第9話 カオス・カオス・カオス4
小辻巡査が言った。
「あれ?鈴木さん、変ですよアレ」外からでも光の明滅が確認できた。
「んぁ?なんだあれ、ちょっと行ってみよう」
「はい」
車から降りて事務所に走り寄り二人でドアをノックしたが返事がない。
相変わらず事務所の照明は点いたり消えたりしている。
そして窓や壁も時折、バンバンと音を立てていた。
それは悪魔たちとアストラル体の静華が刀を振り事務所の外で戦っている音だった。
「ウガァーーーッ!!」
―フォンフォン、シュッ!フォンッ!
「かかってこいっ!コラぁあああああっ!!」
静華は、たった一人で大勢の悪魔に挑んでいた。
『斬っても斬っても湧いてきやがる・・・』
正面、右、左、後、突き、上段、胴、下段…
大見得を切り大回転…上からの滝斬り…
これが祭師、乱切りの形。
「イーーヤッ おりゃぁあああああーーっ!!!」
静華の柴刀で斬られた悪魔は砂が崩れ落ちるように消えていく。
助けはなくとも静華はやるしかないと心に決めていた。
なぜなら子供の頃から大好きだった神様、アラハバキ様の光を見たかったから・・・
静華の刀が激しく周囲を舞い、悪魔たちを斬っていく。
「イーヤッ!オンッ!!アビラッ!イーヤッ!ハァッ!」
―フォンッ!シュッシュッ!フォンフォンフォンフォンッ!
「ウギャーッアアアー」
悪魔たちが斬られるとジュウジュウと音を立て煙となり周囲に焦げ臭さを残して消えていった。
自分の刀で斬られ叫び声を上げる魔物たちが哀れで、そして遠い地で独り刀を振っている自分。
なぜか静華の目からは涙が流れてきていた。
「なんだ、泣いているか、あははは、どうしたアストラルシスター」
悪魔の一人が笑っていたので静華は思いっ切り刀を振った。
「しゃらくせぇええええーっアビラッ!」『フォンブンッシュンッ!』
「あっ・・・ギャァアアアアーーーッ」『ブシュウッ・・ジュウー・・』
静華の抜刀演舞は居合の要素も含め真似のできる者はおらず
スピードにかけては速すぎて太刀筋すら見えない。
いつ抜いたか、いつ斬ったか・・・
目の前まで来ているのに
刑事二人は風を感じるくらいで静華の激しい攻防は見えていない。
それでも刑事二人を守護したのは静華だった。
無数の黒い悪魔たちは獣の頭をした人間の姿だったが
鋭い牙、つんざく爪、真っ白で無感情な眼
無意味な剣を持つものも居た。
「ウリャアアアッ!!」 悪魔たちが襲い掛かるっ!
『お前らの相手はわたしだっ!』
斬る斬りまくる静華は飛び廻り柴刀を振り下ろした。
「エイッヤアッ!」
気合によるエネルギー波が付近の電気・電波に干渉して
街灯が明滅して風が起こった。
「ギャアーッ!ウゴッフウ・・・グゥウウウーー」
小辻刑事が鈴木刑事に尋ねた
「何か焦げ臭くないですか?」
「うん臭いな、よし入るぞ」
「ハイ」
次元の違う戦いに二人は、まだ気が付かない・・・




