新しい力
「ぐへへぇ~ 女だあぁ、へへっ」
私の視線外から突然の不意打ち。ゲスな声が響き渡る。
「お前はぁ~ 俺の物だっ!」
ザクリ。
「な、なんだと! なぜ、なぜこちらを見ないで、的確に俺の腕を切りつけられるんだっ」
「理由は簡単! ついさっき、気配察知のスキルLVが2になったからだよ」
娯楽の国で日々盗難を警戒した結果、たくさんのスキル経験値を得た。戦いの国を進んで行くうち、ついにスキルのレベルが上がったのだ。
スキルレベル2の気配察知は、発動している間、背後にある動くものと、その形を感じ取ることが出来る。
「それじゃトドメ行くよ~ えいゃ!」
「コ~ン♪」
ゲス男の腹に、強烈なパンチをお見舞いしてあげた。男は吹っ飛び、倒れながらくねくねしている。これでしばらくは動けないだろう。
「ひゃはははは! 声を聴いて来てみれば、本当に女がいるなんてな! みんなでやっちまおうぜ!」
「ぐへへへへ!」
「ハア、ハアハア……」
「デロデロデロ……」
汚い表情の男性がたくさんやって来る。でも大丈夫。私の魔法で全員倒しちゃおう。
「電気により作られし膜よ、私を守れ」
「シールドルーム!」
ザキュン!
呪文を唱えた瞬間、私を中心としたドーム状の分厚い壁が出現した。電気を帯びた壁が私を守る。
「構うものか! みんなで突っ込めば怖くないぜ」
「おお、そうだな」
「ぶちかましてやるぜ!」
なんと、電気の壁を気にせず全員が突っ込んでくる。そんなことして、大丈夫なのかな?
「おお~ なんかビリビリするぜ」
「気にするな! このまま進め」
「お~」
バリバリバリ
「よっしゃー! 壁が壊れたぜ」
「うえええい!」
「わーい! おんなだぁ」
え、うそ。壁が、壊れちゃった。
大人数の突撃により、壁が耐えられなかったみたい。このままじゃマズイ! あの技を使うしか……
「精霊召喚!」
精霊の友達から教えてもらったこの技で、この状況を何とかする!
成功率は……17%! 精霊召喚は、魔力があるほど成功しやすくなるみたい。成功する確率はかなり低いが、これに賭けるしかない。
緑の光が、指定した位置に現れる。
その光の中から現れたのは……
緑色の、長い髪の毛を持つ女の子。右手には食べかけのキュウリが。
ただし、身長が私と同じくらい高く、ラルちゃんよりもおっとりと優しそうな顔をしている。どうやら失敗したようだ。
「ぐへへっ、女が増えたぜ」
「やったー」
「いえーい!」
男たちが大はしゃぎしている。
風が吹き、キュウリ食いの少女の長い緑髪が、彼女の頬を撫でる。だが、表情は動かない。ただ一点を見つめるのみだ。
やがて、少女が言葉を発する。
「いったい何なのよ、この状況はあぁ~~~!」
少女の言葉が空に響き渡る。
「……なんか、残念な感じの少女だな」
「声が子供っぽいな」
「思ったよりちんまりとした女だなぁ」
「よく見ると二人とも小さいですな」
「無理して襲う必要はないかもな」
「もう、行こうぜ」
男たちは立ち去って行く。
私を助けてくれたキュウリ食い少女に、お礼を言わなきゃ。
「助けてくれて、ありがとう♪」
「助けたつもりは、ないんですけれど……ってかなんで私召喚されたの? なんでディスられまくらなきゃいけないの? そもそもここはどこなのよ!」
「さあ?」
「さあ? じゃないわよ! ……まあいいや。とにかく、ここはどこなの?」
「戦いの国、プロテン。国民のほとんどが、とても暴力的。平気で人に暴行を働くような人達が、たくさん生息しているよ」
「……なんで、こんなところにいるのよ!」
「私、職人を目指してるから。そのためにこの国を通らないといけないの」
「そう……なら何も言わないわ。それじゃあまたね」
「あ、ちょっと待って」
「?」
「あなたのおかげで、本当に助かった。とても心強かった。あなたと話せて、とても楽しかった。私の名前はクロメ。私と、友達になってくれると嬉しいな♪」
「……別に、いいけど。私の名前はレイセン。それじゃ、今度こそ。またね」
顔を赤くしながら、彼女が友達になることを受け入れてくれる。
「バイバイ! レイセン」
少女がこの場から姿を消す。
ぐうぅぅぅぅ
おなか減ってきたな。何か食べよう。
持ってるアイテムの中で、おなかを満たしてくれそうなものは……
カニとメロン。ここで食べるのはもったいない。……戦力と食料を確保するため、一度ゴンドラ国に戻ろう。
本日の苦労により能力up
クロメ(召喚士) HP16→17 200コイン
筋力:25→28 3up
魔力:35→37 2up
対話:38→39 1up
知能:42
器用:45
機敏:31
スキル
召喚術 LV4 :二体までモンスターを召喚でき、その秘めたる力を開放することができる。
気配察知LV2 :視線の範囲外でも人やモノの動きを読み取れるようになる。
精霊召喚LV1 :精霊の友達をスキルレベル×5%の確率で召喚する。
分身/Sモード :ロマン技




