狗神16
「透…よおく聞いておけ
何れお前の覚悟に関わってくる話になるやも知れん…」
と彼女は前置きした。
「この地域には一国一城のお触れが出る前には支城があっての…
この辺りはお前の知るが如く広大な田んぼが広がっておる。
米は当時の流通の中心で有った事は解るな?」
「それはよく承知してるよ。」
「だからかのう?
戦国の頃はその支城は八度も落城する激戦地であった。
やがて…徳川の時代が訪れ平和な時代が訪れようとも
重要な土地柄に相違は無い一見平和になり戦も無くなったのじゃが?
平和ゆえに
出世争いは熾烈を極め…
陰湿極まりない
策謀を巡らす様になった。
足許を掬おうとするものが現れれば
今までの地位に居たものは足許を掬われ無い様に策謀を巡らすものなのだ。」
確かにそうだ…
平和で或以上…
表立った工作など…己の首を絞めかねない。
「そこで…
領主野村大学はのしあがって来る同輩を蹴落とす為に呪詛を思い付いた。
呪詛とはのう…
本来偉いお坊さんが行うものじゃ…
じゃかのう…
その坊主どもは口々に
お止めなさるが良かろうと存じると
まるで口裏を合わせた様に諫める。
何故じゃと問えば
口裏を合わす様に因果が振りかかりますぞ!!
と申すもので
大学は今一度思案した。
そこで…法力等を使わずに相手を呪詛する方法は無いものかと
我が父…
永井忠太郎へ白羽の矢がたったのじゃ…」
永井忠太郎…この少女の父親…
まだまだ…この少女の語る狗神使いの始まりの物語は驚愕の事実が隠されているかも知れないと
僕は両の拳を膝の上で握りしめた。
次回もお楽しみに。




