外
古くなり錆びや変形でギギギと軋みを上げて開閉を知らせるサイレンとともに開く大きな門。
分厚い門の扉で閉ざされていた屋内に外気が入り込み場が一気に冷え込み、その場に出迎えに来ていた者たちが防寒具を突き抜けて刺す冷気に身震いをする。
床をこすりガリガリと音を立てて門が開ききると、積もった雪を振るい落としながら鉄の要塞のような巨大な車両が入ってきた。
「損傷しているものは上層階に置いていく! 救護車が先だ。無傷の車両だけを先に下に下ろせ、怪我人を乗せた救護車は中層の病院までそのまま向かわせろ! 戦利品の確認は後日だ!」
外からの外気がみるみるこの場の温度を下げていき、その場にいるものたちの吐く息が白くなる。
門が開きゆったりとした様子で入ってくる20メートル近くある巨大車両。
そこに積まれた巨木や金属の山を見ながら迎えのものたちは車両の数を数えた。
巨大なトラック、作業車、救護車の3種10数両の車両がすべて入場すると再び門は音を立てて閉まり始める。
「輸送トラックが一台足りないな? 責任者はどこだ、何があった。報告がかりは誰だ!」
遠征から帰ってきた10数台の車両に指示を出しているもののそばに駆け寄ってくる若い男性。
シルエットが膨らむ活動服からは動くたびに張り付いた氷が剥がれ、男はかぶっていた完全防護型のヘルメットを外しわきに抱えてたつ。
「カザヒ隊、ただ今遠征から戻りました。遠征隊長及び副隊長は重度の凍傷の為、救護車で先ほど下層へと降りていきました。報告は自分がまかされています」
「そうかご苦労。ここは寒い、移動しながら報告を聞こう」
門が完全に閉まるとサイレンは止まり、エレベーターと車両の動く音だけが響き渡る。
どの車両も雪が大きく積もり、また車体の周囲に張り付き車両が動くたびに周囲に凍った白い塊をばらまく。
「負傷者は重傷者が23名、軽症者が30名、死者は0。合計53名です」
「今回は多いな。いや、今回は死者が出なかっただけ良い結果だ」
下の階層から熱を運んできている送熱配管のそばへと向かう。
配管は冷気の影響で白い湯気を周囲にもうもうとたてていた。
「遠征開始二週間後に最初の獣の襲撃にあい、そこから回収作業中や夜、嵐の中と何度となく戦闘がありました。自分は医療班でしたので現場にはおりませんでした。仲間が負傷者の搬送をしてくれているので自分が報告に」
「詳しくは後でゆっくり遠征での話をまとめる。大まかに今回の遠征で何が起きたかだけ伝えろ」
車体が揺れるたびに履帯や車体各所に着いた氷や氷柱の塊が落下しコンクリートの床で重たい音を立てて砕け散る。
大きく破損したロボットアームのついた作業車が目の前を通り過ぎていきエレベーターには向かわず空いたスペースで停車した。
「あの作業アームの損傷は獣にやられたのか?」
「いえ、吹雪による倒木だそうです。獣は出ましたがそれとは別で回収作業中に嵐に飲まれ車両が対嵐の陣形を整える間もなかったそうです」
車両の背面に大小合わせて3本ある機械の腕は大小一本ずつになり破損した腕はシートで包まれていた。
エレベーターの到着を待つ他の車作業車両の大きいほうのアームには大型動物が二匹逆さ吊りにされてぶら下がっている。
「ならトラックの件は」
「一台が雪にはまりスタック、数日かけ牽引し引き出そうにも嵐の影響で地盤が柔らかく難航。食料と燃料の残量を見て何度かの話し合いをしたのちで断念し引き上げました。置いてきた車両は大きな破損はなく必要なものは他に映し来年の天候次第で回収は可能だそうです」
目の前で止まった車両を横目で見ながら車両用エレベーターに一台ずつ乗って降りていくための待機の車列を改めて見た。
暖かい屋内に入ったことで氷が急送に溶けボロボロと車体から剥がれ落ちている。
外から帰ってきた車両がすべて通り過ぎると他の人員は床に散らばった氷の塊の掃除が始まり、車両に踏まれ硬い氷となった部分をつるはしで叩き砕いてスコップで部屋の隅の窪みに落としていく。
「あの作業車両の折れたアームの部分はどうした?」
「嵐が過ぎ去ったあと部品を拾えるだけ回収し、今降りていったトラックに乗せてあります」
「御苦労、今確認することは終わった後は落ち着いたときにまとめて聴取する。お前も下層へ降り冷えた体を温めろ。大食堂で暖かい汁ものを作ってもらっている」
「失礼します」




