけて虐めたって…。
えぇ…、難癖はあっちがつけてきたし、子供に虐められるギルド職員なんてあり得ないんじゃない?
僕は今回の件を説明すると、
「あぁ〜…、あのルイスって子のファンが言いふらしてんのかもな…。俺が修正しといてやるよ。」
…なんて良い人。お願いします。
そろそろ依頼に行こうかな。遅くなるとジルが心配するからね。
すると、ダンさんが今日は休息日だからと、付き合ってくれることになった。
僕があまりにも冒険者のあれこれ知らないので心配になったらしい。スミマセン…。
いつものポイントに行くと、シロガネとラス君は自由に遊び始めた。
「なんで薬草採取?アル君強いんでしょう?」
噂が回ってる?
「薬草採取好きなんです。地味だけど性に合ってるんでしょうね。黙々やってるのが楽しいんです。」
「討伐は?」
「僕のランクだと角兎とか、角ネズミとかはたまにやりますよ。」
「高ランクの魔獣討伐してるって聞いたけど…。」
「僕のランクだと依頼はまだ受理されませんよ。僕の家の周りの魔獣を討伐してるんです。それが溜まるとギルドで買い取ってもらうんです。」
「なんか噂と違うね〜。ギルドの規則を無視する傍若無人な子かと思った。」
僕は苦笑い。
「いや…、ギルマスにも説明して了承貰ったんですけどね…。」
やっぱり、あの子が噂の元かな?
ダンさんも苦笑い。
「折角俺と来たんだから、討伐もやっていこう。
冒険者の暗黙の了解とかも教えてあげるよ。」
やったね!それを知りたかったんだよね!
僕はニコニコだ。
すると、シロガネとラス君が戻ってきて、
「やるの?魔法使ってもいい?」
「風魔法ならまかせて!何でもスパッとやってあげるよ!」
と、2人とも殺る気だ。
「ごめん…、1ついい?さっきも思ったけど…普通の従魔は話さないよ…。契約者だけは意思の疎通が出来るけど、今みたいには話さない…かな…。」
ダンさんが困った顔で言う。
「……、まぁ…、人それぞれですからね…。」
誤魔化せたかなぁ…。
森に入っていくと、ブラックウルフの縄張りに入った。
あちこちからブラックウルフの息づかいと殺気が飛んでくる。
ダンさんが臨戦態勢になる。
僕は先に皆に結界をかける。
ダンさんがビックリして僕を見る。
「アル君、結界張れるの?凄いじゃん。」
えへへ、ジルが厳しかったからね。
「えへ、結界の強度には自信あります。」
ダンさんと話している内に、シロガネがブラックウルフを1匹仕留める。
「僕も〜!」
ラス君が風を巻き起こし、ブラックウルフを3匹纏めて巻き上げズタズタに…。
ラス君の仕留め方、グロいなぁ…。
「ラス君ラス君、毛皮も使いたいから首を一撃でスパッと落とせる?」
「りょ〜かい!」
再び風でブラックウルフが舞い上がりラス君が首をスパッと落とす…。
血飛沫が風に乗り視界が黒く染まる。
…エグいなぁ…。
「おい!精霊!森や僕が汚れるからその戦い方はやめろ!
強い奴は汚さず一撃で倒すんだぞ!!」
シロガネが抗議する。
ロバート様や団長さんは確かに一撃で倒すもんね。
「ええ〜!これが楽しいのに〜!
そんな戦い方地味じゃない〜?派手にいこうよ!!」
と、またスパッ……!
「…、ごめん…、ラス君…。これだと血の匂いで他の魔獣が集まって来ちゃう。地味に行こう…。」
僕も説得する。
「ええ〜…、地味にぃ〜…、いいけどさぁ…。」
次からは静かに討伐してくれた。
僕はまた回収係。
ひょいひょいと収納袋に魔獣を入れていく。
ふと、後ろを向くとダンさんが口を開けて固まっていた。
どうしたの??




