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39話 冬山の野菜たち

 あいたたた…寝返りをしようとして、昨日の稽古での筋肉痛がっ! 思えば剣の使い方はパチェット村で、ギレムさんと細工職人のロレンスさんに少し稽古をつけてもらった程度だった。後はガムシャラに剣と魔法で戦って来たんだ。


 ミントは基礎からみっちりと教えてくれた。今日も稽古をつけてもらう予定だ。アイシャも私と同じで寝返りからの筋肉痛で目を覚ましたみたい。


「みんな、おはよう。今日はセロの街に向かいながら食材を探したいと思うのだけど…」


「おはようございます。ねぇ、ありさって食材たくさん持ってなかった?」


「うーん、持っているけど、そんなに種類が無いからねぇ。野菜とかお肉とか、もっと色んな物が食べたいじゃない。だからみんなで探そうよ! アイシャとオルなら色々と知ってるでしょ」


「わかった。美味しい物を食べたいから手伝うよ」


「わかったホッ」

 

軽くおにぎりとお味噌汁で朝ごはんを済ませてセロの街に向けて出発した。


「ねぇありさ、あそこの山に行ってみない? 山には自生の野菜が色々あるよ」


聞けば野菜などは山で採るか、畑で作るか…らしい。


 さっそく麓に車を停めて山に入って行く。アイシャは辺りをキョロキョロと眺めながら先頭を歩いて行く。


「あっ! あったよ。これは生で食べるとピリッと辛いけど、火を通すとホロッと甘味がでるんだよ」


 2メートル位の木に瓜のような形の白い実。握った感じとアイシャの説明からして大根っぽい…私たちの背丈じゃ届かないからミントに採ってもらった。


 私たちは次々に野菜を見つけどんどん収納していく。この世界は冬でも野菜がたくさん採れるんだね。


 アイシャの説明と触った感触で、ニンジンや長ネギ、白菜やジャガイモ、玉ねぎっぽい物を手に入れる事が出来たよ。これなら寒い冬にぴったりの鍋やらカレーやら色々な料理ができるね。


 更に先に行こうとした時、オルが飛び立ち、ミントが手を広げて私たちを止まらせた。


「シッ⁉ 何か来るぞ! 気をつけろ」


 前方の方でガサガサと草や葉をかき分け髭づらの男たちが現れた。


「へぇ~こんな山の中に女が居るとは…今日はたっぷり楽しめそうだ」


「お頭、俺たちにもまわしてくださいよゲヘヘ」


「よし、お前らやるぞ!」


「へい!」


 男たちの数は5人。どうやら山賊な感じだね。ミントの方に3人、私とアイシャに1人ずつ。


「ありさ、アイシャよ昨日の稽古の感じでやってみようか。もし上手く出来なかった場合は今日の稽古は昨日の倍だぞ」


「わかった!」


 アイシャ…返事が早いよ…私は剣を抜きお頭と呼ばれた男を切りつける。しかし、高価そうな柄の長い斧に阻まれ剣が届かない。火の玉で体制を崩し切りつけようとしたその時、上空からオルが下降して来てお頭の背中を爪で切り裂いた…。


 えっ⁉ オル…私の相手を殺っちゃったの⁉ 後、少しだったのに~‼ 


 アイシャの方は…剣を折られながらも相手を倒した後だった。ミントは余裕で3人を倒していたよ…。


 山賊どもは命乞いを始めた。


「何でもしますから…命だけは…」


「そんな事を言っても、また山に人が来たら殺るんでしょ」


「いや…俺たちはまだ…誰も殺って無いです…」


「じゃあ、その斧は? かなり高価そうじゃない」


「これは…かなり前にチャラチャラした冒険者たちが置いて行ったやつでして…」


「殺して奪った…じゃなくて?」


「いや、少し脅したら置いて逃げて行ったんです…俺たちはこの山で木こりをしていたんてすが…山の上の方にお宝が眠っているらしくて、それを探しているんですよ。だから邪魔されないようにこうして脅して…」


「人が来るのを防いでいた…か」


 山賊どもを良く見てみると嘘はついていないみたい。オーラの色もくすんだオレンジ色をしていた。確かオレンジ色は魔法を使えない人のもので、くすんでいるのは多少の悪さをしたから?


 そう言えば先程捕らえたローブの男たちは真っ黒だったような…


「わかった。今日の所は見逃してあげる。その代わりその斧を頂戴ね」


「は、はい」


「私たちの用事が済んだら宝探しをするから、その時は手伝ってもらうわよ」


「は、はい」


「それまでは人を傷つけずに木こりの仕事を頑張りなさい。お宝が見つかったらちゃんとわけるから」


「わかりました。貴方様が戻って来るまで、この山で木こりの仕事を頑張りましょう。どうせ俺たちじゃ上の魔物は無理なんで…」


 えーっ! 上の方の魔物は強いの? どんな魔物が居るのかな? そしてどんなお宝が眠っているのやら…何だかワクワクしてきたよ。


 それから私は山賊どもの傷をポーションで治し、木こりの小屋に案内してもらった。今日は日も暮れて暗くなってしまい、下山は危険なので小屋で1泊して明日の朝、車に戻ろう。


 途中、イノシシに似たボアボアと言う魔物を狩って解体させ、みんなでイノシシ風鍋を食べた。


 寒い冬にぴったりの逸品で身体がスゴく温まる。トロけるお肉と味の滲みた野菜たち。そして冷えた缶ビール! 


 山賊…いや木こり達も、こんなに美味いもの始めてだーって大喜び。良かった良かった…


 けどミントは渋い顔をして


「ありさ、忘れているようだが今日の稽古は昨日の倍ですぞ」 


「えっ⁉ なんで…」


「昨日の稽古の成果が見られなかった故に」


「いやいや、空気読もうよ。ここは美味しい物をみんなで食べて呑んで、仲直りでウェーイでしょ」


「……ダメですぞ!」


 仕方ない…か…夜の冬山での倍の稽古は物凄く辛かった…。

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