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第76話 温泉はいいなあ


「到着!みんなお待たせー!」


ファミリーの全員とヘカテー王国のスタッフ、サメハダの領民からの世話係と警備隊が俺達を出迎えた。ファミリーの者が演者や付き人を案内し、各国の来賓の案内は俺を中心に妻が補佐に入った


「しかし梳李の奥方はみな美しいなあ」ホーガン


「お褒めに預かり光栄です。ですがそのようなお世辞は必要ありませんよ」サラ


「おお!アルフの娘達か!いつぞやはそなたらにも世話になったらしいな、国王として礼を言うありがとう」


「国王陛下!頭をお上げください!」アン


ホーガンとアン達のように、ミーティアにもバッシュは礼を尽くし、各国の王様はみなセブンスターズの自国のメンバーに礼を尽くした


恐縮しながらもみな誇らしげだった


温泉旅館にはウィリアム達が先に到着していて俺達を待っていた


「おお!ウィリアム!アレクサンドも!久しぶりだなあ!元気だったか」


「がははは!王族がこの好景気にしょぼくれている訳が無い!」


「げ、元気そうだな( ̄▽ ̄;)」


「街道の開通式には来て貰えるのかな?」


「いつやるんだ?」


「そうじゃな、もう最終点検に入っておるから…いつでも出来るんじゃがな」


「サミュエルもアンドリューもサマンサも頑張ったんだな!お疲れ様!」


「サメハダの地区の工事をみて他の区間もズーダンから応援を呼んだのですよ。獣人の働きっぷりを見た国内の業者も、影響を受けてとても工事がはかどりました」サミュエル


「国交とは良いものですね」アンドリュー


「私も文化交流というものがこれほどの相乗効果を産むと知り、他の国の民を学び文化を学ぶ大切さを知りました」サマンサ


「お前達は次のロドリゲスを背負って立つんだ、見識が深まり広い視野が持てたのなら良かったじゃないか」


「はい!梳李にはまだ遠く及びませんが、ロドリゲスの民にも尽くす王家であろうと決意しています!」サミュエル


「わしからも梳李に礼を言わせてもらう、どうもありがとう!経験に勝る知識なしじゃな」


「そんなことわざを良く知っていたね、ロドリゲスにもあるのか?」


「大賢者様の伝承の書に書いてあったんじゃ」


フェアリーは5代目と俺しか転生者を知らないと言っていたが、ナビゲーターを所望しなかった転生者がいたのだろうな。所望しなかったというより存在を知らなかったのだろうけど


ゴルゴーンの攻撃から漆黒を守る為に5代目は技を残してくれて、大賢者の書は俺が世界をひとつにする為の大きなきっかけになった


何百年の時を超えて全て繋がっている事に感動した。歴史とはそもそもそういうものなのだろうな、戦国時代の話が好きだった俺は、いつも本能寺で信長が倒れなかったら太平洋戦争は起こらなかったのでは無いだろうかと考えていた


なぜなら信長がもう少し長く生きていたら、江戸幕府による鎖国は無かっただろうと考えていたからだ、太平洋戦争にまで思考を飛ばしたのは、戦争という出来事がなければ良かったのにという単純な平和思考なのだが、江戸幕府が国交をしていたら、色々と変わっていたのでは無いだろうかと、意味もなく日本史の可能性に思いを馳せる事が好きだった。全ての歴史が繋がって行くと思うと、今を幸せに感じるがゆえに、ある意味切なく、罪なく散って行った人の為にも良い人間であろうと決意するしかなかった


この星に来てセントラルを見た時に感じた、種族間の差別や偏見は、一応取り除けたようだ。その事だけは自分で自分を誉めてあげようと思う


「いやー!温泉とはなんとも良いものだなあ!」ライオネル


「これはズーダンには作れないのか?」ライオネル


「この温泉は地中深くから汲み上げる必要があるのだけど、場所によって深さが変わるんだよ。ここは比較的浅い所に発見したから30mくらい下の地層から汲み上げたけど、場所によっては100m掘っても出ない所もある」


「どうやってそんなに地中深くに掘り進むんだ」ルシフェル


「俺の土魔法でな地面をかき分けながら掘って行くんだよ」


「梳李は剣技だけじゃなくてそんなに魔法も使えるのか?」ホーガン


「いまさらか?俺は魔力を無尽蔵に持っているからフェアリーとセットになればなんでも作れるし、単体でも攻撃魔法なら隕石を降らすことも出来るぞ」


「それならどの国の軍隊も梳李に敵わないのだから、めんどくさい調整をしながら平和の架け橋を架けなくても、征服する事もできたじゃないか…自分が新しい秩序になろうとは思わなかったのか?」ホーガン


「そうだなあ、いざと言う時の為に強くなろうと鍛えて来たけど、それはあくまで守りたいと思う物を守る為の手段であって、武力で世界をまとめようとは思った事がないよ。それに多分それは平和とは言わないだろうしな」


「話は戻るけどギガントにも地中を100mも掘れる魔法士など居ないぞ」ルシフェル


「とりあえず2、3日かけてこの街を堪能してもらうから…気に入ったら国内に似たような場所を作ればいいんじゃないか?温泉は俺が掘りにいくよ」


「おお!それはいい!ズーダンは一番に予約するぞ!」ライオネル


「費用はいくらかかりますかな」バッシュ


「必要ないよ、お金はいらないから、少しでも感謝してくれるなら、こうしてひとつのお湯につかって話し、笑い合える世界を維持してくれよ」


「とりあえず各国に1ヶ所づつ作るから、場所が決まったら通信してくれたらいいよ」


「ズーダンはすぐに決める!」ライオネル


「わかったわかった、王城にも出してやるからそんなに興奮するなよ」


「おお!それはありがたい!」ライオネル


観光地サメハダの案内は大成功した


何度も温泉に入り朝から晩まで酒を飲み、宴会場でも演者は歌や演奏を披露してくれ、場を大いに盛り上げてくれた。演奏場では魔人族の幻想的な打楽器の演奏で幕を開け、ハカのような力強い踊りと歌を披露する獣人や、酒場で仲間を讃えるような歌を疲労するドワーフ、美しい音色で演奏しながら美声を響かせるエルフ、ピアノとヴァイオリンのデュオを披露した人族、それ以外にも様々な音楽が様々な種族から披露された。大トリを飾ったのはもちろんヘカテー王国で舞踊部隊が美しく舞い、綺麗な歌声を披露するなか、海人族はプールで踊り水芸を披露した。じっとしていられなくなったヘッカはヴィーナスに金色の雨を降らすように告げ、なんとも美しく豪華に彩られた舞台は観覧者のみならず、他国の演者をも大いに魅了した。最後に純白の翼を広げたヘッカは立体的な演奏場を飛び、空の舞いを披露した


ポセやアンピもうずうずしていたかと思うと、次の瞬間にはプールで水を操っていた


その全ての共演は、全参加者に神の御業のようだと感動を与え、国王達も一生の思い出にすると涙し感激していた。演奏がおわり金色の雨が止み、水面(みなも)が静かになった時、ヘッカが舞台に舞い降りた


「ヘッカちゃんだよ!」


まだやるんかい!( ̄▽ ̄;)



第77話に続く


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