就活生無念・・・からの
ふと思いついたので書きました。
もう一つの方の作品で行き詰ってるので息抜きに書いてます。
こちらも更新頻度は特に決めず、書けたら投稿と言った形にしたいと思います。
「ああ、もうやだ」
夜の10時過ぎ、リクルートスーツ姿の青年が溜息をつく。
8月、世間では「夏休み、学生羨ましい」と言われている季節だが、彼の表情には何処にもそんな雰囲気はない。
「なんでちゃんと勉強しとかなかったんだろう」
彼は大学4年生。
彼は高校時代から公務員志望であった。
周囲にもその事を吹聴して来た。
大学に合格した際も、「よし、これから勉強して公務員になるぞ!」と意気込んでいた。
だが、彼の大学生活はプラン通りに行くことは無かった。
尻込みして何処の部活・サークルにも所属せず、講義もレポートと試験勉強しか碌にしなかった。
英語の勉強をしたり、資格を取ることもせず、日がな一日ボーっと過ごしていた。
親に頼んで申し込んだ公務員講座も気付けば途中から行かなくなっていた。
そんな彼も4年生になり、卒業そして就職の2文字がちらつき始める。
ここで彼が「公務員試験の為に1年留年させてほしい」と親に頭を下げる強い覚悟を持てればまた違うのだろうが、残念なことにそこまでの意志は彼にはなかった。結局はそこまで強い思いがなかったということなのだ。そして彼は流されやすい男だった。
だから、彼は今になって現在リクルートスーツを着て就職活動をしている。
今日、彼は県外の企業の説明会に参加していた。
そんな彼の1日は散々であった。
特急を予約していたが、台風の影響で運休。
普通列車は運行していたので、それに乗り説明会に向かう羽目に。
早めに家を出ていたのもあって、何とか時間ぎりぎりに会場に到着するが、朝から何も食べていなかった為、腹の音を抑えるのに必死になり説明など何一つ頭に入って来なかった。
そして帰りは台風による倒木や強風の影響で行きの2倍の時間を掛けて漸く地元の駅に着いた。
今は駅から出るバスで自身の借りているアパート近くの停留所まで行き、そこから歩いて帰る所だった。
「今から就職浪人させてくれなんて言えないよなぁ」
ウダウダと考えている彼がふと視線を足元から上げると、道路を挟んだ向かいの歩道に猫がいた。
その猫は近所で飼われている猫でいつも放し飼いにされている。
青年は時々、この猫を構っていた。餌をいつもあげる訳ではない。寄って来た時に偶にあげたり、話し掛けて撫でるぐらいの事だった。
だが、その触れ合いに自分の心が何度助けられたか分からない。
しかし、彼は苛立っていた。
「アイツは良いよなぁ、勉強も労働も何にも考えなくて良いんだから」
何処にも向け様のない不安・弱さを呪詛が如く呟く。
青年の愚かで繊細な精神は焼き切れようとしていた。
そんな彼に気付いたのか猫が道路を横断して来た。
BUWWWWWWWN
その時彼の視界の右隅から猛スピードで1台の自動車が走り込んで来る。
明らかにそのスピードは法定速度をオーバーしている。
「おい!早く来い!」
だが、猫は道路の真ん中で固まってしまった。
視線は自分に向かって来る光に奪われている。
「クソッ!」
その時、青年は自然と駆け出していた。
何故、こんな反応が出来たのか本人にも分からない。
兎に角、動かなければという思いが彼を突き動かしていた。
そして猫を拾い上げ、彼は猫を来た道に向けて力いっぱい放った。
P、PWWWW!!
クラクションが鳴り、それに大きな衝突音が続く。
その後、動かなくなった青年の顔を舐め続ける1匹の猫の姿だけがそこにあった。
猫の顔についた青年の血はまるで涙の様な模様となって、曇っていた空はいつの間にか月の明かりが差していた。
「にゃー、にゃー」
猫は「起きて、起きて」と呼び掛ける。
だが、青年が立ち上がることは無い。
しかし次の瞬間、青年の下から光が発せられる。
その光は上から見ると何やら陣が描かれているのが分かる。
そこからとてつもない光が生じる。
発光が終わるとそこには青年の死体だけが残されていた。
この日1人の青年の魂と1匹の猫が地球上から消えた。
「あ、またやりやがったな!ったく、おもしrゲフンゲフン、面倒なことを」
そこには少年がいた。
彼は何かに御立腹なようである。
若干楽しげでもあるが。
「ん?これは……ちょっと介入っと」
彼の肘から先が突然消えたかと思うと、空間の先から、まるでポケットから鍵を取り出すかのように、その手には何かを掴み取っていた。
手の中の物を今一度確認した少年の機嫌は良くなっている。
「これは面白いね。はてさて、どうしようかなぁ」
その手にはカプセルのような物が握られており、その中には小さな猫と火の玉らしきものが入っている。
「ま、とりあえず出してみよう!そうしよう!」
何故かテンションが上がっている少年。
待ち切れないと言った様子でカプセルを右に回して開ける。
するとボン!という音と共に猫が現れた。そしてその横には青い火の玉が浮かんでいる。
「・・・・・・え?ここ何処?」
「あいええええええ!火の玉が喋ったああああああ!?」
少年は全て知っている。
だが、悪乗りする。その理由は全てを知っているからこそ。
彼がこの様な態度を取ればこの魂がどの様な態度を取るか分かっていたから。
「ひのたま?えっ?あれ?・・・・・・えーーーーーーーー!?」
自分が人の形をしていないことに気付いたようだった。
慌てているのか火の玉は激しく揺れている。
「ぷっ、ぐふふ。良いリアクション。くくく」
この少年あまりお腹は白くない。
いや寧ろ白い所など何処にも見当たらない。
1人腹を抱えて笑っていると火の玉が気付いたようだ。
「あ、あのー君もしかしてワザと?て言うか何か知ってるの?」
「あー面白かった。吃驚させちゃったね。ごめんよ」
その言葉には謝意など欠片も見当たらない。
少年は一回大きく息を吸って落ち着くと質問に答える。
「ふぅー、君がそうなった経緯も何故ここにいるのかもどんな人生を歩んできたのかも何でも知ってるよ?で、聴きたいかい?」
その表情は先程までと同じニヤケ顔である。
だが、その言葉遣い、雰囲気に火の玉(青年)は委縮してしまう。
それでも、現状の確認は必須だと分かっているので丁寧な口調で年下の男の子にお願いする。
「え、えっと、お、お願いします!」
「堅いなぁ。リラックスしよう!これは就職活動じゃないんだからさ!もっと気楽で良いんだよ?」
その言葉に青年(火の玉)は揺れる。
この敏感な反応に彼がどれだけ就活にナーバスになっていたかが窺える。
「あ、あの、自分は死んだんですよね?」
青年は確信したようにゆっくりと喋る。
そう、自分は車に轢かれたのだ。そこからの記憶がなく、今自分は火の玉になっている。
死んだと自覚するには充分と言えば充分だろう。
「お、受け入れるの速いね?いや、諦めが速いのかな?まぁ、どっちでもいっか。そう、確かに君は死んだよ。ボンボンの坊ちゃんがぶっ飛ばしてた高級車に撥ねられてね」
(やっぱりそうか。というか撥ねた人の情報まで。この子一言多いなぁ。何か接しにくいなぁ)
「ふふふ、悪いね。僕はいつもこんな感じなんだ」
「えっ!?」
「くくく、やっぱり君反応が良いね。擦れてない。まぁ悪く言えば単純ってことだけど」
心の呟きに返事を受けて青年は心底驚いている。
なので若干馬鹿にされている事にも気付かない。
この様にハプニングに弱いのも彼のウィークポイントの一つであった。
そんな彼を引き戻したのは
「にゃーお」
1匹の猫であった。
「あ、お前!!無事だったのか!」
「にゃー」
「そうか、良かったぁ~」
そう言っていつもの様に撫でようとするが、彼には今火の玉である。当然、手も足もない。
それに気付くとすこし悲しくなった。
そして火の玉青年は何故死んだ自分と同じ場所にこの猫がいるのかという矛盾には気付けていない。
「にゃーお」と猫は|火の玉(青年)に近づく。
猫自身も撫でてもらいたい様である。
「・・・仲が良いようで何よりだ。じゃあ、ちょっとサービスしてあげよう」
そして少年は火の玉に向けて手をかざす。
えっ?と言う暇もなく光に覆われ気付くと青年はすっぽんぽんで立っていた。元の容姿のままで。
「まぶしい……って手が!足も!」
青年テンションだだ上がりである。
すっぽんぽんな所にはまだ頭が追い付かないようである。
「おーい。戻ってこーい。駄目だこりゃ。めんどくさいし、待つとするかな」
自分で吃驚させておいて薄情な少年である。
それから少しして青年は落ち着きを取り戻した。
「ごめんなさい。吃驚しちゃって」
完全に敬語である。
二十歳を過ぎたすっぽんぽんな男性が見た目小学生な少年に謝罪。完全に事案である。
「いいよ。それよりお話しようか。君のこれからについてもね?」
青年は気を引き締める。すっぽんぽんで




