56話 晩餐会の後は…
晩餐会も無事に終わり、部屋で窮屈なドレスを脱ぎ捨てて下着でゴロゴロしていると…
『お主…流石にソレはダメですぞ…まったく年若き者が情けない』
と、ミントに怒られた。ですよね…なんかスミマセン。
部屋着に着替えて、盛り付けられた髪をほどきながら
「私は明日、車の掃除とかするんだけど、みんなは何するの?」
「私はまたカロンさんの所にお料理の研究に行く予定ですよ」
『拙者は騎士団で己の修行と稽古をつけに行きますぞ!』
『ホーッ僕は街の近くで解呪の素材の手掛かりを探しに仲間の所を回って来るホッ』
そっか…みんなそれぞれやる事があったね。
ドレスを取りに来たメイドさんに髪飾りとドレスを返して寝ようかな? と、思ったらミントが
『さぁ行くぞ! ここに来てから稽古をしておらんではないか。そんな事じゃ強くはなれんぞ!』
と…。えっ⁉ でもさっき食べ過ぎてお腹が…
『大丈夫だ。団長に話しはつけておる』
騎士団の修行の場を借りる約束をしていたらしい。せっかく部屋着に着替えたというのに何時の間にそんな話を…。ブツブツと小声で文句を言いながら普段着に着替えていると
『ありさよ。一体誰の為に稽古をつけると思っておるのだ。お主が強くなりたいから稽古をつけて欲しいと頼んだのじゃろう?』
うぅ…確かに稽古をつけてくれと頼んだのは私だけどさ…でも今日は場違いな場所である意味鍛えられたじゃん? 精神的なものをさっ。ヤル気満々のミントにそんな事を言える訳もなく、みんなで修行の場に向かったよ。
修行の場は体育館のように広く、何人かの騎士団員が見回りに来ていた。
「団長から話しは聞いています。どうぞご自由にお使い下さい」
見回りの団員にそう言われて稽古が始まった。私はオルを敵に見立てて剣を構える。オルは右に左に飛びながら突っ込んで来る。ソレを避けて剣を振る。本物の剣だからオルも私もお互いを怪我させないように慎重に慎重に…。
アイシャとミントも刀とハルバートで打ち合いしてた。アイシャはだいぶハルバートの扱いに慣れたみたいで、先端の槍とか斧とか鉤とか色々な部分を使ってミントに攻撃を仕掛けていたよ。
ミントが手を挙げ
『今日はここまで』
と私達に声をかけると、入口付近から拍手が聞こえた。集中していて気がつかなかったが、ガルダ団長と他に3人の男が立っていた。
セロの国の騎士団は4つあるらしく、そこの団長達なんだって。そういえば謁見の時に見たような…最初に私達と接触したからセルリアン騎士団が私達の面倒を見る係? になったらしい。そうだったのかぁ。他の騎士団の事は知らなかったよ。
ガルダ団長が言うには、みな仲が良く、切磋琢磨しながら騎士団を鍛え上げてきたんだって。そこで、他の団長さん達はセルリアン騎士団だけ鍛えてもらってズルい…と。
そんな訳で、団長さん達と軽く自己紹介をして…。なんか、団長達の肩がプルプル震えてる。するとアイシャが小声で
「ありさ、まつげがズレて黒い涙が流れてるよ!」
あぁそうか~メイクしたままだったもんね…寝る前に落とす予定だったからそのまま来ちゃってたか…ガルダ団長が口元を隠し
「早く風呂に行った方がいいぞ!」
だって。あぁ笑っちゃってるね…くぅ~恥ずかしい! 私は下を向いて急いでお風呂に向かった。
ミントは明日から始まるらしい各騎士団を鍛える為に話し合っているはずだ。オルは
『僕は先に戻るホーッ』
と言って部屋に戻っていった。
私達は風呂場につくなりお互いの顔を見て笑ったよ。
「アイシャもヒドイ事になってるよ」
「私もですか! 恥ずかしいです」
「さっさとメイク落として洗って寝よ寝よ!」
「はい。早く寝ちゃいましょ」
ババッと洗って湯船につかると…ほぇ~先程までの緊張も疲れも抜けて…。
アイシャが
「ありさ、ここで寝ちゃダメです。部屋に戻りましょ」
揺すられてハッと気づく、少し寝ちゃってたみたい。着替えて部屋に戻り寝る準備をした。ミントはまだ戻って来てないけど、先に寝るか…。
ベッドに潜りさっきの事を思い出す。あの団長達に恥ずかしい姿を見られてしまったよ。なかなかのイケメンだったのに…なんか悔しい! 面倒だからメイクの手を抜いていたけど、明日からはキッチリと崩れないメイクをするぞ! と心に決めて眠りについた。




