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おいしいクッキー。

クッキー食べたい。

照りつける太陽が、森のあちらこちらで涼やかな木陰をつくります。

その木陰の一つに、気持ち良さそうにお昼寝している青年が一人。頭には幸せを運ぶブルーバード、右肩には仲良しのハミングバードを乗せてすやすやと。背もたれにしている大木が優しく包み込むようにさわさわと枝を揺り動かしています。


そんな長閑な森の昼下がりに、小さな旋風が近づいて来ました。


寝ていた青年の長く尖った耳が木々が激しく擦れる音を拾い、ピクピクと動きました。

音はだんだんとこちらへ近づいて来ます。


「シドぉー!」

「うっ…!」


行く手を阻む木々と、青年の肩に乗る小鳥達を風圧で退かし、一直線に青年の胸へと飛び込んで来たのはサラサラとした茶髪を一つに高く縛った小さな少女です。


鳩尾にもろにヘッドアタックを受けた青年、シドは呻き、寝惚け眼を擦りました。


「んぅ…何、もう夜…?」

「まだ昼よ、シド!こんにちは!」


小さな少女はシドが反射的に差し出した手に乗り、片手を高く上げて元気よく言いました。


「(まだ昼)みたいだねぇ。レミちゃん今日はぁ…ふぁあぁ、まだ眠いなぁ。」

「起こしてごめんね!いつから寝てたの?」

「んー…昼食に木の実を食べて、それから小鳥達と歌を歌って…気持ち良くなって目を閉じていたら、いつの間にか寝てたなぁ。」


シドは同意を求めるように両肩に戻って来た小鳥達に目配せをしました。


「それじゃあきっと、ついさっきの事ね。私もジオからクッキーを分けてもらって食べて来たところなの!ジオのお母さまの手作りなんだけど、とってもおいしかったよ!甘くてサクサクしてて!んー!思い出しただけでよだれが!」

「へぇ。それは良かったね。」


とても幸せそうな顔で話すレミを温かい目で見守るシドです。


「今度お土産に持ってくるね!」

「んー、レミのおやつが少なくなっちゃうだろうからいいよ〜。気持ちだけ貰っておくね。」


シドに困った顔で言われた為、「そっかぁ。」と少し残念そうにレミは呟いて頷きました。


それからシドとレミは日が傾くまでお喋りをして、それからそれぞれのお家に帰りました。


♪ ♪ ♪


辺りが暗くなり、月が輝き始めます。

レミはハンカチサイズの小さな掛け布団に潜り込み昼間の出来事を思い返していました。シドにお土産を断られてしまったことが悔しく、何か出来ないかなと考えていたのです。


「シドはレミのオヤツが無くなっちゃう事を心配してたよね。無くならなければ良いのかな。」


うーん。と唸っていると、隣で寝ていた黒髪の少年が薄っすらと目を開けて自身の枕に寝そべるレミを見つめました。


「…レミ、眠れないのか?」

「あ、ごめんねジオ!起こしちゃった?」


ジオと呼ばれた黒髪の少年は眠そうに目をこすりつつ、あくびを噛み殺してレミの方を真っ直ぐに見ます。


「んーん、おれも寝てなかったから大丈夫。それより、なんか考え事か?ウンウン唸ってさ。」

「そうそう。友だちにね、何かしてあげたいなって思ってて。今日、お土産の提案したら断られちゃって…。」

「…そうだったのか。それは残念だったな…。」

「それで、他に何かあるかなーって考えてたところなの。」


ジオもレミと同じように腕を組んで考え始めました。


「うーん。もしかしたら、そのおみやげが苦手なものだったとか?」

「なるほどね。その考えは無かった。でも、それは違うと思う。だって、彼は木のみが好きなんだもん。クッキーもきっと食べたら気にいると思うの!あと、彼が心配してたのはわたしのオヤツがなくなっちゃう事だったの。」

「それなら母上に頼めばいつもよりたくさん作ってくれるんじゃないかな?」

「いいね!さっそくお願いするの!」

「明日いっしょに頼みに行こう。今日は遅いからもう寝よ?おやすみー。」


ジオは意気込むレミにそう言って目をつむると、すぐに夢の世界に入ってしまいました。

レミも遊び疲れたのを思い出すように、眠気に負けて、同じく夢の世界へと入って行きました。


お腹空いた。

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