程よい距離感
「廉!この前の薬草ありがとね!」
「はぁい」
「廉くん、また今度、薬草の調合を頼むよ」
「もちろん」
転生してからというもの、廉の毎日は平和だった。
怒号を聞かない毎日。
自分が電気を消せば暗くなる部屋。
しっかりと自分のベッドに入って眠れる夜。
これほどに最高な生活はない、そう廉は思った。
「スローライフ、最高ー・・・」
廉の住む町は、死ぬ前に住んでいた場所の何百倍も小さな町だった。
しかしだからといって閉鎖的な雰囲気はなく、各々が自由に暮らし、お互いが程よい距離感で生活していた。
だからこそ、廉が新しく住人としてその町に移り住んだ際も、町の人々は過干渉になることなく、しかし優しく、廉を受け入れてくれた。
そして薬草売りとしての生活を開始すると、人々は時たま廉の元を訪れては、薬を調合してくれと仕事を依頼しに来るのだった。
干渉されすぎず、でも無関心すぎない。
廉にとってはこの村の人々のそんな人との関わり方が、心底自分に合っていると感じた。
「好きだった庭いじり、まさかこんな風にまた出来るようになるなんて」
昔から植物が好きで、小さい頃から花や木、観葉植物、いろんな植物が身の回りにある生活だった。
土に触れ、植物の成長を日々記録する。廉にとっては、これが小さな趣味でもあった。
「好きなことを仕事にしたいって思ってたけど・・・死んだあとになってこんな形で実現するとはね」
その日は良く晴れていた。
「今日はちょっと離れた森まで行ってみるかぁ」
そう思い立ち、廉は自分の住む村から少し離れた森まで向かった。




