非労働系魔法少女ニト 羽休め
Qなんでウサギ(仁『兎』)なのに羽休め?
A調整中、ただいま担当部署に問い合わせておりますため、云々
朝、わたしにとっては中途半端な時間帯に起きてしまった……より具体的にいうなら、8時半を少し過ぎた時間……全国の少女達……と大きなお友達が1つのアニメに対して夢中になる時間帯……あ、その少し前の時間から継続して見ている少年達と少年の心を持った大きなお友達を忘れていた。
すぐに二度寝したかったものの、そうするわけにもいかないようだった。
この部屋にはわたしとヤヌスしかいないはずなのに、人の気配がしたからだ。
犯人の中から、まずアマテラスちゃんとジェニーは除外できる。
アマテラスちゃんはこの時間帯は自分の部屋でアニメに夢中になっている時間帯……そして夜行性のジェニーも除外ゾーンに置く。ならヘッド? それも違う。ヘッドもとい管理人さんはおそらくこの時間から既に副業(本業があるのかは不明)の為にスタンバイしている。一応ジェニーの反対側の部屋の人もいるのだが、今日は実家に行っているはずだ。
つまり……消去法で泥棒さんに確定かな? ……わたしの部屋に入るとはよく訓練された変態みたいだね……じゃあわたしの部屋に土足(実際は分からんけど)で踏み入いった自分の愚行を呪って死んでもらおうかな?「さ……シ……タイム……」
耳をすませると、音量がかなりさげられているもののかすかにアニメの音声らしきものが聞こえてくる……泥棒め、わたしの部屋に侵入しておきながらノンキにアニメ見やがって……これは魔法でお仕置きかな?
とりあえず泥棒に対してお仕置きを仕掛けようと思ったのだが、かすかな違和感を感じる……何かが足りないと思ったらヤヌスがいなかったのだ。
となると犯人はヤヌス? 一瞬そう考えたものの、すぐに間違いだと思い直す。人の気配がするのだからヤヌスではありえない。
とりあえずヤヌスの行方と犯人を探すため、眠りたいという欲望をこらえ、目を開いてテレビの置いてある辺りを確認……
テレビの前に夢中になってアニメを見ている少年がいた。
「…………落ち着こう。まず、幽霊なんか見えないし存在しえない。うん……」
念のため、もう一度確認するとそこには誰もいなかった……痕跡という痕跡は、テレビがついているという事だけ……
「ニト? どうかしたの?」
「あれ、ヤヌス? 今どこにいたの?」
「普通にテレビ見てたんだけど……気付かなかった?」
「え? だって今……あれ?」
やっぱりさっきのは幽霊じゃなくてヤヌスを見間違えたのかな? だって、さっき一瞬だけ見えたあの子の後ろ姿、髪の毛が水のイメージに近いような青色ということを除けばなんかヤヌスっぽかったから。
「ところでニト、なんでこんな時間帯に起きたの? いつもは夕方まで寝てるのに……」
「いや、なんでもないよ……あ、そのアニメ、一緒に見てもいいかな?」
「いいけど……ストーリーとかキャラ分かるの?」
「雰囲気だけ楽しめればいいかな? 最近そんな感じでも結構楽しめるようになったし」
「別にニトがいいならそれでもいいけど……」
たまにはこんな風に早起きしてみるのもいいのかもしれない。みんなと出会う前……ニートになる前もニートになった後もこんな時間にゆっくりアニメを見るなんて事はなかったから。
羽休めだからといって短すぎたと少し後悔