クロメともふもふ召喚獣 中編
「カオリンはどこに連れ去られたんだろう?」
カオリンを連れ去ったミイラを探すため、洞窟を探索する。
「はぁ、なかなか見つからないな」
洞窟を隅から隅まで探してみるものの、ミイラの気配は全然ない。まだ一階だからなのか、モンスターもアイテムもめったに見つからない。
一階を全て探索したところ、次の階へと進む階段を見つけた。
「もしかして、カオリンの入ったミイラは一階にはいないのかな? 一階にいないとなると、見つけ出すのは困難だな」
私が階段の前であれこれと考えていると、突然、私の左側から、聞いたことのある音楽が響いてきた。
ギターにドラム、キーボード、なぜだか楽器の演奏が行われているようだ。 こんな洞窟の中で、誰かが演奏しているのかな?
この音楽は、あの時のバンドの曲だ。そして前奏が終わると、聞き覚えのあるボーカルの声がする。
この声は、カオリン?
そっか、カオリンは風の魔法でいつでも歌を歌えるんだった。でも楽器の音も再現できたんだ。私に居場所を教えてくれてるのかも。左に進んでみよう。
「きゃぁあああああああああ」
歌が終わったとたん、カオリンが悲鳴を上げた。急がなきゃ。
左側に進むと、大きな行き止まりの部屋にたどり着いた。ちょうどこの部屋の近くから声がするが、ミイラの姿はどこにもない。
「カオり~ん。いたら返事をしてぇえええ」
「わたしは~ここだよ~」
大声でカオリンを呼ぶと、部屋の奥からリズムに合わせた返事が返ってきた。この先にカオリンがいるのかな。
「いっけぇ、ミニマム爆弾!」
どん。
行き止まりかと思われた部屋の奥に、新たな通路が現れる。私は前へと進んで行き、現れた階段を下っていく。すると、広い空間にたどり着いた。
「カオリィン!助けにき,うぎゃぁああああああああああああ」
私は恐るべき光景を目にしてしまったのだ。
私の視線に移ったのはたくさんのミイラたち。そのどれもがおかしな動きをしている。
地面に横たわり、暴れている無数のミイラ。むやみに歩き回り、何度も壁やほかの仲間ににぶつかるミイラ。そして、私を最も怖がらせたのが、ミイラたちの発する声だ。
「だれか、だれか、助けてぇえええ」
「お願いします。誰か。私を助けて」
「いやああああああん」
ミイラたちから、若い女性の声が聞こえる。ミイラの口の包帯が何故かほどけていた。
「カオリン。一体どういう状況なの?」
「分かんないよ。包帯に包まれた後、勝手に体が動き出してこの場所まで来ていたんだよ。何故か目が見えていてミイラたちがたくさんいたのが見えちゃった。でもその時はミイラたちは大人しかったんだよ」
「けれど、私の歌が終わった後、ミイラたちの動きが変になって、声を出すようになっちゃったんだ。怖くなって思わず叫んじゃったんだよね」
確かカオリンの歌には呪いを解く効果があったはず。それでミイラの呪いが解けてみんなで意識を取り戻したのかな?
あのミイラたちの中に人が入ってるかも。中の人を傷つけずにミイラを倒せば救えるはず。
でもどうやって倒せばいいの? アイスソードはあの包帯に効き目がない。シールドルームもミニマム爆弾も中の人を傷つけかねない。木の弓は論外。どうやってみんなを救えばいいの?
ガサ、ゴソ、
こちらに向かって真っすぐミイラが二体やってくる。
あのミイラ、全然おかしな動きをしていない。中に女性はいないみたい。どうやら私に乗り移りに来たようだ。
「電気により作られし膜よ、私を守れ」
「シールドルーム!」
私の魔法により、一匹のミイラが足を止める。しかし魔法はそれで消えてしまい、二匹目の接近を許してしまった。
幸い私の方が足が速いみたい。うまく距離を取れたようだ。私は必死に階段まで行き、上がっていく。
だが今までの疲労からなのか、足が動かなくなってしまい、思わず階段でこけてしまった。そして一匹目のミイラはもう復活してしまった。二匹のミイラが私の方へと進む。
あのミイラたちには、私の魔法が効かないのかも。ここはいったん死んで街に戻って、誰か助けを呼ぶべきかな?
思えば私、この世界に来てから誰かに助けられてばかりだな。寒さで死にそうなときに、シノキにコートをもらったり、家に住まわせてもらったり。
最初はとっても低いステータスで何もできなかった私を、シノキは鍛えてくれた。いろいろなことを教えてくれた。
良く分からないキノコを見つけたときは、ラッカが効果を教えてくれて、その後特訓に付き合ってもらった。
誰かに頼ってばかりじゃいけないな。そんなんじゃあ四天王つぶしなんて夢のまた夢。
自分で道を作らないと。
よし! 決めた。
「私は、必ず! この状況から成りあがって見せるわ! そして、VR世界に旋風を巻き起こして見せる」
ミイラが二体、襲い掛かってくる。ミイラには武器が効かない、魔法のダメージもあまりない。そして女性入りのミイラが何体かこちらに来ているため、爆弾を使うことができない。
一方私は、何とか立ち上がることができたものの、膝を擦りむいてしまっている。そして足もあまり動かない。
道具がだめなら、肉弾戦だ。
ミイラの足を掴み取り、もう一体のミイラめがけてぶちかます。
「おりゃぁぁあああああああああ」
いいダメージがはいった。
だが、打撃を食らったミイラから反撃を受けてしまう。
私の体は階段の下へと落ちてしまった。
何とか受け身は取れたものの、体力の大半が今の落下により失われている。
でもこんなところであきらめちゃだめだよね。そんなんじゃ誰からも頼られなくなっちゃう。
「私は、必ずみんなを救う!」
ミイラたちが、階段を下りてこちらに向かってくる。
「あれ?」
突然青い光が発生した。
その光は私の右ポケットから発せられている。
シノキからもらった青い石の入っている右ポケットだ。
私はポケットから石を取り出してみる。
すると、光がより強くなってくる。
「眩しいっ」
やがて、部屋全体に青い光が発生し、青い石が私の手から消えてしまった。
「コン?」
不思議な鳴き声とともに。




