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錬金術
ボクは、マスターの手によってフラスコの中に生み出された。
言葉も、歌も、料理も、魔術も、全部マスターが教えてくれた。ボクは教わった通りに歌い、踊り、そしてマスターの研究を手伝った。
ずっと、そうやって共に過ごしていくと思っていた。
「おはようございます、マスター」
だが、その日の朝、マスターは目覚めなかった。言いつけられていた通りマスターに一番いい服を着せた。まだマスターが明晰だったころ、式典に行くときに着ていたローブ。国から貰った勲章もつける。
それから、ボクはマスターの髪を一房だけ切り取った。小箱に入れ、落とさないように腰のポシェットに入れる。
玄関の扉を開けると、そこには抜けるような青空が広がっていた。
「行ってきます、マスター」
最後に家の姿を見ておきたいと思ったが、振り返ることはしなかった。
そうしろと、言われていたから。




