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【1話30秒】BL掌編集  作者: 二ッ木ヨウカ


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番占い

「午前零時ぴったりに学校の池にコインを投げ込むと、自分の番の姿が水面に映し出される」


 いつからか知らないが、こっそりと学校内で囁かれている噂だ。


 そんなの眉唾だ、怪しいにもほどがある――そう思いつつも、その日夜中に寮を抜け出した僕は、こっそりと渡り廊下を通り、池の前に立っていた。


 ――だ、だって、だって……気になるじゃん!


 αとして生まれたからには、やはり自分の番がいるのかいないのか、いるとしたらどんな容姿なのか気になるのである。

 自分でも馬鹿だと思う。でも、こっそりと試すぐらいしてもいいじゃないか。

 墨のような水面に、ドキドキしながらコインを投げる。月明かりにキラリと光った銀貨は放物線を描き、思ったより大きな音を立てて水面に落ちた。

 息を殺して池を覗き込む。

 自分の顔のすぐ後ろに、見慣れた、でも、自分ではない顔が映っていた。


「ぎゃあああああぁむぐっ」


 叫びながら振り向く。すぐ後ろに立っていたルームメイトに、慌てた様子で口をふさがれた。


「な、なんで君が……」

「なんでって、そりゃ夜中にこそこそ部屋出てったら気になるだろ」


 まさかこんな目的とは思わなかったけど、と見慣れた顔のルームメイトがニヤつく。


「で? どんな顔が見えた?」

「どんなもこんなも……君も見ただろ、僕と君の顔が映ってただけじゃないか」


 池に背を向けて歩き出す。


「……帰ろ」


 やっぱり、こんなおまじないに効果なんてあるわけないんだから。


「だな」


 そう返してくるルームメイトの声が弾んでいることに、僕はまだ気づかなかった。


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