47話 ボアボアの群れ
私は今、セロの国のセルリアン騎士団の後に付いて走ってる。時速にして30~40㎞くらいだ。どうしてあの時、挟みうちにあってしまったのか…未だに謎だった。まぁどっちみちセロの街に向かっていた訳だし、ローブの男達を引き渡しできるなら大人しく付いて行こうか…。
何も無い平野を走り、丘を越えてもまだセロの街は見えない。後、どれくらいかかるのだろうか。しかし、このスピードは何だかモヤモヤするなぁ…もっと速く走りたい。副団長はアイシャとタンデムしてるからそんなにスピードを出せないのは解っているけどさ…。
そんな事を考えていると、団長のガルダさんが手を挙げてスピードを落として止まった。他の団員達もそれに従いシュトラを止める。
「うわっ!」
急ブレーキを踏む。危うく団員を跳ねてしまう所だったよ…。一体何が…⁉
驚いていると、みんな剣を構えている。どうやら前方に魔物の群れが出たらしい。双眼鏡で見てみると、以前山の中で出会ったボアボアというイノシシに似た魔物だった。騎士団は暫く観察した後、散会してボアボアに向かって行った。ボアボアの群れがこちらに気付いた様で襲って来たのだ。
副団長はこちらに走って来て、車の聖域の外で剣を構えて待機してる。私は車から降りてシュトラについている手綱を引いて聖域に入れた。
「ここなら魔物は入れないから、ここに居て下さいね。アイシャを頼みます」
「わかった君はどうするのだ?」
「私ですか…さすがにこの数は大変そうなので、参戦しますよ。オル、ミント行くよっ!」
獣人に変身したミントがドアを開けオルと共にボアボアに向かって行く。
ボアボアの群れの何匹かはもう車の近くにいるから、私も急いで剣を構えボアボアの群れと向かい合う。聖域を背にしているからいざと言う時は倒れればセーフなのだ! 多分……。
夢中で切りつけて…どうやら終わったようだ。気付くともう夕暮れだった。辺り一面ボアボアが血を流して倒れている。騎士たちは1体1体引きずって1ヶ所に集め出した。どうやらこれから解体して肉と素材に分けるらしい。引きずるのも解体も私には無理なので、聖域の中から見守ろう!
……と、思ったけど流石にこの血塗れの平原は嫌だ。血の匂いに新たな魔物が集まって来るかもしれない。集められたボアボアから離れた所を水の魔法で洗い流して行く。ふぅ~寒いのに汗かいたよ…。
団員たちは少しの肉と素材を麻袋のような物に入れて担いでお持ち帰りするようだ。
「あの~そこのお肉は?」
副団長に聞いてみる。
「あぁ、全てを持ち帰るのは無理だからな…これから食べる分を除いて他の魔物が来ない様に埋めて行くしかないな。ここから少し離れた場所で今日は夜営して明日の朝セロに帰還する」
「えぇ~こんなに美味しいお肉を置いて行くんですか? 勿体ない…。なら、このお肉私が貰ってもいいですか?」
「運べるならいいぞ! しかし、やるのは半分だ。残りの半分はこちらで貰い受けたい」
「半分か…まぁ量が量だから半分でもいいか…。わっかりました、では全部運ぶので半分ずつですよ」
「ああ、それでいい」
「わーい! やったね」
私は今日食べる分を除いたお肉をニコニコしながら収納に入れていく。山ほどあったお肉はあっと言う間に収納に消えていった。
「えっ⁉」
隣で見ていた副団長は、ポカンと口を開けて驚いていたよ。副団長は金髪の長髪でポニーテールしていて中々のイケメンなのに、そんな顔しないで欲しかった…。
騎士団が移動し始めたので、解体していた場所も水魔法で洗い流して後を付いて行く。少し走ると大きな岩山があって、そこで今日はお泊まり。なるほどね…岩山を背にしているから後ろからは襲われない。後方に私の車を停めたから前方と正面だけ警戒すれば大丈夫だね。
団員たちは火をおこしたり、タープ(日除け、雨避けの屋根だけのテント)を組み立てたり、調理をしたり…みな忙しそうに動いている。私とアイシャは車の側で先程手に入れたボアボアの肉を使って料理を始める。




