あっけない結末
ヒスイのお品書き
ヒスイ「おっきな亀さんだよね~~~~これを食べるのは大変そうだよ
本日のお品書き
・キャッスルタートル
・近代兵器
なんだかお空からとっても眩しい光が降り注いでるの!!」
「しかし、この巨体はどう対処したものか・・・・」
名前の通り城と同等、それ以上にでかい巨体。見上げてるから首が結構疲れる。
「動かないのが不気味よね。私たちのことなんて目に入ってないみたいな感じだけど」
「文献が正しければほとんど動くことのないらしいわ。だけど鉄壁の防御力と大地の魔力を吸収して砲撃を撃ってくるらしいわ。これはもう破壊不能な砲台とでも思った方が良いのかもね」
「その文献に倒し方とか載ってなかったんですか?」
「私も最後まで読んだわけじゃないし、破損もひどかったから読めたのは四獣の特徴と、あとは召喚に膨大な魔力と触媒がいるってことぐらい」
触媒はおそらくオルヴィタスだろう。あれはミスラと深いかかわりがある、あれなら触媒として申し分ないだろう。
「だけど神の兵器を人の手で作れるものなのかしら?」
「あれはオルヴィタスの一部を模造したものにすぎないだろうな。本物なら俺一人で発動させた終末の日で壊せるわけない」
それでも本来一人で発動できない魔法を発動させ、4本中3本を消滅させたことをほめてほしいぐらいだ。
「つまりこいつも模造品を触媒にしたものってことよね。そうなると本来の力が出せないと思うのだけど、案外簡単に倒せたりしないかしら?」
「ビオラさんの言う通り触媒を使ったことで弱体化しているのは間違いないと思いますけど、それでもあいつから感じる魔力は化け物ですよ」
魔力感知で感じられる魔力量は一国が保有している魔力量と同等に感じる。こんな馬鹿げた魔力を内包できるだけでも模造品のオルヴィタスはやはり神の兵器だと確信できる。
そんな話をしているときキャッスルタートルの後ろ足付近から物凄い爆発音が響き渡る。
「なんっすかこいつ!超固い!!!」
「やたらと攻撃をするなと何度言えば分かるのだ!」
声を聴くとリュートさんとシンラだろう。二人ともあの崩落でも無事だったことに一安心だが、シンラが攻撃を仕掛けたことでキャッスルタートルが動き出してしまった。本当におバカ!!!
「二人とも急いでその場から離れろ!!」
声を張って叫ぶが遅かった。キャッスルタートルの甲羅の一部が開閉され、そこから高密度の魔力砲が2人に向かって放たれた。
「あの二人は一体何をやっているのかしら」
「リュートさんの苦労が伺えるわね」
間違いなくシンラが暴走しているのをリュートさんが必死で抑えていたのだろう。それが最後の最後でこんなおバカなことをしでかすとは・・・・ご愁傷様です。
「ふふん、僕に魔法攻撃は効きませんよ!でも、どうやって倒しましょうか?」
「相手の力量も分からずに攻撃をするな!未知の魔物ならなおさらだ」
心の底からあの時、シンラを残さなくてよかったと思ったよ。ビオラさんに感謝。
「シンラ君おバカ具合が進化してない?」
「あいつ戦闘力が上がると知能が下がる呪いでもかかってんじゃないのか?西城の言う通りバカ具合に拍車がかかってる」
強敵とみると所かまわず戦闘を仕掛ける戦闘狂だったが、ここまで未知の魔物にまで戦いを挑む奴じゃなかったとおもうんだよ前にあったときわね。
「もう面倒だから中条の奥の手で一発で仕留めちゃいなさいよ」
西城の核爆弾と同じように俺にも奥の手がある。もちろん国を破壊するほどの威力だからこいつにも効くとは思うけど。
「でもあれやるとガチでこの辺り焼土になるぞ」
「元々この国の王族が素直に言うこと聞かなかったらやるつもりだったんでしょ。なら別に問題ないじゃない」
「いや、王族には威力を弱めたやつで脅すだけにするつもりで、これだけでかい奴だと本気でぶっ放さないと倒せないぞ」
「ごちゃごちゃ言わずにやっちゃいなさいよ!!私だって奥の手使って手持ちないんだからあんたがやりなさい!」
ってかあなた核爆弾使ったの?!よくこの国原型を留めていられましたね。あれは俺からいわせても火力もエグいやつだから真近で使われたらどうしようかと思ってたよ。
「分かったよ。ここだと余波で危ないから一旦町を出よう」
それからリュートさんとシンラと合流して取り合えず町を出ることを伝える。シンラのやつが多少文句を言っているがそこは大人なリュートさんとビオラさんが優しく説得。
「それじゃあ打つけどみんな目をつぶってた方が良いかも。下手すると失明するかもだし」
これは冗談ではない。俺が使おうとしている魔法は“太陽光レーザー”上空に巨大なレンズを作り出し収束した光で相手を焼き尽くす魔法だ。実はこの魔法、欠点として発動までに滅茶苦茶時間が掛かる。俺は2日間太陽光を収束させ、ようやく発射できるほどだ。だがその威力は絶大。レーザーの温度は太陽の表面温度の約6千度にまで達し、この地表のあらゆるものを溶かしつくす熱線と化す。これを使うと地面すら燃え上がり動植物が生きていけない焼野原にしてしまうのが難点でもある。
「効いてくれよ!」
祈りと共に太陽光レーザーを発射させる。キャッスルタートルの巨体全てに熱線を当てるためかなり広範囲を指定しているため熱がこちらまで伝わってくる。キャッスルタートルは防壁を何重にも展開して熱線を防いでいたが、あまりの高温のためか防壁がどんどんとかされ、結果としてキャッスルタートルの体はいとも簡単に消滅した。
レーザーの後には黒く焦げた大地だけが残され、西城以外の3人は茫然とするしかなかったようだ。
「ま、まさか絶対の防御をほこるとされるミスラの四獣をこんなあっさり・・・」
「規格外とはまさにこのことよな」
「いや、あれはない。あんなの防ぎようがない・・・・」
さっきまで元気だったシンラまでも驚いた顔で固まってしまった。
「そうは言うけど俺の全魔力の4分の1を常に消費してないと上空のレンズを維持できないから結構しんどいんだぞ」
この2日間ずっと魔力を使いレンズを維持し続けて、連戦をしてきたのだから疲れて当然だ。
「じゃあいままで、全力をだしていなかったの?」
「魔力をって意味ならそうですね。上空のレーザーで4分の1消費し続けますし、保険としてもう一発撃てるように準備してるので、魔力を半分しか使えなくて結構つらかったですよ!」
実は1発を防がれたときのために第2射目の準備は怠らなかった。準備は念入りにしないとね。
「あ、あれだけ色々な魔法を使ってながら半分の魔力で・・・・」
「あの人が力不足と言うのも頷ける」
「流石にこれは付与魔導士が使える代物じゃないよ」
失礼な!ちゃんと全て付与魔法でやってますよ!!そもそも太陽光レーザーは魔法というより科学に近いものがあるから、太陽光を屈折させるレンズも光を集める収光壁も付与魔法を俺なりに少しアレンジしたものにすぎない。それでも俺のチート級の魔力量がなければ成しえない魔法なんだけどね。
「とにかく倒せたんだから良し!それより子供たちは・・・」
生贄として使われた子供たちの魂、正確に言えば意思を宿した微精霊とのことだが、キャッスルタートルを倒したことで解放されたと思ったのだが、まさかレーザーで魂まで消滅させてしまったか!!
「多分微精霊として死を迎えたんだと思うよ。話を聞いた限り、意思を持った微精霊は完全なる精霊として進化しているだろうし」
精霊使いでもあるシンラに子供たちのことを掻い摘んで話す。結果としてキャッスルタートルに吸収された精霊は死を迎えたとのこと。万が一精霊が生きていたとしても、作られたハイネとロビンの体に再び宿ることは出来ないらしい。微精霊を別のものに宿すということ自体禁忌に近しい行為らしく、一度宿っていた肉体から離れればあとは自然消滅を待つしかないのだという。
「精霊と契約できれば命を繋ぐことはできるだろうけど、精霊と契約できる才能はまれで僕もこの子たちしか契約は出来ないみたいだから」
シンラが契約している精霊は2体。それが上限のようで、シンラにも契約はできないし、この場にいる者のなかで精霊と契約できるスキルや才能を持っている者はいない。
これ以上子供たちを救う方法がないと諦めかけたとき、ロビンとハイネの目が開き起き上がった。
「え?!どうして!!」
詳しく事情を聴くと今話しているのは相沢麗奈と牧田小太郎だと話してくれた。2人いわく、精霊たちが2人を守ってくれたのだという。ショックで立ち上がることのできなかった精霊たちをずっと励まし、元気づけていた2人に対するお礼だと言っていたとのこと。
「最後に2人とも「パパとママとグリのところに行くんだ」って言ってました」
短い間だったが、体を共有していた相棒がいなくなってしまったことを悲しむ相沢さん。俺も最後ぐらいちゃんと挨拶をして、おいしいって言ってくれたお子様ランチをもう一回作ってあげたかった。
「これかは俺たちがハイネとロビンとして生きてほしいとも言っていた」
何もできなかった自分が悔しいのだろう、牧田君が握っていた拳は真っ白になるほど力を入れて握っていた。
「2人とも一応安全を考えて鑑定させてもらうよ。違和感があると思うけど拒否しないでもらえると助かる」
これまで鑑定は相手のプライバシーの観点から人に使うことを極力避けてきた。だが、この体を作ったのがあの白衣の男ということは変わりない。何か不自然なところがないか確認は必要だ。
鑑定の結果2人の体に不自然な点はなく、完全に人に分類されていた。しかもロイドさんとアマンダさんの遺伝子から作られただけあって二人のいいとこどりな能力とスキルを持っている。
ハイネ(身体年齢7歳、誕生して2年半)人間(男)
体力 100
魔力 30
力 20
頑丈 20
精神 50
器用 40
素早さ 20
運 20
スキル
霊獣の加護、薬学、女神の加護、(精霊の加護)
称号
転生者、生命に成りし者
ロビン(身体年齢7歳、誕生して2年半)獣人(女)
体力 110
魔力 20
力 30
頑丈 30
精神 30
器用 20
素早さ 40
運 15
スキル
霊獣の加護、槍術、女神の加護、(精霊の加護)
称号
転生者、生命に成りし者
二人ともにロイドさんが持っていた霊獣の加護とアマンダさんが持っていた女神の加護持ち、さらにハイネにはアマンダさんの薬学、ロビンにはロイドさんの槍術がスキルに継承されている。それにまだ使えないだろうが精霊の加護を習得できるみたいだ。加護と名の付くスキルはこの世界でかなり強力なものなので2人ともスキルのランクだけならAランク冒険者にも引けをとらない。
「加護持ちは狙われることが多いからなるべく隠すようにな。みんなも口外はしないでくれよ」
ここに集まっているのはSランク冒険者だけにその辺りはあまり心配していない。性格には難がある奴らだが、こういった秘密は必ず守ってくれる。だからこそ、2人が転生者であることや鑑定の結果をこの場で話したのだ。
「それにしてもあの少女がサウスランドの王女で黒幕だったとは驚きだ」
「そうね。私も特に違和感も感じなかったし、ビオラさんがいなかったら今頃どうなってたか」
サウスランド王国第三王女コーネリア、彼女の目的は未だに不明だ。ビオラさんも彼女がなにをしたかったかまでは分からないそうだ。だが、彼女が使った力、それに似た力を俺は知っている。
「王女の名においての支配権って、オスカー様と一緒だよな」
王家にはそれぞれ王家を守るための能力を備えた者が生まれると言われている。大陸を収める王都ユーディリアではオスカー様がその能力を継いでいた。その能力は“支配”、王都という限定の場所ではあるがその範囲内の事象や理を支配する能力を有している。強力な力だが制約も多い、まずは王家に連なる者の承認がなければこの能力を行使できない。さらに、支配は民衆の力の体現と言われており、民衆の王家に対する思いが力となり反映される。つまり、王家に不満や不安が多ければ多いほど、オスカー様が使える力は弱くなる。結果として国が魔物なり他国から侵略されたときに力を発揮できないということだ。
「でも、サウスランドの民衆は滅んでるんだし、民衆の思いってまるで無いから力の行使なんてできないんじゃない?」
「国によって条件が違うのかもしれないな。必ずしもユーディリアと同じとは言い切れない」
これ以上詮索しても答えは出ないと思いこの話はここまでとした。王家のことに関してはオスカー様たちにお任せするしかない。
「結局なにも分からないってことよね。城に手がかりがあったかもだけど、あれじゃあ何も残ってないでしょうからね」
城を中心としたサウスランドの帝都の大地は丸焦げ、巨大なクレーターのようになってしまっており、いまだに熱が冷めきらないところからは煙が上がっている。所々で波のように固まっているのはおそらく溶岩だろう。
「あまりの熱量に大地が溶けて溶岩になったのね」
「物凄い力である。だが、これはちとやりすぎではないか?」
「あんなの防ぎようがないじゃないですか!発射されたら100%死亡だよ!!」
みんなの呆れたような目が向けられるが俺は悪くない。だって手加減してもしキャッスルタートルが生き残ってしまったときそれはそれでこちらの命が危ないのだから。やるからには全力が俺のモットー。
「そもそもこの魔法そう簡単に撃てないから安心してください!この魔法は神ロキからの承認がないと打てない。信託で許可をもらわないと魔法の発動すらできないから」
信託というか直接本人から「いいよ!」と許可をもらわないと発動しない魔法なんだけどね。この魔法と西城が核爆弾を作ったとき、ロキにお披露目したら「そんな危険なもの僕の許可がないと使っちゃダメ!!」って言われてしまった。結果ロキの許可がないと核爆弾はアイテムボックスから取り出すこともできないし、太陽光レーザーを使用するための魔法も不発になってしまう。
「まぁあれだけの威力じゃ、神だって禁止するよね」
「禁忌とならぬのは神では対処できない者たちのためか?」
「そうだな。今回のように悪神ミスラ関係だと下手したら世界崩壊の可能性だってあるから、そのときの対応策として禁忌にはなってない」
これは事実。悪神となったミスラやこの世界の外からの侵略者など世界規模での危機って以外と多い。
「そういう時のために聖獣がいるのだろう。そういえば今回ハクトとコクロは来ていないようだが」
リュートさんの言う通り、世界規模での問題って神と聖獣たちが力を合わせて解決することが多い。
「それはそうなんだけど、今回はあくまでも禁忌を犯してる国の始末ってのが目的だったわけで、聖獣たちの力を借りるほど大規模になるとは思ってなかったんだよ。それにサウスランドの担当している聖獣はフェンリルじゃないから、あいつらもあんまり口出しはしてこなかったんだろうな」
4体の聖獣は世界を4つの地域に分けてそれぞれ守護しており、それぞれの守護領域には相手からの要請が無い限り立ち入ることはない。
「サウスランドって確かリヴァイアサンだったよね。海に住む神龍って聞いたけど強いんだろうな!!」
シンラがとてもワクワクしているのはなぜだろう?確かに聖獣は強いけど、俺からしたらコクロとハクト含め全員残念な方々だ。いや、とても素晴らしい方々なのは分かるんだが、Sランク冒険者以上に性格に難ありなんだよなぁ。
「シンラ君はもうちょっと自重しなさい!それより早く王様たちに報告に言った方が良いわね。ここから王都まで結構掛かるし、途中で王国軍に会うかもしれないから、その時はそこで事情を説明しましょう。もちろん全員行くわよ!」
シンラとビオラさんはあまり王家と関わり合いたくないようで、なんだかんだ王前を避けている。俺とリュートさんも貴族たちと色々といざこざもあったので極力避けているところはあるが、王命だと言われれば素直に行くぐらいのことはする。この二人は王命も無視するからね。
「隼人さんとリュートさんがいればいいよね。僕は修行の旅の続きを」
「私も早急に片付けなければならない要人がいますし、そちらを優先したいのですけど」
「そんなこと許さなくってよ!!」
Sランク冒険者もオネエには勝てなかった。正確に言えば俺が結界でビオラさんをリュートさんが力技でシンラを逃がさない。というより西城が逃がしたら許さないと言わんばかりにこちらを睨みつけているから従うしかない。
お読みいただきありがとうございます。
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