第1話 取材
函館の片隅で、ひっそりと一人の男が生活していた。
彼は職を転々としていたが、どうしても上とイザコザを起こしてしまうので自分で気が付いてしまった。
『俺に勤め人は無理だ』
朝が苦手、パワハラは許さない、馬鹿な上司は、もっと許さない。
社長を殴って辞めたこともあった。
彼の名前は式亮
そんな彼は私立探偵を始めた。
最初は無許可での開始で遊び半分だったが
ある薬絡みの事案を警察に通報したのがキッカケで担当刑事の勧めもあり
探偵の営業登録を済ませたばかりだった。
別に、それで一生食べていこうなどとは思ってもいなかった。
そんな彼の趣味は怪談蒐集だった。
仕事がなければブラブラしているしかない彼は知り合いが編集長を務めるローカル雑誌に趣味で怪談のコラム連載をしていた。
しかもノーギャラで…
理由は自由で居たいので金で縛られたくなかったのと
何か不都合があっても、すぐにやめる事が出来るからだ。
ある日ローカル雑誌編集者さんからの連絡で読者からの相談が来ていると連絡があった。
以下詳細
怖い話の取材OKを、もらい彼は尾形誠一さんと初めて会った。
彼の第一印象は若いけど落ち着いた感じの
『静かな人かな?』という印象を受けた。
取材の内容は、こうだった…
現在会社員の尾形さんは、かつて無職だった。
高校卒業後パチンコで生計を立てていたといい、しかし実家暮らしだった。
さて尾形さん、友人AさんとBさん、この三人が遊び仲間でした。
そして、ある安いアパートにAさんが入居したと尾形さんは聞かされた。
Aさんは
「Bに手伝ってもらい引越しが完了済みだ」という。
Aさんは母子家庭で最近お母さんに彼氏ができて、いつも
「俺は邪魔者だから家を出たい」と言っていた。
尾形が早速Aさんのアパートに行ってみると部屋にはTVも洗濯機もなくガスレンジや電子レンジも無い。
着替えと布団だけ持ってAさんは家を出てきていた。
「順番に揃えていけばいいさ」
三人共この頃はAさんの新しい生活に希望を持っていた。
尾形とBはAに「引越し祝いだ」と言って、
それぞれの部屋から照明器具や未使用の食器セット
それから3人でドラッグストアに行って洗濯洗剤や風呂道具を買い、
それから手頃な電子レンジとハンバーガーを買ってアパートに帰宅した。
近い繁華街から歩いて15分、自転車なら5分ほどで買い物もパチンコも通うには最高の立地でしたが、なぜかアパート周辺は公園、川、空き地が多く
『普通ならもっとマンションなんか、あってもいいのに』と尾形は思った。
二階建ての古いアパートだった。
Aの部屋は一階で真ん中の102号室。
一階端の101号室は空き部屋103号室も空き部屋、
次いで二階には105、106、107号室があり
二階の106号室以外は、すべて空き部屋だった。
驚いたのは家賃の安さでした、とにかく安い部屋をと不動産屋さんで探してもらった中で一番安く8畳間が二つ台所とバス・トイレ付き
1万五千円~2万円でAの部屋は家賃が月2万円だという。
聞けば101号室は風呂が使用不能でシャワーのみOKで月1万五千円だったのでAは最初
「そこでいい」と言いましたが不動産会社の勧めで102号室になった。
一応101号室を内見させてもらうと畳が汚れていたり
確かに風呂場もカビ臭く奥の和室もカビ臭い感じがして
102号室にしたのだという事だった。
その後3人は毎日、早起きをしてパチンコに精を出していた。
学校時代や他の事では早起き出来ない3人でしたがパチンコだけは
『バチッ』と、みな目が覚めた。
3人の中で一番稼ぎたいはずのAが一番パチンコがヘタで。
勉強のためコンビニで売っている必勝本なども読んで勉強したが
どうも性格的に毎日、打たなくては気が済まないらしく
パチンコイベントでもない平日は映画を見たりゲームでスロットのシュミレーションをしていた尾形・Bとは違い
部屋に何もないAは一人でもパチンコに出かけて行って
せっかく稼いだ金を次々パチンコ屋に回収されて
持ち金がなくなると危ないところや尾形とBに
借金するようになってきた。
そんな頃ある朝、二人は車でAを迎えに行きました。
その日は少し離れたところにあるパチンコ店のイベントデーだからです。
Aは部屋から出てきましたが何だか、すごく調子が悪そうだった。
「どうした具合悪いのか?」尾形が心配して聞いた。
「いやぁー眠れなくて、やっぱ安い部屋ダメだな…」
「なんで?」
「うーん…」とハッキリしない。
「なんだ、おばけでもでたか」とBさんが冗談めかして言うと
「うーん、おばけかもしれない…」と言い出した。
「オイオイまじかよ、どうした何した?」
「前からだったんだけど隣の部屋で物音がして、うわーってすごい叫び声が聞こえてきて壁なんかもドンドン鳴るし…」
「なんで?となり両方とも空き部屋だろ」
「そうなんだけどさ実際うるせぇから夜中、外に出てみたら
隣の101号室、明かりついてたんだ。
それが何かよぉー緑色の薄暗い感じなんだけど中からうわぁーとか何かすんゲェ叫び声でよ
警察呼んだほうが良いかと思って見てたら明かり消えて
声も聞こえなくなって部屋のドア開けてみようと思ってみたらカギ掛かってるし…毎日のように何かあるんだぁ」
話を聞いていた尾形とBは黙ってしまった。
「やっぱ、まずいよなぁ」
そういうAは目の下にくまが出来ていた。
「おい、それ、わかったけど今日パチンコ打つ体力あんのかぁ」
「うん、少し休めばいいから…」
尾形が適当に言った。
「オバケなんて大丈夫だって、あとで相談に乗るから」
「おう・・・」




