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【1話30秒】BL掌編集  作者: 二ッ木ヨウカ


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雨音

 ざあ、という雨音に混じり、玄関の扉を叩く小さな音が聞こえた。


「……!」


 弾かれるように扉を開ける——が、アパートの廊下には誰もいなかった。左右を見回して立ち尽くす私の顔に、軒先から垂れた大きな雨粒がぶつかる。

 しばし考えてから、さっきドアを叩いたのはこれだったのだろうと気づく。


(そう……だよな)


 分かっている。彼が帰ってくるはずなどない。何を期待しているのだろうか。

 ため息をついて扉を閉める。すぐに開けられないようにチェーンまでかけ、布団の中に潜り込む。

 頭まで布団に潜り込み、目を瞑る。耳を塞ぐが、細やかな雨音はどこかから忍び込んでくるようだった。

 また扉を叩く音が聞こえたが、私はじっと体を丸めたままでいた。


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