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54話 晩餐会の仕度

 姫様の部屋を後にした私達は、騎士団の食堂で軽い昼食を食べた。とけきらない緊張で少ししか食べれなかったよ。決して夜の為に軽くしたんじゃあないよ! 間違えないように…。


 晩餐の時間まで部屋に戻りのんびりする事にした。


「はぁ~緊張した~。生きてる心地がしなかったよ。何でミントもアイシャも平気なの?」


『うーむ。拙者はどんな事になろうと、どうにでもなったでごさるからのぅ』


えっ⁉ 何か言ってる事がよくわからないんだけど…


「あっ私は、パオロ村に居たときに宿屋でお手伝いしてたので…たまに偉い人とかが立ち寄る事があったから言葉使いは少し勉強しました」


へぇ~そうなんだ、剣の修行だけじゃなかったんだね。


 私は少し緊張が抜けたので、ベッドに倒れ込み天井を見上げて深呼吸。はぁ~何か休日の昼間って感じがして懐かしくて嬉しい。


「でもさ、話のわかる優しい王様で良かったよね。捕らえられたらどうしようって思っていたからさ」


「そうですね。一見怖い感じなんですけど、話してみると優しそうな感じでしたよね。何事も起きなくて良かったです」


ゴロゴロしながら話していると、部屋をノックする音が…もう、誰よ…晩餐まではのんびりする予定なのに…


「はい」


っと返事をしてアイシャがドアを開ける。私は急いでベッドに座りグシャグシャになった髪の毛を手グシで直す。


 ドアの外には3人の黒いロングドレスに白いエプロンの女性が立っていた。このお城のメイドさんかな?


「晩餐の仕度を手伝いに参りました。どうぞ此方へ」


「あっ…はい…」


 私とアイシャはドレスが並ぶ部屋に案内される。目の前には豪華なドレスが沢山あって…


「うわぁ~素敵なドレスがいっぱいだぁ。1度着てみたかったんですよねぇ」


なんてアイシャが喜んでいる。私も思わずニッコリしてしまう。ドレスって、結婚式とかお伽噺話のお姫様とか…普通は着ないイメージがあったから、ちょっと着てみたかったんだよね。


 アイシャも私もメイドさんに指示されるがままに色々なドレスを身体に当て、軽く着替えさせられる。まるで着せかえ人形の様に…。


 ドレスが決まったら1度脱ぎ、白いタンクトップのような下着を着て下は膝丈の白い股引き? いや、違うズロースだっけ? のような物を履かせられた。


 その上からドレスを着るんだけど、後ろからメイドさんがグイグイと紐で編み上げていく。苦っ、苦しい…息をするのも動くのも…。ドレスだぁ! って、喜んでいたけどこんなにも苦しい物だとは思わなかったよ…。こんなので晩餐なんて…せっかくの御馳走が食べれそうにない…シクシク。


 ドレスの次は髪の毛のセットだった。長い私の赤い髪の毛がグイグイ、グイグイと結ばれていく…このメイドさん達、容赦がないなぁ。頭のアチコチが突っ張って痛いよ。何とか支度も終わりメイドさんが


「晩餐の支度が整い次第お迎えに参りますので、どうかお部屋でお待ち下さい」


と言って出て行った。


 私達が部屋に戻ると仕度を済ませたミントがいた。黒い燕尾服姿だった…。ファサファサしていた長い茶色い毛がピッシリと固められていて、後ろで1つ結び…。


「プッ! クスクス…アハハ! ミントもスゴい事になってるね…」


アイシャもちょっと笑ってた…。


『拙者、こんな格好にされるとは…』


 普段は袴姿にファサファサの毛。まるで歌舞伎の獅子とか鬼のような格好だったんだよね。でも今はマジシャンみたいな…笑ってゴメン。凛々しくて格好いいよ! 


 アイシャは若草色のドレスで爽やかに…私は薄い紫のドレスで華麗なイメージかな? ふふふふ…! みんなをスマホで撮影していると、メイドさんが呼びに来たので晩餐の会場へ。


 豪華な御馳走と2人の王子様! スゴく楽しみなんだけど、ドレスがこんなに苦しくて大丈夫かな私?

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