第14話 影歴史2
その時、西条先生は写真を何枚か確認すると
無乗庵の周辺に黒い人影が立っている写真、
空き地の空中に煙や蛇のような光跡を残している人魂のようなのが写っていて気味が悪くなり見るのをやめたらしい。
その翌朝、西条先生の元に学校の教師仲間から電話があり、
火の気のないところから出火して民谷先生の実家が火事で焼け落ち焼け跡から彼の遺体が発見されたという知らせだった。
その、お葬式は学校の関係者と実家のあった町内会の人間が中心となり、しめやかに終わったらしい。
葬式より何日か経った頃から今度は西条先生が毎晩、悪夢でうなされるようになったが心配をかけたくないので奥様や学校の同僚には黙っていた。
夢に、あの土地が出現して、そこに亡くなった民谷先生が立っており
まるで生きている人間のように
『おいで、おいで』と手招きを、いつまでも繰り返す。
『ただの夢じゃないな』
そう思った西条先生は
民谷先生が置いて行った鞄をもって聞いていた無乗庵に向かい、ご住職に色々と相談して一緒に定期的に供養を始めたそうです。
彼の置き土産、カバンとノート・写真は住職様の手でお焚き上げ供養されました。
式と尾形は、あまりの凄まじい話に言葉を失い唖然としていた。
「その後、夢は見なくなったのでしょうか」式が西条先生に聞いた。
「あはは見ますよ・・・今でも時々・・・ですが夢ですからなぁ・・・
私たちに出来ることは、実直に生きることです、もちろん亡くなった方たちを忘れないようにです」
悪夢のような古い時代の出来事から、かなり時が経っていても
未だにそのような死人が出るほどの祟があるので、
当時の住職様が市役所に出向き、なんとかならないかと相談したところ
市の会議の結果、区画整理推進で、その火葬場跡を本格的に供養をして公園にする、という名目で予算が組まれたのだそうで、それは1970年代の出来事でした。
ところが市役所では火葬場跡を特定して、その場所のみの整地と公園化だけが計画されており、肝心の骨が埋められている並びの場所については何も計画されていませんでした。
もちろん住職様は事情を説明して計画の追加などをお願いしたらしいのだが
古い地図には『火葬場』と記載があるものの周辺の土地には卍のマークがされており整地するのは火葬場の一角だけだと決まってしまった。
もちろんそれでも何もしないよりは良いのかもしれないが火葬場跡の地面には、おそらく何も埋まってはいない。
遺骨は、あのアパート周辺の地面に埋まっているらしい。
細心の注意を払い連日、お経を上げて整地作業が進んでいき、然したる事故などもなく、公園は完成した。
その時の様子は西条先生も見知っており話はスムーズに進みましたが
問題は公園が出来てから起きたのだ。
まず公園にはブランコがあったが、そこで首吊り自殺が発生。
公園のベンチには酒の空きカップが置いてあり覚悟の自殺だった。
亡くなられたのは近所の住人男性だった。
近所の人達は噂話で元からその土地周辺は忌地だと知っており自分の子供たちを公園で遊ばせることは、まずなかった。
それと公園建設に携わった役人と建築業者の癒着が発覚して問題となり不正は消えることなく
議会の議題に上り、市の予算の無駄使いだと凶弾されて使用された金額の補填を求めて
元に戻さないのなら訴えると市民団体が騒ぎ出した。
その時ある事、無い事が噂され最初に陳情に行った住職様にも随分迷惑がかかり
疑いが綺麗に晴れることもなく住職様は、それが原因で病に伏されてしまい数年後、お亡くなりになられたということだった。
そして、どこでどういう折り合いになったのか忌地の端の方の一角の土地が売りに出され、
それを不正補填に当てることになったが、
どこの不動産会社も個人も購入する人が現れず
少しずつ値段が下げられても何年も売れることはなかった。
式は、あのアパートが建てられた経緯と祟の本質が見えてきた。




