腐ってるぅ……。
お城には貴族や他国の王族貴族を迎える為にたくさんの部屋がある。本当にたくさん。
国として王族の誇りをこれでもかと詰め込まれた数々の部屋は恐ろしい程きらびやかで、でもやり過ぎない調和があり、財力と品格と知力、センスが示され、これが国の力かと恐れ慄いた。
この謁見の間だって迎える相手の身分や人数、その内容によって部屋を変えるそうだ。今いる部屋はその中でもあまり格の高くない、王や国の威厳を見せる為の、言葉を選ばずに言うならば格下、もしくは友好関係にない相手を受け入れる場所だそう。
そう!まさに今僕はここに居るんです!
ただし、部屋全体が見れる隠し部屋のような所に。
これから起きる事を考えると、僕の姿を見れば面倒くさい事になりかねないから隠れて見てろって。
ここには当事者である僕とギル、ウィル君にジェラルド様と、それぞれの付き人が控えている。
目の前には今回不祥事を起こした家の当主達が不満を隠そうともせず小声で何かを囁きあっている。
「何かすごいねぇ…。陛下も本気だねぇ…。」
国として今回の犯罪の処分を決めてから、決して言い逃れが出来ないように秘密裏に証拠を集め、断罪の日を計画したそうだ。
その結果、今朝各家に騎士団が踏み込み当主を拘束、証拠隠滅を避けるため各家に騎士団が留まり家族使用人全てを拘束軟禁しているらしい。
各家に密偵を放っていて犯罪に手を貸した家族使用人もほぼ把握したらしい。
…王族恐ろしい…。密偵って…。
あれでしょう?王家を支える影の集団とかで、公に出来ない仕事をやったりするんでしょう?
僕知ってるよ。カーでポチッた他国の物語にあったもの。あれは面白かった。裏で悪人をばっさぁっと殺ったり、影の集団の1人がお姫様と禁断の恋に落ちたりドロドロしたりとか、途中訳分からないのもあったけど、総じて格好良かった。あんなのがこの国のあんなに人の良さそうな陛下にも居たなんて!しかも短期間でしっかり成果を上げるとか恐ろしい通り越して憧れる!!
何か良いよね!影の〜とか、秘密の〜とか、ちょっと格好良いよね!
僕も色々国を見て歩く予定だから、影の断罪者とか、闇の守り人とか、影で格好良く呼ばれてみたい!!
ゔぅん…、考えがそれてしまった!
そうです!今これから陛下がこのやらかしてしまった奴らへ罪状が下されるのです。
「陛下の御成り!!」
陛下がいらっしゃる合図がされると、部屋にいた近衛や騎士がザンッと持っていた槍で床を叩いた。
先程まで囁き合っていた貴族達も顔を作り下を向き膝を付く。
シン…、と静寂が訪れた所で騎士団長、陛下、宰相さんが入って来た。陛下が玉座に座り左右斜め後ろに団長さん、宰相さんが立つ。
おもむろに陛下が話し出す。
「さて…、そなた達が何故此処に呼ばれたか分かっているだろう?」
リリカル公爵が代表として口を開く。
「我がオルガナイト王国に輝き君臨する太陽の化身たる陛下にリリカル公爵が申し上げます。」
わぉぅ!!あんな立派な口上言えたんだ!!裏では分からずやだの無能だの偉そうにだの散々こき下ろしておいて!さすが腐ってても公爵だね!
「申してみよ。」
「此度の事、何故我らがかような場所へと連れてこられたのでしょう!陛下の忠実なる家臣である我等には思いもよらぬ事!如何に陛下と言えども些か強引ではありませんか?」
「ほぅ…、我が何も知らぬと?そなた達の犯罪行為を、我が国を、我を裏切る行為を何も知らぬと申すか?」
下を向いていた貴族が何人か顔色を変えたが、リリカル公爵は顔色1つ変えずに言い募る。
「さて…?何の事だかさっぱり分かりかねます。」
「では1人ずつ己が何をして我を国を裏切ったのか自覚してもらおうか。」
陛下が宰相さんへと目配せをすると、宰相さんが一歩前に出て侍従が持って来た紙を読み上げる。
…いやいや、待って!あの紙に罪状が書いてあるの?分厚すぎない?この人達どんだけ罪を重ねてるの?
つらつらと各家の罪状が読み上げられる。
リリカル公爵は誘拐に人身売買、麻薬の流通、領民から徴収する税が国の定めた税率を超えて不正に多く徴収しながら国に上げる税への不正報告。そして一番重い罪状は他国の貴族への武器の提供密輸。これが国家への反逆とされた。
リリカル公爵もそこまで調べ上げられてるとは思わなかったのか青い顔をして”我が公爵家への不正介入だ“とかなんだか言っているが黙殺されている。
モーグル伯爵は同じく誘拐に人身売買、麻薬の製造と販売、税の不正。リリカル公爵と共に麻薬を流通させ国際問題ににもなりかねない国家や周辺国の治安悪化を招いたとして内乱罪とされた。
他の貴族達もそれぞれ、人身売買、麻薬の売買、税の不正報告。
そして、ストロイエ侯爵家といえば……。




