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非労働系魔法少女ニト 二羽

結構書き溜めてから投稿してるので、こんな(プチ)設定あったな、と思うことがたまに……

「いや~、さっきのヘルメット被った兎は強敵だったね~」

 日付が変わるくらいの時間……つまり夜行性のわたしたちニートが活動する時間、ふと先ほど戦った相手を思いだしたので呟く……

「いきなり何を呟いてるの! とうとう人を狂わせるという深夜の魔力によってマッドでロックなテンションにでもなっちゃったの!?」

 失礼だなこのネコは……まあ、失礼な事を言うヤヌスは置いておくとして

「まさか、なにもしてないのに自壊して恐竜のアンノウンを呼び出すとはね……」

「……確かに、ボクも今までに見たことのない性質のアンノウンだったからね。」

「更にその恐竜が合体(意味深)してドラゴンになるとは……まあ、一睨みしたら勝手に自壊しちゃったけどね」

 全盛期のイチロー選手じゃあるまいし……わたし

 なんで一睨みしただけで自壊するの? あのドラゴン実はゴリラなの? 死ぬの? あ、もう死んでたか……

「……なんで自壊しちゃったんだろうね、あのドラゴン型アンノウン、通称ラゴン種は……ひょっとしたらニトは本当に伝説の修羅の頂なのかもね」

「誰が修羅だって?」

「じゃあ阿修羅?」

「…………そういえば、ごく一部の地域ではネコを使った料理があるらしいよね?」

「なんで今そんな事をボクの方を見ながら呟くの!?」

「いや……あれってどんな味がするのかな……と」

「相棒をむしゃむしゃ頂いちゃう魔法少女なんて聞いたことがないからね!? 相棒を食べた魔物なら聞いたことはあるけどさ!」

「冗談だよ、なんだかんだいってヤヌスといると面白……じゃない、ヤヌスといると楽しいし」

「なんでそんなところから言い直したの!? もう面白いって聞こえちゃってたよ!」

 ついつい出てしまった本音のキャンセル失敗……まあ、意味的にはそんなに大した差はないし、大丈夫だよね。

「そんなに心配しなくても、ヤヌスはわたしの大切な相棒だよ……」

 これはわたしの偽らざる本音……いつもは投げたり囮にしたり壁にしたりサンドバッグにしたり餌にしたりしてるけど、これは心からの言葉だ。

「たとえるなら、最終回で初登場の奴とまとめて『ずっと一緒に戦ってきた、わたしの大切な仲間』って紹介するくらいには大切な相棒だからね……」

「ニト……うん? ちょっと待って! なんでボクがそんな微妙にイヤな扱いなの!? あと、ニトは辞書で『ずっと』の意味をちゃんと調べてきて!」

「ずっと、ある状態から継続しているさま…………これで合ってる?」

「細かい意味合いは分かんないけど多分あってるよ! じゃあなんで初登場の奴が『ずっと』一緒に戦ってきた仲間に入っちゃってるの!?」

「それは……大いなる蟹の味噌汁……じゃない、大いなる神のみぞ知るってことで」

「ワケが分からないよ!」

 やっぱりヤヌスといると面白……楽しいね。

「ニト、和んでいるところ悪いんだけど……また現れたみたいだよ」

 アンノウンには空気を読むという技術をもってもらいたい。願望じゃなくて命令、空気読め。

 一応ヤヌスに聞いた話とパターンを合わせて考えると、夕方から早朝にかけてが主な出現時間のようだ。

 まあ、ヤヌスの話によると逢魔が時……つまり、夕方に出現するパターンが多いはずなのだが、何故かわたしが倒すアンノウンのうち大体87.87%ぐらいが深夜と言ってもいいくらいの時間帯に出現している。

 これについてヤヌスに対し問い質してみたのだが、答えは「多分誤差」とのことだった。

 ならばその誤差とやらを修正して見せろと言いたいところだったのだが、誤差なら仕方がないと思った。

「今回はどこに現れたの? アンノウンは」

 一応、アンノウンの出現位置によって大まかな姿形は絞れたりする。

 狭い場所には小型から中型、水辺には水棲のタイプが出やすいのだ。

 まあ、こういったパターンは蛇などの一部の例外を除けばだが。

「多分、動物園のあたりかな?」

「どんなアンノウンが現れたの!?」

 まったくもって絞れなかった。

この辺りで動物園といえば、隣の市の端っこのあそこだろうか? 隣の市端っこといっても県庁所在地なのでかなり広く、だいたいここから車でも20分ほどだろうか?

 まあ、いまのわたしなら13キロの道のり位なら飛べば……多分13分や

「ヤヌス、速く乗って」「分かった」

 ヤヌスが肩に飛び乗ったところで、素早く屋根の上に乗り、隣の家の屋根に飛び移りながら進んでいく。


「そういえばさ……ニトってニートなのに無駄に活動的だよね?」

 13キロの道のりを飛びながら直線的に進んでいると、ヤヌスがわたしに対して質問してきた。

「……わたしはニートだけど引きこもりじゃないからね。アマテラスちゃんやジェニーとは違って」

「ボクにとってはどっちも変わりないんだけど……」

「何が言いたいのか本音、ゴー」

 わたしの予想、『引きこもりもニートも、我らオタクにとってはゴミも同然』という感じの回答……外したら後でヤヌスを投擲武器にする。

「アマテラスやジェニーもニトも、本質的にはそんなに変わらないんじゃないかな? 活発に外出するかどうかが違うだけで」

「ブーメラン……かな?」

「何がブーメランなの! ボクは引きこもりでもニートでもないよ! そもそも」

 予想が外れて賭けに負けたので、ヤヌスをどうするか考えていたのだが、無意識のうちに呟いてしまったようだ。

「そもそも……なんだって?」

「ボクは……いや、なんでもないよ」

「ふーん」

 おそらく『そもそもボクはネコだから』とでも答えたかったのだろう。ネコは働かなくてもニートにはならないからだ。

「とりあえずヤヌス、更に加速するからスリップストリームでついてきてね?」

「肩に乗ってたらダメなの!?」


 動物園には他の人の気配がまったくといってもいいほどに無かった。……まあ、それは当然か。今の時間帯は基本的に人が眠っている時間。起きているのは夜間警備員か自宅警備員がほとんど、普通の人は夢の中だ。

 一方、夜行性の動物はかなり活発に動いているようで、あちらこちらから鳴き声が聞こえてくる。

「ニト、かすかにアンノウンのにおいを感じたんだけど……」

「アンノウンの姿形はわかる?」

「いや……猿のような、虎のような、狸のような……はたまた蛇のような……」

「…………使えないね」

「えっ……酷くない?」

 事実を端的に呟いたらヤヌスの心を傷つけてしまった。事実なら仕方がないのに……

 ……ヤヌスをいじっていると、突然何か嫌な予感がしたので、ヤヌスを掴んで飛んだ

「ちょ……ニト!?」

 飛んだ瞬間、ヤヌスが何か言っていたのだが、一時無視……というか答える暇がない

 ……わずかに前までわたしがいた場所には、ネコの手を大きくしたような黒色の手があった

 大きなネコのような手ということは、ネコ科……?

「ねえヤヌス、わたしとしてはあいつの正体……」

「そうだね、あいつの手足は多分虎のだから……」

「手足……『は』?」

「えっ?」

「えっ?」

 会話が若干かみ合っていない模様……

 ヤヌスが言いたいことはつまり『手足だけは虎』のものということだ。

 手足は虎……そして蛇、狸、猿……つまり

「……ヌエ?」

「正解……みたいだね」

 夜目がきくらしく、アンノウンの正体が分かったらしいヤヌスが呟く。

 雲の隙間から月が見え……目の前のアンノウンの姿が月明かりによって僅かながら照らされた。

 ヤヌスの推測通り、手足は虎、胴体は狸、顔は猿、尻尾は蛇……つまりはヌエの姿だった。


「……なんでヌエなんだろうね?」

「さぁね……じゃあニトは自分が生きているという意味を分かるのかい? つまりはそういうことさ」

「生まれもった才能と過去のわたし自身の努力をニート生活をすることでひたすら浪費し続けるため……かな?」

「……うん……ニト、ごめん……」

 何故かヤヌスに謝られてしまった。ひょっとしてこれは……例えるなら、「さあ、お前の罪の数を数えろ」と言われそれに対して「昨日の時点では99822個」とガチで答えた時のような……ひょっとしなくても答えるべきではなかったパターンだったみたい。

 ……よく考えるとこの数字はかなりおかしいものだ。仮に27歳としても、一日当たり10個は罪が増えている計算になる。……まあ、そんなことはさておき

「ヤヌス……とりあえず、手っ取り早くぶったぎっちゃってもいいかな?」

「うわ、いつもどおりの魔法少女らしからぬ発言だね、ニト」

「ヤヌスうるさい。戦うのはいいんだけど、別に挽き肉にしても構わないんでしょ?」

「……ニトは魔法少女じゃなくてただの残虐魔女だと思うんだ……」

「ふーん……打ち上げてからの魔法でいいかな? 周りに被害なさそうだし、『ヤヌスはお空の星になりました』でしめられるし」

「そのシメだとボク死んじゃう! しかも言葉だけならボクの意志で道連れにしたように思えるけどニトの場合明らかにボクを巻き込んでるじゃん!」

「……ちょっとクリアマインドの境地に達したいからヤヌスは静かにしててね」

 ……さっきとりあえず距離をとったのはいいものの、暗くて的……敵の場所がイマイチ分からない。

 風を感じろ、ニト……この風、少しないてます……じゃない。ババ様……風が……でもない。

 どんな物でも質量を持っていれば移動するときに空気の移動がある……その空気の移動、つまり風を感じれば敵の居場所は丸分かりだ……多分

 ましてや相手は見た感じ重量級のヌエ型アンノウンだ。おそらく風の動きはかなり大きなものになるはずだ。

 耳をすませ、風の動きを感じる……一番近くの風は…………ヤヌスの息だった。

「ヤヌス、息止めて」

「それはボクに死ねっていうことなの!?」

「じゃあ分かった……呼吸を最低限にしてくれない? 1分間に1回とか」

「波紋使いじゃないと無理だよねそれ!」

「じゃあ手っ取り早くネコ科の檻で仲良くしててくれない?」

「いやだよ!」

「じゃあ分かった……投げると同時に探して斬ってキャッチ……10秒でいけるよね?」

「ねえニト……一体何をするつもりなの? 投げてキャッチって、ボクはボールじゃないよ?」

 どうやら作戦をさとってくれたようだ。流石はヤヌス、もうわたしと以心伝心できるようになったみたいだね。

 じゃあ遠慮なく投げて倒してキャッチさせてもらうことにする。

「ニト! なんでボクを上に向かって投げる構えを……」

 思いっきり上方に投げる……垂直に投げたから、地面に激突は多分10秒以上かかるはず……その間にやるべきことは1つ……たった1つの目的のみ……

 まずは瞼を閉じ、耳をすませ、風の動きを感じる…………真上に1つ……これはヤヌス……もう1つ、左斜め前方……アンノウンの気配あり

 目を開き奇襲を狙ったアンノウンに対し素早くカウンター気味に構え、殴り抜く……拳に硬いものが当たった感触……ヒット。

 そして追い討ち……素早く呪文を唱え、刀を出し……地面に叩きつけるようにして斬る……更に切る……とどめにもう一回キる……

 そしてヤヌスの落下地点に素早く向かい……ヤヌスをキャッチ……出来ずに、ヤヌスに肩を引っかかれる。

「ねえヤヌス……ダンボールに入れてアマテラスちゃんの部屋の前にでも置き去りにしてもいいかな?」

 ヤヌスによって切り裂かれた……とまではいかなくとも、斬られた肩のあたりを見て、ギリギリ着地に成功したらしいヤヌスを睨みながらボヤく。

「……ごめん、ワザとじゃないから……というか、そもそもニトが投げたからじゃ」

「いや、あれはヤヌスが呼吸止めなかったから」

「どこに相棒に呼吸をとめるように指示するような魔法少女がいるの! いくらボクでも、ニトがそこまでやるとは思わなかったから!」

「呼吸を止めるようにじゃなくて最低限にしてほしいとお願いしなかったっけ?」

「1分間に1回は十分呼吸を止めるっていう状態だしそもそも分1回呼吸発言の前に呼吸止めてって言ってたからね!」

 チッ……うるさいネコだよ、ヤヌスは……

(何だいその言い草は! だいたい、ニトは魔法少女としていろいろとおかしいんだよ! 相棒を投げたり相棒に遠回しに死ねって言ったり、相棒に向かって魔法使ったり)

 ヤヌスめ……とうとう脳に直接話しかけはじめたか!

(だいいち、ニトがあり得ないくらいのチート……EXEシリーズで例えるならプリズムコンボとかADBD戦法とかフォルダーリターン並みのチートじゃなかったら、間違いなく魔法少女の資格を剥奪されてるからね!)

(プリズムコンボもADBD戦法もフォルダーリターンも分からないんだけど)

(プリズムコンボすら知らないだって!? 子供の頃一体何で遊んでいたの! EXEシリーズをやっていないなんて人生の95割を損しちゃってるよ! 岩男EXEシリーズについて解説するからちゃんと聞いててよね! そもそも岩男シリーズは……)


 端的に言わせてもらう。ヤヌスの言うことを理解しようとしても理解できず、聞き流そうとしても脳に直接語りかけているので聞き流せなかったので、そのうちわたし、ニトは……考えるのをやめ

(そもそもブラストマンが人気なのは……って)「ニト!」

(……揺るぎなき境地……クリアマインド! 1枚目、ガドホ……なに? ヤヌス)

(ニト……遂にその境地に辿り着いたの……?)「ってその強化は新たなる敵が現れてからにしてよ! いくらなんでもチート過ぎるよ!」

「ああ、話は終わったの?」

「…………もういいよ、ニトがチートということは十分に分かったから……」

 チート? わたしにとっては誉め言葉でしかないよ。チーター? ビーター? いい言葉だ、感動的だね、そんな言葉では言い表せないくらいにチートなわたしには無意味な言葉だけど。

「そういえば、さっきの」

「EXEの話?」

「それの前、わたしがチートだから魔法少女の資格を剥奪されないとかなんとか」

「あー……一応、一定以上の素質を持った女性……まあ、主に少女なんだけど……にはボクのように相棒が派遣されて、説明して魔法少女になることを本人が望んで初めて魔法少女になれる……そこまではいいかな?」

「うん、覚えてる」

「その時の契約書に確か禁忌について書いてあったと思うんだけど……相棒の命を奪うこと、私利私欲の為に力を使い続けること、そして」

「アンノウンとヤヌスの送り主の正体を必要以上に詮索する事……だっけ? なんの為の項目なんだろうね? 最後のは」

「さぁね……ボクに聞かれても分かんないよ」

「というより、なんでアンノウンの正体とヤヌスの上、両方の正体を隠す必要があるんだろうね」

「……ニト、ボクはニトを裏切ったりしたくはないんだけど」

「ハイハイ、あまり詮索しちゃいけないんだね」

 詮索してはいけないことも、検索してはいけない言葉をついつい検索してしまう(そしてSAN値が下がる)わたしにとっては詮索する以外の選択肢はそんなに無いのだが、今回に限っては詮索するのは死亡フラグが立ちかねないので、詮索するべき時がくるまでは詮索せずに放置しておく。本当は詮索したいけど……

「……なんじゃ? もう倒し終わっておったのか?」

「そうみたいですね、姫様」

 ……いつの間にかなんか新手がきていたようだ。まあ、明らかに弱そうなので無視……

「さてヤヌス、帰ろうか」

「ん? ああ、そうだねニト」

 ……わたし達には見えません。あそこにいる着物の少女とその肩に乗ってるネズミなんて見えません。

「なんじゃおぬしら! わらわを無視しおって!」

「そうですよ! 姫様を無視したら酷い目に遭わせますよ! ……怖い姫様が」

「あやつらの前におぬしを酷い目にあわすぞ? チューザ」

「えっ……ひどくないですか?」

 さて、わたし達の方が忘れ去られたからな……わたしとヤヌスはクールに去っちゃってもいいかな? 無視してアホなやりとり目の前でされたし

「だからお主はネズミなのじゃ! ……ってちょっと待つのじゃおぬしら!」

「やだ」

「待たぬのなら」

「待たなかったら……なに?」

「待たぬのなら……おぬしらに対して魔法を放つのじゃ!」

 なんとなく分かってたけど、やっぱりこの人達……わたしたちと同族みたいだね。

 にしても、挑発されたいのかな、この人は……

「はいはいどうぞ~わたしの心臓は多分この辺だヨ~」

 まあ、その挑発の挑発に乗るのがわたしだけど。

「チューザ!」

「はいはい姫様!」

 わたしの挑発にキレたのか、相棒のチューザ? に対して何かを促した。

 相棒がいないと変身できない時点で実力はお察しレベルだね……わたしは初回から相棒抜きで変身してたのに……別に強さには関係ないけど。

「夢より生まれし7匹の戦士よ」「眠りより覚めし姫よ」

 先にネズミの方が呪文を唱え、そして姫と呼ばれた方が次の文節を唱え……

「「今ここに揃いて、汝らの力を解放せよ……」」

 最後を揃って唱え、姫が変身をした。

 なるほど……変身するには相棒が必要だったってわけか……まあ、ネズミの方の姿は変わってないのをみる限り、必須なのかどうかは分からないが

 姫を包み込んでいた謎の光が収まると同時に、姫の姿が明らかになる。

 個人的には説明したくないのだが一応説明させてもらうが、姫の格好を一言でいうならば、大河ドラマにおける将軍とか貴族の娘のような格好……最近見てないからどっちか分からないが……そんな感じの格好をしていた。

「ゆくぞチューザ!」

「了解です姫様!」

 姫の方の変身が終わり、いざ戦おうとしていたようなのだが……

『……ヒョー! ヒョー!』

「にょわぁぁ! まだ生きておるではないか!」

 突然立ち上がったヌエに対してガチでビビっていた。

「あー、メンド……わたし疲れたから倒してくれない?」

「あ、ついに言っちゃいけない感じのが出たね、ニト」

 ヤヌス、あとでスパイラル・スライダーの刑に処するから覚悟ね。

「なにゆえにわらわが倒さねばならぬのじゃ! もともといえばおぬしがちゃんととどめを」

「おやめください姫様! 今は争っている場合ではありません!」

『ヒョーヒョー!』

「わわわ、わらわは妖怪が苦手なのじゃ! はやくなんとかせいチューザ!」

「無茶いわないでくださいよ姫様! ネズミがあんなデカい化け物を倒せるのは童話の中だけですよ!」

 どうやらわたしの出番のようだ。……でも疲れたから帰ってテレビ見てたい。最近アニメが面白いし。

「いくよニト!」

 ヤヌスが戦うこと前提で話しているけどさ……わたしとしては休みたい。でも、目の前には助けを求めている人がいる……という使命感からではなく、『うるさいからわたしの本気を見せておけば静かにならないかな?』という気持ちが休みたいという気持ちとが、わたしの心の中で天秤にかけられている。

「はやく助けるのじゃ! はやくしないとこやつにわらわが……」

 ……うん、迷っている暇はないようだ。……わたしにとりあえずは迷いはなくなった。

「いくよヤヌス……面倒だけど、切り刻んで粗挽き肉団子にしてやろう……どうでもいいけど、部位によって肉質って」

「知らないよ!」

「そんな事はどうでもいいのじゃ!」

 気になったことを素直に聞いた結果、ヤヌスたちに怒られてしまった。

「仕方ないね……『るうそ、ずらじば、るねおいら』」

「かっ……刀じゃと!?」

「刀を使う魔法少女ですか……!」

 これが一般的な魔法少女の反応だよね、うん……確かわたしが初めてこの武器を使ったときの反応は『もう一本出せないの?』だった。ちなみに、その後鉄パイプと刀を持って二刀流を試してみたのだが、わたしが二刀流するには筋力や技術が足りなかったようだ。

「とりあえずそこのヌエにビビってる姫さんはパーフェクトなレディのわたし、魔法少女ニトにヌエの相手を任せて下がっててくれないかな? 邪魔だし邪魔だし……なにより邪魔だし」

「なんで三度も繰り返し言ったのじゃ!」

 文句を言いながらもちゃんと下がってくれるとは……戦力外戦士の鑑だね、姫は。

「そうですよ! いくら姫様がヌエの相手をする上で明らかに邪魔なポジションに居座っていたにしても、3度も繰り返し言うのは」

「チューザ、あとでぬしをライオンの檻に放り込んでから帰るのじゃ」

「なんでですか!」

 姫が下がったのはいいものの、ヌエはいまだに姫の方をロックオンしちゃってるか……じゃあ、姫を餌にしてヌエを切り刻んじゃおうかな?

『ウヴォァー』

「ニートとやら! はやくこやつを」

「ん? 誰の名前がニートだって?」

 ワザと突進の構えをとき、姫に対して問いかける。釣りなどでこういう状況になった場合は、餌は餌ではなく食料に格下げである。つまり……

「ニトサンニトサンニトサンニトサンニトサンニトサンニトサンニトサンニトサンニトサンニトサン! 助けて欲しいのじゃ!」

 姫がヌエに捕まれてしまったようだ。放置するのは寝覚めが悪いので、一応助けることにする。ちゃんとニトさんって呼んでくれたし。ニトさんって呼んでくれたし。

 とりあえずヌエはほぼ動きそうにないから……

「せいっ」

 とりあえず、姫に覆い被さろうとしているヌエに対してタックルをし、すかさず(とはいっても、流石にすぐに追撃に移るのは無理なので若干のタイムラグはあるものの)斬った。

 更に怯むので斬る。怯むので切る、伐る、きる、キル、そしてセツダン……流石に首では無いものの、肩のあたりからバッサリと切断した。

 切った傷口から血のような液体が吹きだしているのだが、最初からわたしはそういうスプラッタ系魔法少女なのだと割り切って、今は別に拭き取ったりはしない。

「ふぅ……やっぱり魔法少女って最高だね!」

 そう、わたしが蔓延……もとい、満円の笑みでヤヌスに対して親指を立てながら言うと、

「そんな意味深な状況で言わないで! 意味深な格好で言うのはやめて!」

 思いっきりツッコミをくらった。当たり前だ。

 そんなに血まみれ系魔法少女は駄目かな……まあ、わたしも流石にダメだと思うけど。

「……エクセレント」

「エクセレント……素晴らしい? 何が?」

「わらわを弟子にして欲しいのじゃ! 構わぬよな?」

「いけません姫様! こんな野蛮な……すいません」

 ネズミめ、一睨みしただけで謝るなら最初から言わなければいいのに……

 にしてもわたしが師匠か……うーん、本当は弟子にしてやってもいいんだけどね……

「でもわたしはオリーブオイル」

「なにゆえにそこでオリーブオイルが出てくるのじゃ! 二重の意味で!」

 そんなにわたしのポケットにオリーブオイル(内容量約30g)が入っていたのが気になるのかな、わたしの弟子第一号の姫は?

 まあ、わたしが誰かの弟子になったとして、師匠がいきなりポケットからオリーブオイルを取り出したら同じ反応をするだろうけど。

「……ところで、師匠って何をすればいいの?」

「ニト、流石に何の師匠かはちゃんと聞いてから了承しようよ……」

「先ほどの刀技じゃ。わらわの武器でも応用出来そうじゃから、教えてはくれんか?」

「ああ、刀ね……一応、わたしが教わった人にあなたも教えてもらいにいく? わたしの技の応用云々の前に基本を学んでおくべきだと思うんだけど」

「それもそうじゃな……師匠の師匠とあらば、わらわの師匠も同じじゃ」

「姫様、その理屈は……その……」

「……ねえニト、ひょっとして」

「舞さんだよ?」

 わたしの隣の部屋に住んでいる、半ニート剣士の魅剣 舞さん。一応実家の道場などで剣道を教えているのだが、それ以外は仕事をしていなかったりする。

 一応美人剣士という通称があったりするのだが、面を向かって言って首や腹を峰打ちされたり竹刀で打ち首(だが斬られてない)されたりする人が多発しているので、彼氏いない歴=年齢だったりするらしい。本人に聞く勇気はわたしにはないので、本当かどうかは知らないが。

「じゃあ、明日魅剣道場ってとこに来て。そこの師匠には話をしておくから。」

 ちなみに話をしてからいくと入った瞬間に、実力を試す為なのかいきなり不意打ちを喰らったりする。

 わたしの弟子になるのなら、あれくらいは対処出来ないと、この先生き残れそうにない。……ちなみにわたしはヤヌスガードで切り抜けました。

「魅剣道場……どこにあるのじゃ?」

「いや……この街の北の……国道∞号線の富岡大橋のあたりの」

 流石にこの街の住民なら、国道∞号線は分かると……

「富岡大橋? 国道∞号線? それはどこにあるのじゃ?」

 国道∞号線すら知らないとなると……

「…………一体どこに住んでるの?」

「む? わらわはどこにも住んでおらぬのじゃ」

「はい?」

「つまり、その……姫様は……この国の言葉でいうと……ホームレスなのです……」

「うむ、そうじゃ。わらわはホームレスじゃ!」

 ……どうやら厄介事が増えてしまったようだ。

場の《クリストファー・アークライト V》の効果発動!ニートークン(攻・守 0/0)を相手の場に可能な限り特殊召喚する!このトークンはリリースできず、さらにシンクロ素材にも使用できない!スタンバイフェイズに飴を与えることで除去できるが、この効果以外では場を離れることがない!


……あ、新キャラについてですか……カレーパン……

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