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シャンプーとリンス

 ボトルから出てきた液体を、特に確認もせず頭に塗りつける。


「……ん?」


 微かな違和感があった。

 頭から外した手を確認してから、今自分が押したはずのボトルを見る。もう一度ボトルの頭を押し、その隣にいる色違いのボトルも押し、それから俺は全てを混ぜて頭に塗りつけた。もさもさと適当に洗い、やはり適当にシャワーで流す。


「おかえり~」


 風呂から上がると、まだ下着姿の同居人がビールと共にソファに転がっていた。自分も、と思って冷蔵庫を開けると発泡酒しか残っていない。小さく舌打ちをして缶を出し、同居人の足をどかしながら自分もソファに座る。


「シャンプー詰め替えたろ」

「おっ、気づいた? 偉いだろ僕ちゃん」

「両方ともリンスになってんぞ」


 そんなはずないんだけどな、とぼやきながら立ち上がり、同居人が風呂場へ向かう。ソファに置き去りにされたビールを口にすると、少しだけぬるくなった苦みが喉を潤した。


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