第7話 超能力
式は事務所に戻ると疲労でソファーに横になった。
「あー、我が家が一番っ!」
緊張がほぐれ大きな声で、そう言いながらソファーに寝転がった。
すると
―コンコン!
とノックの音がした。
「はーい、どうぞー」『寝たまんまでもいいや・・・』
誰も入って来る気配が無い。
『ん?』寝ながら入口のドアを見たが曇りガラスの向こうには誰も居ない。
『気のせいか』と思っていたらポケットのスマホがバイブした。
表示は非通知でだった、恐る恐る出た。
「ハイ、シキです」
「お疲れ様です、祭師の榊原静華です」
「あぁっ!どうもです、ご挨拶したかったんですが電話番号わからなかったものですから失礼いたしましてぇー」
「寝転がったままで、いいので聞いてください」
『えっ!なになに!わかんの?』
「最初に言っておきます実は、ここ一ヶ月ほど式さんを、ずっと監視させていただいておりました大変な毎日ご苦労様です」
式はソファーで起き上がった。
「ハイ・・・」
「無断で監視など致しまして申し訳ございません、しかしながら私も不本意でして私の父が、どうしてもという事でして、お許し下さい」
「ハイ・・・」
「監視と申しましても遠隔透視という形でして隠しカメラなどがあるわけではございません」
「ハァ・・・」
「リモートビューイングというやつです、それと先ほどのノック音は私の遠隔念動力です、リモートサイコキネシスと言います」
「ハ、ハイ・・・」
すると
―コンコン!とまたノック音がした、目の前のテーブルから…
「それと今回の報酬につきまして不満はございませんでしょうか」
「いいえ、まったく大いにありがたいと思っています」
「今回の祭事が終わりましたら、さらにお支払いいたしますので張り切って働いてくださいね」
「ハイ」
「それから式さん物書きだそうですが・・・」
「あハイ大丈夫です今回のアパートに関わる一切、封印していますので書きません」
「そうですか書けるものなら別に書いてもかまいませんよ、ただし今までも私の祭事、書いた方いましたが、みんなボツだったようです」
「はぁ書いても・・・ボツって何かあったんですか」
「さぁ、あんまり現実離れしている事が多いのでボツになったんじゃないでしょうか、あと祟で出版社がNG出してきたとか、そんなとこだと思いますが」
「はぁ、なるほど」『じゃやっぱり書けないジャン』
「それと差し出がましいのですが、お金は無駄使いしないで欲しいのです」
「はぁそれは大丈夫ですが何か制限があるのでしょうか」
「いいえ、ありません、ただ変な投資に使ったりギャンブルやキャバクラなどで散財しないで欲しいのです」
「それは・・・ないですね監視されてたのなら、お分かりかと思いますがギャンブルもキャバクラも無縁です、ただ…」
「ただ?」
「ハイ、数千円のクラブ通いや欲しかったプラモデルくらいは使ってもよいでしょうか?」
「あなたのお金ですから・・・何に使ってもかまいませんよ、ただ散財だけはやめてほしいのです、これでも余っている、お金を報酬にさせて頂いた訳ではありませんので、それなり私も労力を費やしていますので・・・」
「あ、もしかして、おごったりとかそういう・・・」
「そうですね、すぐ気が大きくなるというか貴方は宵越しの金を持っていられない性格で自分に必要な人間を自ら遠ざけて逆に足を引っ張ってくるような人間を選んで、そばに置く性質があります」
「なるほど、そうかもしれません・・・」
「仕事に集中していただきたいのです命が掛かっていますので」
「はい、そうですね」
『そうでした…』
「そのかわり、いつでも私が見守っていますのでよろしく、それでは今晩またお逢いしましょう、明日から忙しくなりますよ、ウフフフ」
―プツ・・・電話が切れた。
『今晩?こんばんってなんだっけ?・・・わたしが?・・・
あ、電話番号聞くの忘れた・・・』
―コンコンと又テーブルが鳴りました。
『うわ、こっちの考えてること解るんだな・・・
忙しくなりますよ・・・どっかで聞いたフレーズだな・・・
なんだっけ?…
あーっ、母が死んだ日の神社の、あの電話・・・
あれぇー?・・・成田の救命時の消防の、あの119の人・・・
静華さんだったのかな・・・・まさかなぁ・・・』
―コンコン テーブルが鳴っている。
『すごいな・・・静華さんで、こんなにすごいなら
城一郎さんて、お父さん・・・どれだけすごいのかな・・・
これも・・聞かれてんのかな・・・見られてんのかな・・・
周囲を見回したところでカメラがあるわけでも無し・・・』
式は立ち上がりました、独りぼっちの事務所で・・・踊りますパンダの顔で。
「萌えーっ萌えーっ!もえもえっ!キュンキュン!
アキラー感激ですぅー!ニャン、にゃ・・・」
―バンッ 突然、事務所の電源・漏電ブレイカーが落ちた。
『うっわーめっちゃ怖いんですけど・・・・真っ暗・・・』
すると
―ブーンブーン とテーブルに置いたスマホがバイブりました。
表示は非通知。
『多分、静華さんだ・・・ふざけたから怒られるな・・・怒られるんだきっと・・・ブレイカー落ちたし』
「はい・・もし、もしもし」
「も、萌えーっ萌えーっ!萌え萌えキュンキュン、シズカァ感激ー!
ニャン、ニャン!!ブツリ ツーツーツー」
『あ、そうなんだ…冗談は一応、通じるのね・・・良かった…』
式はソファーに座り込み茫然とした。




