第10話 西条先生
朝、尾形君が迎えに来ました。
せっかくなので静華に送っていただいた革ジャンを着用。
内側には『式 亮』と名前が刺繍されていました。
式専用のジャンパーということになる。
式は見ず知らずの人なのに素直に嬉しい心遣いに思った。
XLサイズだったが体型にぴったりフィットでラフな感じにはならない。
しかしながら、この黒いジャンパー内側に特殊な刺繍がされていた。
真言、梵字の厄除け、左右の肩にあ・うんの梵字、背中中央上部には真っ赤な糸で鳥居の形が刺繍されており
尚且つ表面、左胸には金色の糸で意味深な菊の御紋が刺繍されております。
『あ戦闘服か・・・そういうことね・・・』
式は首のアザが少し消えてきたところで白いYシャツにネクタイ、黒のジーンズで決めてみた。
ほか届いたヘルメットと作業服にも似たような防御策が施されていた。
さて地元の郷土史研究家、西条規人は元、高校の教師で歴史を教鞭。
趣味が地元の歴史研究、主に幕末から明治、大正時代がお好きなようで色々と研究されていた。
式は尾形君を伴って西条先生の御自宅に、お邪魔した。
「はじめまして式アキラと申します、こちらは私の助手で尾形誠一君です、よろしくお願いいたします」
とりあえず名刺と和菓子の手土産と自腹で寸志と書かれた封筒に3万円ほど入れたものを差し出した。
「ああ、どうもよろしく」と西条先生は、お土産を見もしないで脇に置くと
「何を、お調べですか」と聞いてきた。
式は正直に
「新川沿いの公園と空き地、そこに並びで建っているアパートを解体して土地を浄化するための調査をしています」と述べると
西条先生は目を輝かせて
「おおっ!ようやく、あなた方のような方が、いらっしゃいましたか、それはそれは、ご苦労様です」と言いました。
そこへ先生の奥様が、お茶などを応接間に運んでくださった。
「おい、お土産もらったぞ、お前からも御礼を」
「まぁご丁寧に、ありがとうございます」奥様は、そういうと、お土産を携えてすぐに退室された。
「そうですか、あの土地を・・・あそこは人間の悲しい歴史が埋まっておりましてな、
あそこの公園が作られた時、私も少しばかり助言致しまして〇〇寺の当時の住職様とも随分、供養させていただきました」
「え?本当ですか、やはり曰く因縁がある土地なのでしょうか」
式は身を乗り出し伺うと西条先生は背中にある本棚から色々と資料を選んで、ゆっくりと話しだした。
「あなた方、今日は時間が何れ程ありますか話は今日一日かかりますぞ、それでも良いのですか?」
「ハイ先生さえ、ご迷惑でなければ私たちは時間無制限です、なっオガタ君!」
「はいっ!先生!お聞かせください、お願いします」尾形君も頭を下げました。
「おーほほほっ、そうですか嬉しいですなぁーこんな日が私にやってくるとは・・・」
先生はコレクションが豊富で当時の新聞記事、
昭和初期のカストリ雑誌、希少な幕末の戦闘記録資料などを
次々に用意して、こう言った。
「まず・・・今日のお昼、先に出前でも予約致しましょうか」




