第2話 精進料理
重いキャリーケースを、なんとか車に積み込み和華の要望で現場に行くことになり移動した。
「和華さん、ひょっとして魚や肉は食べないのでしょうか?」
身の回りの、お世話を頼まれた式にとって彼女の食事も大事な仕事です。
「そうなの、食べてはいけないの、食べても死にはしないけど
体内から魚や肉が出て行くまでの間は邪気を取り込むことになってしまうので、
その分、神様のお力添えが減ってしまうの
私たちが食べるときは、わざと邪気を呼び込み味方につけて
ソレ相応の相手と闘う時だけ、
でも危険が伴ってしまうのよ歯には歯を、わかる?アキラおじさん」
「はぁ、では肉・魚以外なら大丈夫なんですね、歯には歯をか・・・」
「いいえ、卵、乳製品もダメ、カツオ出汁やラーメンスープもダメ、つまり・・・」
「ははーん、わかってきました・・・
なるほど、じゃコンブ出汁や塩、黒砂糖、天然植物系香辛料なんかはOKなんですね」
「さすがアキラおじさん物解りがいいのね私も、そうめんカレーセット食べてみたかったわぁー」
式も尾形も読心の超能力に、だんだん慣れてきた。
「え?あぁアレですか・・・わかりました。
実はちょっと心当たりの良い調理師がいまして
実家が老舗の仕出し弁当店をやっているヤツなんですが、
すぐに頼みますよ菜食主義者のそうめん・ハンバーグカレーセット」
「ホントー!うれしいなぁ完全肉魚無しで作れるのォー?」
「多分、大丈夫ですよ彼は修道院にも仕出し弁当収めてますのでバッチリですよ今すぐ電話してみますね」
「わぁー!お願いっ!」
式は友人のデリバリー弁当店を経営している土井良憲に電話しました。
彼は料理オタクで昭和レトログッツ・コレクターだった。
「もしもし」
「あー式さん久しぶり、どう?ちゃんと、ご飯食べてる?」
「いやぁーどうかな、その内また弁当たのむよ」
「あぁコチラこそ頼みますよ」
「仕事は忙しいですか?」
「まぁ一進一退って感じかな・・・ま、それなりやってますよ」
「あーそう、実はさぁ、ちょっと頼まれてくれないかな」
「金?」
「いや今回は違うんだ、菜食主義者の徹底料理、作ってくれないかなぁ、
メニューは豆腐ハンバーグとカレー、それと温かいそうめん、
但し、そうめんはコンブ出汁だけで作って欲しいんだ、
あとできればコロッケ、切干大根に肉の入らない、きんぴらごぼうなんかも頼む、
しかも今から急なんで報酬は10万、現金払いで、頼むっ!」
「あーなんか大事な人なのかい」
「そうなんだ、とにかく油にバターとか動物性の物使わないで
例の修道院向けで、お願いしたいんだよ」
「あーはいはい聖職者なのね、あと10万もいらないよ」
「わかった頼める?今夜、夜中でも取りに行くから」
「いいよ、丁度時間あるから今からかかるよ何人分」
「えっと10人分、あっ、ご飯は、こっちで炊くから」
「了解、任せておいてくれよ出来上がったら電話する夜中でもイイんだな?」
「うん、今日は遅くまで起きてるから朝方でもいいよ」
「ははは朝方までなんて、こっちがお断りだよ、わかった今から始めるから」
「すまんなぁ、よろしく頼みます」
「はいよぉ」
『あー良かったァー、これで少しはいいぞ』
「頼みました」
「ありがとぉーアキラおじさん大好き!それと尾形兄ちゃん、お父さん会社にいる?」
「はい、いますけど」
「それじゃ、これから会社にも行くから、お父様に待ってるように連絡して」
「はい了解です」
式は思う。
『政一郎さんの言っていた通り和華さんは、しっかりしているなぁ。
自分が同じ年頃の時は、どうだったかを考えると恥ずかしくなる』




