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琥珀糖
石を食べている、と思った。
――どうしよう。確かに最近研究に行き詰まっているようなことは言っていたけれど。でもそこまでとは思わなかった。病院とかに連れて行った方がいいんだろうか。
院生室の入り口で硬直してしまった僕を見て、先輩は「あ、良いところに来たね。さっき貰ったんだ」と手に持っていた箱を差し出してきた。中には色とりどりの石が入っている。
「いや自分は、石は……その、見る方が好きと言いますか、ええと、今そんなにお腹空いてなくてですね」
先輩の手元と顔の間で視線を行き来させながら何とかそう断ろうとすると、あは、と先輩が噴き出した。
「君、何か勘違いしてるね? これはお菓子だよ」
「お、お菓子……?」
「寒天ゼリーみたいなやつだよ。百聞は一食に如かず、だ」
箱の中から薄い水色の塊を取り上げた先輩が、それを僕の手の上に置く。
「はあ……」
ガラス越しの光に、小さな欠片をかざす。半透明のマットな質感は、言われれば確かに糖化した羊羹に似ている。
そっと歯を当てると、小さな音を立てて表面が割れた。それから中の柔らかい歯ざわり。
噛みしめると、薄荷の爽やかな風味が鼻へと抜けていった。




