第5話 デビル・ディスカッション2
「そうか魂は不滅なのだ、気にならないか?それと、お前どうやって、この奥さんの体に入った?」
悪魔は初めて慈悲の心に接し、恐る恐る水を飲み、おにぎりなど夢中で食べだした。
『うまい・・・食べ物は・・こんなにうまかったのか忘れていた…』
「そうれ・・わぁ・・・ごぼ・・・」
悪魔は食べ物を口からこぼし、その目から涙が流れ始めていた。
ま、同時に犯人の奥さんが食べているのだが…
別室で様子を見ていた武藤・小林刑事も驚きだした。
「武藤さん・・・」
「ん・・・めし食って・・泣いてるな・・・」
静華が言う。
「オイ食べ物は飲み込んで、それから話せ汚い、もったいないぞ、おいアキラ、ティッシュ」
「はい」
悪魔が言った。
「はい、地面を探り、水脈のまま井戸を探り当てました、そこに、この奥さん家族が居たのです・・・モグモグ・ゴクリ」
『ウウアアゥアゥウウー』
「おい、そろそろ体、具合悪くないか?実は水やおにぎりに少し御祈祷塩を混ぜておいたのだが、どこか苦しくないか?」
『アグア・グウグウグウ・・・ウガウガ』
「いえ・・ぜんぜん、なんともないですぅ・・・モシャモシャ」
「なに?苦しくないか?地中を走り回ったか?そうか、
出来したぞタイガ、お前は蛇なんかじゃないぞ、
お前、管狐となって手足が生えてからどれくらい経つ?
お前自身も気づかぬうちに黒龍になっているぞ、まだ角もなく心も体も小さいがな」
『グウゥアグアグウガ・・・ウガガウラウルルゥルゥルゥ・・・』
「え?なんすか、そのコクリュウとか?グスッ・・・うわ、これ、おいしいー!」
団子も食うタイガ・・・奥さん…
「あーあー鼻水も一緒に食うやつあるか汚い、アキラ、ティッシュ!」
「ああ、はい!」
二人が何を話しているのか半分しか解りませんでしたが
式は奥さんの鼻やら涙やら拭いてるうちに
本当に自然に式の頬にも、なぜか・・・涙が流れてまいりました…
悪魔タイガ、彼が神様から頂いた分霊は死んではいなかった。
主に命ぜられるまま動き、人々をひどい目に合わせてきたがタイガは、その都度、自身の心も傷め
『いつか自分は大地獄に落ちて這い上がることもできないだろう』
そう自分の運命を憂いていたのだった。
そして、とうとう自分を倒しに神の使いがやって来て
怖くて仕方がなく半ばやけくそになって暴れたり襲いかかってみたり、どうせ地獄に行くなら、めちゃくちゃにしてやろうと思っていた。
しかし、よく聞くと鈴木と小辻、あの刑事二人を襲ったのは自分ではないとタイガは言い出した。
「急に入れ替わったんだ、信じてくれ・・・ガフゥ・・・あの主は鬼屋に隠れている…」
静華が東京のホテルでレッドシグナルを発信した、あの夜。
確かに並みの悪霊・悪魔ではなかった・・・
静華は予め用意していた青い玉を手のひらに取り出すと
タイガに呪詛をかけ、
その玉の中へブラックドラゴン・タイガを封じ込めた。
「帝雅よ、いつか我らの力になってくれ、強くなって戻って来いよ」
その玉は、かの夜叉ヶ池に通じている。
異空間で白龍と青龍が待っており各・龍神様と八大龍王様による裁判が行われ自力で蛇から龍にまで変貌したタイガは静寂に包まれる夜叉ヶ池の底で罪滅ぼしの行に入ることになった。
「青い不思議な玉は私が子供の頃、よく川で遊んでいた河童からもらったものだ」と静華は言った。
奥さんとタイガは完全に分離された。
それでも奥さんの罪が消えるわけではなく、静華の計らいもあり弁護は堀之内先生に依頼することになった。
少しでも奥さんの刑期が短くなりますようにと式は願った。
「我ら一族の敵は悪霊と、かの魔導士、悪魔を召喚しあらゆる災いを起こす奴ら、宿敵なり」
今まで、どんな経緯があったのか式には、わからない。
でも、夜、現場にて月に向かって叫ぶ静華の姿は
一生忘れることはない。
「アビラッー!」
『鬼屋の悪魔、お前だけは絶対に許さん』




