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百合帝国  作者: 旅籠文楽
1章 -

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181/370

179. 試験教育(前)

本日の投稿量は短く、また推敲も碌に出来ておりません。申し訳ないです。

(昨晩は地域コミュニティへの強制参加で拘束されており、殆ど書くことができませんでした)

 


     [6]



 日本人に『知識の神様を1柱挙げて下さい』とアンケートを取ったなら、おそらく断トツで名前が挙がるのは太宰府天満宮に祀られている菅原道真(すがわらのみちざね)公だろう。

 但し『日本神話に登場する知識の神様を1柱挙げて下さい』と問えば、彼の名前が挙がることはおそらく無い筈だ。

 何故なら『日本神話』と言えば、普通は『古事記』や『日本書紀』に載っている天地開闢(てんちかいびゃく)から始まる一連の神話(ストーリー)を指すものであって、そこに後世の人物である菅原道真公の名が登場することは無いからだ。


 日本神話に登場する『知識の神様』で一番有名なのは、多分オモイカネだろう。

 天宇受賣命(アメノウズメ)に裸同然の格好で舞を踊らせて関心を引き、天手力男神(アメノタヂカラオ)の力によって隠れていたアマテラスを天岩戸から引き摺り出した一件は、日本神話の中でも特に有名な話だけれど。この策を八百万の神々に授けた相手こそ、オモイカネなのだ。


 ところで、日本神話にはオモイカネ以外にも『知識の神様』として比較的有名な神様が2柱居たりする。天表春命(ウワハル)久延毘古(クエビコ)だ。

 前者のウワハルはオモイカネの子息の1人なので、親子揃って『知識の神様』ということになる。

 そんなウワハルとオモイカネが協力して、日本語をより効率的に人々に教えるためのカリキュラムの作成と、それに合わせた教科書の作成を行ってくれた。


 オモイカネは『まだ学習書と呼ぶには荒削りすぎるものですが』と謙遜していたけれど、彼女がウワハルと共同で作ってくれた教科書の試本は、ユリが読んでみても非常に判りやすいものだった。

 謙遜とは裏腹に、これは教科書として充分な水準に達している、完成品と見ても良いだろう。―――そう判断したユリは教科書の試本を『竜胆』の子達へと回し、その量産を試みる。


 試本が回ってきた時点で、既に『竜胆』の子達はユリから製作指示を受けていた『日本語に対応した活版印刷機』を完成させてくれていた。

 そのお陰で試本の量産はすぐに開始される。〈侍女の鞄〉スキルを持つ『撫子』の子達も協力してくれるお陰で、翌日にはもう版本が刷り上がっていた。


 そして、恐ろしいことにこの時点で『神域都市』には、既に『教育施設』の建物も完成してしまっていた。

 相変わらず建築部隊である『桔梗』の子達は、遺憾なくその異常(チート)能力を発揮しているようだ。確認してみた所、ユリが『桔梗』の子達に教育施設の建造を指示してから完成まで、たったの3日間しか掛かっていなかった。

 すぐにユリは正式な書面を作成して、教育施設の建物所有権をオモイカネへ譲渡する。教育施設自体を『オモイカネの領域』にして貰う為にだ。


 書面を受け取ったオモイカネは、教育施設に『八意(やごころ)塾』という名前を付けた。

 『思兼神(オモイカネ)』は『八意思兼神』と表記されることも多いのだけれど、この『八意』というのは、簡単に言えば『全知』に近い意味を持つ言葉だ。

 知識を学ばせる場所に与える名前としては相応しいだろう。


 ―――勉強を教えるための場所が完成し、教科書も完成した。

 となれば、あとは実際にテストを繰り返してみるのが良いだろう。そう判断したユリは、ロゼロッテ以外の『側室』の子達に―――つまりエシュトアとソフィア、リゼリアとユベルの4人に、実際に『八意塾』へ通って貰うよう依頼した。

 彼女達が日本語を修得する為にどれぐらいの時間が掛かるか、調べる為だ。


 結果から言えば―――ソフィアは1日で日本語を完璧に修得してしまったわけだけれど、これは彼女がおかしいだけなので参考には全くなりそうに無い。

 他の3人はオモイカネが『日本語を修得した』と認める段階に達するまでに、エシュトアは3日掛かり、ユベルは6日、リゼリアは7日を要した。


 ―――ユリが予想していたよりも、随分と早いペースだ。

 今回は授業時間を『1日に2時間まで』と制限して貰っている。その上で全員が1週間掛からずに日本語を修得してしまったというのだから凄い。

 ソフィアは兎も角、エシュトアの学習速度がかなり速いのは、彼女が『迷宮地』に通ってレベルをかなり成長させているためだろう。

 レベルの成長は身体能力値だけでなく、[知恵]を始めとした精神能力値も向上させてくれる。その恩恵が発揮されたわけだ。


(これならば、次の段階にテストを進めても大丈夫でしょう)


 そう考えたユリは、次に『八意塾』に通わせる生徒を求めて、コンラート高司祭に面会を求めた。

 彼が管理している孤児院で暮している、まだ幼い少年少女達でも『日本語』が問題無く修得できるのかどうかを、確認する為にだ。



 

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お読み下さりありがとうございました。

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