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戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。  作者: 横蛍・戦国要塞、10巻まで発売中です!
永禄三年(1557年)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

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第千八百四十三話・遠い親子と茶席

戦国要塞、一巻から七巻まで発売中です。

七巻に関しては加筆修正をしており、女性陣の視点、土岐頼芸の最後、お市ちゃんの出番など書き下ろしの場面も随所にあります。

書籍版の書き下ろしなどは、今後webなどでの公開はありません。書籍としての付加価値は守ります。

web版と違い、一冊の本として読むことを意識した加筆修正になっており、購入をお願いできるものに仕上がっていると思います。

どうか、ご購入をお願い致します。


カクヨムにて現在『オリジナル版戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。』と『改・戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。』があります。

『オリジナル版』は、1876話まで、こちらより先行配信しております。

『改』は言葉、書き方、長期連載による齟齬などを微修正したものに、オマケ程度の加筆があるものです。

なお、『書籍版』の加筆修正とは別物であり、書籍版の内容とは違います。

そちらも、どうかどうか、よろしくお願いします。

Side:足利義氏


 父上が唐突に近江へ移ると言い出したことには誰もが驚いた。初めは氏康めが関東から追放するのかと父上の近習らが騒いだようだが、当の本人が望んだと言うたことで乱心したかとすら囁く者もおるとか。


「なにをお考えなのやら」


「公方様のお力で北条と戦うおつもりでは?」


 わしの近習らも寝耳に水のようで、真意を測りかねておるか。いずれにしろ、わしには事後に知らせが届くのみ。古河公方が聞いて呆れるわ。


「上様は北条びいきだと見えたがな」


 わしの言葉に勝手なことを言うておる者らが黙った。父上もそれを承知で近江へと出仕するのか、それともなにか別の思惑があるのか。


 わしにはあまり関わりなきことであろうな。母が北条の出であることから、わしの意思など無視して敵と味方が決まっておる。


 上杉やら反北条が勝つとわしの居場所はなくなるが、北条が勝ったとてなにひとつ思うままにならぬ。いっそ共倒れとなり、まとめて消えてくれぬかの。


 噂の織田と久遠に期待するところもあったが、あまり関わりを望んでおらぬと見える。まあ、傀儡など左様なものか。


「なにがなにやらわしには関わりないことばかりだが、花火を見られただけでも良かったということであろうな」


 戻る前に美味いものを食いだめでもするか。そのくらいならば父上も左京大夫も気にするまい。




Side:久遠一馬


 義統さんと信秀さんの許しをもらって晴氏さんを招いたんだけど。氏康さんと息子の義氏さんがいないね。連れてこなかったのか。


「これは若武衛殿と尾張介殿もおいでか」


 こちらはオレとエルとシンディに、義信君と信長さんがいる。おかしな噂になっても困ることと、顔つなぎの意味もあってふたりに同席を頼んだ。


 斯波家と織田家に限ってそんなことはないけど、対外的にそういう見方をされるので同席したほうがいい。


「当家の茶は皆で楽しむものでございますので」


 ふたりがいることにさして驚いた様子でもないが、言及したことで当たり障りのない返答をする。


 そもそも教えることって、お茶の淹れ方くらいなんだよなぁ。あとは無駄に形を作らないことくらいだ。どんな形だっていい。人のもてなしを否定しない。それに尽きる。


 まあ、それだけだと面白くないので。今日はお茶の淹れ方を変えたものと冷やした紅茶で飲み比べをするつもりだけど。


「尾張は豊かで信義もあり羨ましき限りよ」


「争わず、皆で力を合わせておるだけのこと。父上は信じると決めた者を最後まで信じるだけだと言うておった」


 紅茶を淹れるシンディを見つつ、こちらを探るように問い掛けた晴氏さんに義信君が見事な切り返しを見せた。


 別に皮肉を言うつもりはないんだろうけど、そう聞こえるのはオレだけだろうか。


 過去も苦労も積み重ねも知らず、今勢いがあるからと都合がいいことばかり言う人たちが一番嫌いなんだよね。義統さんって。義信君はそれを踏まえて答えているんだろう。


「武衛殿や弾正殿の徳の成せることかもしれぬの。わしに徳がないせいか、関東では裏切り裏切られてばかりじゃ」


「お畏れながら徳やら祈りだけで世が治まらぬのは、誰もが薄々気づいておられることかと。それに尾張一国であった斯波家とその臣下である織田では、関東を治める古河公方様と比べるのは間違いでございましょう」


 なにかを求めている様子ではないね。こちらを探りつつ、確かめているだけか。義信君に続いて信長さんに問い掛けたことでそれがはっきりした。


「それが所領を廃したことか」


「我らは久遠に倣い、国を変えておる。偉大な先人と同じことをして超えられると思わぬからの」


 聞きたいことが山ほどあるんだろうなと察する。ただ、他家のことを根掘り葉掘り聞けない立場ってのも大変だなと思う。そういう意味では、初対面で聞いてきた義輝さんは若かったこともあって、今以上にせっかちだったね。


 しかし、この時代の人はなにかあると徳とか神仏とか迷信を口実にする。人が争う理由は様々あるが、少なくとも徳や祈りだけで世が治まるなら誰も苦労をしない。


 晴氏さんはそれを分かっていてもちょうどいい口実として使っているのか、分かっていないのか定かではないけど。


「いかがでございましょう」


 楽しい茶会とは無縁の雰囲気だけど、シンディが淹れたてのお茶をお出しすると会話を止めて紅茶に口を付けた。


「よいの。茶の湯のように要らぬ強さがない。香りも味も嫌味がないわ」


 紅茶自体が口に合うのは事実なようだ。


「ほう、こちらは少し違うの」


「同じ茶とて、淹れ方次第で味が変わりますわ。お好きな味と香りを探されるとよいかと。ただし当家の茶の湯を名乗るのならば、他の者が淹れたお茶やもてなしに異を唱えるのはご遠慮いただきとうございます」


 冷やした紅茶と温かい紅茶、薄めのものや濃いめのものなど飲み比べをしている晴氏さんに、シンディは遠慮なくこちらの主張をした。気分を害する可能性もあるけど、勝手にウチのお茶の流儀とか名乗って仕来りを押し付けて威張るのは困るんだよね。


「面白きことよ。久遠流の掟は確と守るとしよう」


 しばしシンディやオレを見た晴氏さんは、こちらの懸念をある程度察したらしい。


「古き慣例のみでは生きてゆけぬのは、いずこも同じか。わしも少し世の流れと新しき知恵を学ばねばならぬ。己がいかに正しき道を歩んでおると自負したところで、力なき身では見向きもされぬ。わしは上様の下に出仕して少し世を学びたいと思う。よしなにお頼み申す」


 一通りお茶を楽しむと、初めて食べるであろう水羊羹を口にした。思っていたものと違ったのか、驚いた顔をすると真剣な面持ちでそう告げて僅かに頭を下げた。


 その件はこっちがどうこう口を出す問題じゃない。それは百も承知だろう。ただ、関東の争いに巻き込むのかと懸念していることも察しているんだろうね。


 もともと反対する気なんてないけど、本人から頼まれると反対なんて出来ない。立場的にはさきの古河公方である晴氏さんが上だ。


「旅をすることや他国を見ることは、それだけで得るものがあるものです。良きものが見られると思いますよ」


 義信君と信長さんと顔を見合わせて当たり障りのない返事をしておく。


 別にオレたちに知恵を出せと言っているわけじゃないしね。義賢さんが苦労しそうだけど、新しい御所の建設などが始まるとこちらの力を理解するだろう。


 関東で北条相手に蜂起するよりよほどマシだろうね。




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書籍版戦国時代に宇宙要塞でやって来ました。

第十巻まで発売中です。

― 新着の感想 ―
[良い点] 当主を降りた隠居の気楽さ、と言うのは簡単だけれど、確と世の移り変わりを見定めて、家のため子孫の為に何をか成さんという覚悟は爽やかに感じますね。 [気になる点] 関東公方家って結構宗家の近縁…
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