第78話 第1回奥様会議
「これより第1回奥様会議を開催する。議長は私、ヘッカが務めオブザーバーとしてポセとアンピが立ち会う。こやつらは喧嘩ばかりしているが夫婦歴はやたら長いのでな、みんなが参考になる意見があるかもしれん」
「はじめに今後の妻の処遇についてだが、意見のある者はいるか?」
「私はセブンスターズを一度休憩させてもらって領地の様子を見に行きたいと考えています。梳李に任される仕事を嫌だと思った事はありませんが、サメハダには新たに観光宿場街ができ、領地より数多くの役員やスタッフを出してもらっているため、地方の様子を見ておきたいのです」アスコット
「もっともな意見だね」ヘッカ
「要望はどの程度の話をしてよいのですか?」ミーティア
「今日集まった理由なのだけど…梳李から私達4人と他の7人では一緒にいる時間が違い過ぎると話があってね。平等ってなんだろうって言ったから、それならいっそみんなの仕事を他の者と交代して、全員を連れて歩けば良いじゃないかと話をしたのだけど、強敵と戦闘になった時に不安を感じると言うので、まずはみんなの意見を聞いてみようという事になったのですよ。だからずーっと傍に居たいという要望も聞く予定です」フェアリー
「それならば私はどんな危険な場所だとしても、ひと時も梳李から離れたくありません」ミーティア
「加えて言えば、私の店は売り子はメイドさん達で対応できますし、新たに雇ったドワーフとエルフも仕事を覚えたので、私とアリアナとアンは抜けても業務に支障はありません。以前からアリアナともアンとも梳李といられる日が、いつ訪れても良いように準備していました。あと3人とも強く子供を欲しいと思っています」ミーティア
「私の店もいつでも引き継ぎはできますよ。商品の仕入れもヘカテーからなのでリスクはないですし、はじめから使用方法の説明もデモンストレーションもメイドさんにお願いしていますから」イザベラ
「私はメイド長をいつでもエミリアに交代できるようにはしています」オリビア
「結局みんな寂しいから一緒にいたいという事か」ヘッカ
「寝る時に一緒に居るだけでも我慢はできますけど…満足ではありません」サラ
「だいたいのみんなの気持ちはわかった。ここで先に新たに加わった3人を紹介しておこう。ギガースの王女レオットとギガントの王女ファニーとヘカテーの舞踊部隊からピーシスだ、3人とも梳李の嫁を強く希望している」ヘッカ
「前からフェアリーに聞いていましたし、フェアリーやヘッカがその人達を見て、梳李に良いと判断した人なら、いまさら何人か増える事に意見するつもりは無いですよ」アリアナ
「ですです!」アン
「ならば梳李もそれで良いかな?」ヘッカ
「そうだな、いい方向で考えるけど少し話はしたいかな。品定めをしたい訳じゃないけど、遠目に見ている俺と実際の俺が違ったら申し訳ないからな」
「それはかまわないけど、その3人も梳李の寝言も聞いているし、どんな夢を見ているかも私が説明してるから知っているよ」ヘッカ
「はい、いまさらこんな人だと思わなかったとなる事はないですよ」フェアリー
「ちなみにハーレムタイムにも本人の希望で、参加した事はありますよ」ヴィーナス
「や!やめてくれー!は、恥ずかしい!恥ずかしすぎるじゃないか!」
「梳李はそうかも知れないけど、私達はそれで幸せなのだからいいんじゃないの?」エンジェル
「ひとついいかの?梳李に言いたいのだが…おぬしだけずるくないか?羨ましいすぎるじゃないか!」ポセ
「あんたはなにをいってんの!」アンピ
「まてまて、貴様らの夫婦漫才を見るために集まった訳じゃないんだ」ヘッカ
「す、すまん…ついつい」ポセ
「羨ましいってどういう事か、あとで説明してもらいますからね。場合によっては私もあんたに見切りをつけて梳李の奥さんにしてもらうからね」アンピ
「おいおい…それは神の秩序と神話に悪影響があるだろ?アンピそれは思いとどまれ、魔力供給なら私からも頼んでやるから」ヘッカ
「私も妻としての供給を受けてみたいのよ。みんなと朝ご飯の時に会うとあまりにすっきり清々しい顔をしているから、一度覗いた事があるんだけど…羨ましくて、こんなヘタレの嫁になった事を後悔しそうだったわよ!」
「梳李!そちらでも師匠と呼ばせてください!」ポセ
「まてまてまてまて、そちらでもって言うのはやめてくれるかな」
「梳李もみんなの気持ちはわかったでしょ、みんな少しでも長い時間一緒にいたいんだよ。私ですらいつか話をしたように、何百年かのちに梳李とのお別れが来ると思うと、今から悲しいと思っちゃうもん。他のみんなには短すぎる時間なんだよ」ヘッカ
「サメハダも完成したし、領地経営についてもロドリゲス王家からの応援をもらっている、さっきアスコットが言ったように地方に人手不足さえなければすぐに落ち着くだろう。商会の関係と店はガブリエルに任せれば問題ないな、ミーティアの店にはエルフの商業組合から執行社員も来ているしな」
「セブンスターズはどうなんだ?アスコットとサラが抜けた穴は埋まるのか?」
「いまでも入隊希望者は連日あとを絶ちません。補充は即日でも可能ですし、最近はダンジョンもより深くにアタックしているので、ツーパーティと言うよりも14人のワンパーティとして探索しています。ガルーダを隊長としてしっかり編成し直したら問題ないと思います」アスコット
「ガルーダはあんな風に白虎種で身体も大きく、冒険者らしく豪快に振舞ってはいるけど、とても繊細で人に対する配慮も欠かさない人物だけど、ひとりで隊長を任せる事が重荷にはならないか?無理はさせたくないんだよな」
「そういった懸念がある事は私にも何となくわかります。ですが責任感は誰よりもあるので、1歩間違えば使い捨てになってしまう冒険者の隊長には適任だと思います。それにガルーダならどんな壁も乗り越えると信じています」アスコット
「確かにそれもそうだな」
「ぼちぼち採決を取ってもいいかな?」ヘッカ
「新たな3人を加えた14人の妻一同は、いままで通り梳李にかわらぬ愛情を持って付き従うのは当然のこととして、少しでも長く一緒に居られる時間を希望するという事でいいかな?」ヘッカ
「ではサメハダ領の視察も全員でお願いします」アスコット
「満場一致で可決した!梳李、あとは頼む」ヘッカ
「まるなげかよ!」
「まあわかった、基本的にはヘカテーの王城に活動拠点を移して朝から夜まで一緒に暮らそうか、仕事もなるべくヘカテー国内で済むようにみんなで手分けをして、セントラルには側面から協力する形を考えよう」
「みんなには寂しい想いをさせて悪かったな。許して欲しい」
「どこでなにをしてても梳李は梳李です。私達が寂しいと思うのは私達のわがままです。悪いなんて思わないでください」サラ
「そうですよ梳李、くっついて離れたくないのは私の本能のような物です」ミーティア
「私達も同じくですよ。いまでもデイビスで過ごした、たった数日間を思い出さない日はありません」アリアナ、オリビア
「師匠!先ほどの話の続きを!」ポセ
「いやその話はとっくに終わってるんだよ!」
セントラル議会の議長と大会本部の仕事を交代したいと各国の王に伝えた所、指標は出来ているから問題ないという事でまとまり後継者に譲る事になった。セントラルの最後の仕事として神殿の建設と家電工場の建設だけは残っているが、ここにいる全員に協力してもらえば、1か月もあれば問題なく軌道に乗るだろう
任命式は遠慮したものの、ズーダンからは獣王勲章と、クラフトからはプラチナスミスという称号を与えられた。両国とも後世に残す為に新たに作ったらしい、国民には広く公開され、世界共通の祝日となった、それによって梳李は、ヘカテー王国の国王でありながら、各国の共有の民となった
結局は難しい問題が起こった時の応援要員として、体良く使われるだけなのだけど、それも冒険と思って諦めている
商会の事はガブリエルに話した所、アスコットの領地に視察に行く時に、自分の方にも来て欲しいとの要請は付いて来たが、新たな決意を胸に快諾してくれた。エリウスも商会の仕事には興味があったらしく、特にイザベラの後を継げると喜んているようだ
ガルーダはやはり責任を重く受け止めた様子だったが、ヘカテー王国に全員で拠点を移すことを喜んでくれて、くだらない事でも相談がある時は、王城に飯を食べに来れると言う条件付きで引き受けてくれた。大いなる成長に期待している
ヘカテーの王城で公務をするようになると、各国との通信や議会からの通信が増えた物の、意外と落ち着いて処理できる為に、セントラル在住の頃よりも効率よく仕事をこなせている
早く冒険に出たいのだが、いまの所は公務から離れられず、奥様方の日常は片手間の会話や休憩時間に一緒にお茶を飲む程度の時間しか増えていない物の、妻同士の話し合いでローテーションが組まれているらしく、2人の時間を過ごす事は多くなった
俺自身は父親になる決意もやっと出来たので、誰もが羨むような14人の美女を相手に野獣になっている
そういう報告いらないから!( ̄▽ ̄;)
第79話に続く




