プロローグ
新たなる恐怖を御堪能下さい。
母が鬼籍に入り…
僕は、母の遺骨を納骨しなければならなくなった。
別に末っ子の僕が納骨の名義人にならなくてもいいのだが…
一番上の兄は酒の飲みすぎで頓死してしまい。
二番目の兄は母と仲の悪い嫁の尻に敷かれ…
身動きが取れない。
忌々しくはあるのだが…
母の納骨の書類上の名義人になることになってしまった。
別に…
納骨代の五万円が惜しい訳ではない。
ただ、納骨の名義人になるには僕と母の続き柄を
証明しなければならず…
何度繰り返し僕の戸籍抄本だか謄本を手に取り
目を落とす度、怒りともやるせなさともどちらとも言えない感情に包まれる。
頓死した兄の続き柄には
長男…と記され
二番目の兄には次男と記されている。
姉には長女の記入がされ
僕の記入欄には、只の男とだけ記入してある。
そう…
僕は非摘出児…所謂鬼子と言う奴だ…
母は…
最初の結婚相手を早くに無くし
子供三人を女で一つで育てた。
しかし…重なる苦労に耐えかねて、少々金回りの良い男を繋ぎ止める為に…
僕を産んだのだ。
しかし…相手には既に妻子は存在し…
ならば…相手に認知して貰えれば済むのだが…
そんなには簡単には世の中は思い通りにはならない。
別に僕にしても…
認知されて…父方の名前を名乗る事は本意では無いが
母にとって、認知を迫れない事実が明らかになる。
時代にそぐわないとは思うのだが
父方の一族の中で父は本家の長男であり
かつ…お金を頂いて呪いをかける呪術師の家系であった。
父の地元では…
父の一族は忌み嫌われ
表に出れば、何処からともなく、石をぶつけられる様な家系だった。
何故に石をぶつけられる程に嫌われているのか?
それは…
呪術は何でもこなすらしいが…
相手を確実に破滅させる呪術をもっとも…
得意とするらしい。
呪術を生業とする家系の名を喩え不義の子とは言え
それは…あまりにも不憫であるために、母は、僕を戸籍上の鬼子としてでも
名乗らせる訳には行かなかったのだろう。
しかし…皮肉な事に
呪術に関しては、修行云々ではなく…
素質らしい。
そして…
僕はその…呪術師の才能を強く受け継いだらしい。
そして…父も亡くなり
女性しか居ない父方の家は僕に白羽の矢を立て
僕を跡取りに指名した。
戸籍上の鬼子と呼ばれる事に辟易していた僕は
渋々ながら
鬼子と呼ばれる事から逃れる様に
父方の養子に入り
永井と名字を変えた。
次回もお楽しみに




