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第十六話・四(最終) 寺田屋血戦 ― 喰い合う命 ―

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第十六話・四(最終)


寺田屋血戦 ― 喰い合う命 ―


夜は、血と火薬の匂いで濁っていた。


庭先――

木々が震え、地面が抉れ、空気が裂ける。


陽奈がいた。


黒装束の下に隠しきれない筋肉。

その巨体が、一歩踏み出すたびに地面が沈む。


――ガトリングガン。


片手で持ち、もう片手で回転レバーを回す。


ギギギギギギギ――!!


次の瞬間。


ドドドドドドドドド!!!


鉄の嵐。


捕り方たちが吹き飛び、瓦が砕け、壁が裂ける。


陽奈

「来いよォォォ!!全部まとめてかかってこい!!」


笑っていた。


戦場でしか生きられない者の笑み。



---


屋内――


岡田以蔵は、膝をついていた。


息が荒い。

視界が揺れる。


刀は、まだ握っている。


だが――


岡田以蔵

「……もう……もたん……」


血が畳に滴る。



---


その瞬間。


空気が変わる。


音が消えた。


庭先から――


一人、歩いてくる。


静かに。


ゆっくりと。


沖田総司。


その目は、澄み切っている。


戦場にいるのに、まるで日常のように。


沖田総司

「……強いですね、あの人は」


視線は――陽奈。



---


陽奈、気づく。


振り向く。


ガトリングの砲口を向ける。


陽奈

「……新選組か」


沖田は笑う。


沖田総司

「はい。あなたを止めに来ました」


陽奈

「止める?」


一歩、踏み出す。


陽奈

「止められるなら、やってみろ」


――回す。


ガトリングが唸る。


ドドドドドドド!!!




火薬の匂いが、喉に張り付く。


庭――


陽奈は、もう立っているだけで限界だった。


肩で息をする。

腕が震える。


それでも――回す。


ギギギギギ……


ガトリングが唸る。


ドドドドドドド!!!


弾丸が庭石を砕き、塀を削り、逃げ道へ続く廊下を――“壊す”。


階段の支柱が弾け飛ぶ。


ドンッ!!


木材が崩れ、通路が塞がる。


捕り方が悲鳴を上げる。


――これで、一直線には来れない。


陽奈は理解している。


「止める」ことなんて出来ない。


相手は――沖田。



---


足音。


軽い。


静かすぎる。


煙の向こうから、現れる。


沖田総司


血も埃も、寄せ付けない顔。


沖田は、壊れた階段を一瞥する。


そして――


踏み込んだ。


崩れた梁を蹴り、壁を踏み、空中を滑るように距離を詰める。


弾丸の間を、縫う。


ドドドドド!!


陽奈、歯を食いしばる。


狙う。


外れる。


――速すぎる。


沖田の羽織の袖が、一瞬、弾けた。


かすった。


それだけ。


沖田の目が、わずかに細くなる。


沖田総司

「……いいですね」


次の瞬間――


もう、目の前にいる。



---


陽奈、撃つのをやめない。


距離ゼロ。


引き金を引き続ける。


ドドドドドドド!!


自分ごと撃つ距離。


沖田の動きが、ほんの一瞬、鈍る。


――その一瞬でいい。


陽奈は足を踏み出す。


突っ込む。


ガトリングを捨てない。


そのまま――体当たり。


ドンッ!!!


沖田を巻き込み、倒れ込む。


畳ではない。

瓦礫の上。


衝撃で、息が詰まる。



---


沖田、すぐに起き上がる。


速い。


刀が振り下ろされる。


――遅い。


陽奈の腕が、動く。


ガトリングの銃身を横に振る。


ガンッ!!


刀と鉄がぶつかる。


火花。


陽奈、笑う。


血を吐きながら。


声は出さない。


ただ、歯を見せる。



---


沖田、斬る。


一閃。


深い。


陽奈の身体が、ぐらつく。


それでも――


倒れない。


両足で踏ん張る。


そして。


ガトリングの銃身を、沖田の肩に押し当てる。


距離、ゼロ。


引き金。


――回す。


ギギギギギ……


弾は、もう残っていない。


空回りの音。


だが。


沖田の視線が、一瞬、そちらに引かれる。


その刹那。


陽奈の膝が、沖田の腹に入る。


ドンッ!!


体勢が崩れる。


ほんの一瞬。



---


陽奈は、その一瞬で振り返る。


背後――


廊下。


まだ崩しきれていない柱が一本。


そこへ向けて――最後の一掃射。


残っていた数発。


ドドド!!


柱が裂ける。


ミシ……ッ


――崩れる。


廊下が落ちる。


完全に道が潰れる。


これで――


すぐには、追えない。



---


陽奈、力が抜ける。


膝をつく。


視界が白い。


呼吸が浅い。


立てない。



---


沖田は、もう立て直している。


歩いてくる。


迷いがない。


止まらない。



---


陽奈、顔を上げる。


笑う。


声は出さない。


ただ、笑う。


血で濡れた歯。



---


沖田、間合いに入る。


一瞬、目が合う。


沖田総司

「……」


何も言わない。


そして――


斬る。



---


静寂。



---


陽奈の身体が、ゆっくりと倒れる。


ガトリングが手から離れ、転がる。


ゴトン……



---


沖田は、振り返らない。


崩れた廊下を見る。


追えない。


わかっている。


ほんの数分。


だが――


逃げ切るには、十分な時間。



---


沖田総司

「……やられましたね」


小さく、息を吐く。





岡田以蔵、歯を食いしばる。


「……チッ……」


それだけ。


夜叉丸

「陽奈!見事だ!」

---


キキの手が、震えている。


だが、止まらない。



---


朧、舌打ち。


「……忘れないぞ!」


それだけ言う。



---


寺田屋の火は、まだ燃えている。


煙が空へ昇る。


その中に――


陽奈の戦いは、消えた。



---


だが。


沖田の袖に残った、裂け目。


崩れた廊下。


失われた時間。


それが――証明している。



---


あの忍は。


“死んで勝った”。




因縁が、生まれた。




この技のリアルな動きはYouTubeで公開中!


「大友宗麟の忍者」

https://www.youtube.com/@%E5%BF%8D%E8%80%85%E3%81%AE%E3%81%8B%E3%81%A8%E3%81%86%E3%81%95%E3%82%93

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