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36話〜40話

第36話 目の魔導書


「ズズズ…。」

黒川さんが目の魔導書の横でカップラーメンを食べている。

「あっ黒川さん!目の魔導書のそばでラーメン食べないで下さい!」

「ズズズ…。」

「ほら、目の魔導書が悲しい目してますよ!」

ラーメンの汁が飛んで目の魔導書は悲しい目をしている…。


目の魔導書が開くようになってからしばらく経ったが、内容は本社でもまったく解読できていなかった。

「目の魔導書のことなんだけど、全然わからないね…。」

「本社でもわからないんですか?」

「文字も魔法陣もまったく過去の資料にないんだって…。下手したら別世界の魔導書かもしれないって…。」

「そうなんですか…。そのまま異世界課で管理ですかね?」

「そうだね。ただ、今度中身を直接見たいって偉い魔法使いを出張で寄越すって。」

目の魔導書はしばらく異世界課の棚にこのまま立て掛けられるようだ。


『目の魔導書でわかってること』

・黒川さんを常に警戒しているが、読むことを止められない。

・課長はたまにしか開けない。

・佐藤が手に取ったり、陰干しをすると嬉しそう。



第37話 新アイテム


課長のデスクの上に、5×5のルービックキューブのようなものが置いてある。

「いやー、向こうから送られてきたんだけどこういうパズル系は苦手でね…。佐藤くんどう?」

「僕も3×3のも揃えられないです…。」


黒川さんがスッと手を上げる。

「私、得意です。」

そういうと黒川さんは全ての面を見たあと、すごい早さで手を動かしはじめた。

「カチャカチャカチャカチャ…。」

みるみる内に絵が揃い始め、

「できました。」

すべての絵が揃った。


「おぉ流石黒川さん!…ん?」

箱の絵の継ぎ目が消え、上部分がスライドして開いた。

「中に何か入ってるね…。これは!」

中には5色の宝石が付いた腕輪が入っていた。

「能力向上の腕輪だ!全ステータスが上がるレアアイテムだよ!ちょうどよかったね佐藤くん。」

「貰っていいんですか?ありがとうございます!」

「今度のボーナス、向こうの査定基準で出そうと思ってるからその時改めてステータス見て貰うね。」

課長が不穏なことを言ってるが、佐藤は聞き逃した。



第38話 向こうの出張事情


「明日、向こうから目の魔導書を見に魔術師が来るから。よろしくね。」

「わかりました。どれぐらいこっちにいるんですか?」

「今回は1泊2日だね。こっちに長くいるのも経費(魔力)かかるから。」

「そんなに経費使うんですか?」

「こっちに1人送る経費溜めるのに数カ月かかるからね。それが切れると強制的に向こうに戻るし。私も1回向こうに戻った時も、数日でこっちに戻ったよ。」

やっぱり気軽には行き来できないようだ。

「こっちの世界との交流もここ10年ぐらいだからね。」

「どうやって今みたいにアイテム送ったり、FAXのやり取りできるようになったんですか?」

「私が向こうに戻った時に、位置情報が分かる魔法を私にかけてこっちの座標を割り出したみたい。」

GPSみたいなものか…。


「こっちに課長以前にも転生者いると思いますけど、交流はじまったの本当に最近なんですね。」

「転生自体向こうでもあんま確認できてないからね…。私もこっちで転生者には会ったことないしね。」

向こうの人に会うのも王様以来だ。

お土産はお饅頭で大丈夫かな?



第39話 魔術師マリーン


「えぇこちらが、目の魔導書を見に来た魔術師のマリーンさんです。」

課長の横にトンガリ帽子にローブ、白い長いヒゲで丸眼鏡に杖を持った如何にも魔術師が立っていた。

「私が魔術師のマリーンじゃ。長年開かなかった魔導書が開いたと聞いて無理を言って見に来たのじゃ。早速…ん?」

黒川さんがコーヒー片手に目の魔導書を読んでいる。

「…彼女は魔導書を読めてるのかね?」

「さぁ…。」

「黒川さん、ちょっと目の魔導書借りていいかな?」

「…ん」

漫画の貸し借りか。


「では…。ん?開かん…。」

魔導書は目を閉じ、開かない。

「あぁ駄目なパターンですね。私もたまにこうなって開かなくなるんですよ。」

「なんじゃと?!わざわざ内容を確認するために来たんじゃ!魔導書よ頼む!少しでいいから見させてくれ!」

偉い人が土下座をしている…。

魔導書はマリーンさんと目も合わせない。

「頼む。…ちょっとだけ!ちょっとだけでいいんじゃ!ほんの1ページだけでも…!(ハァハァ)」

血走った目でマリーンさんが明らかに駄目な頼み方をしている。

「うわぁ…」

黒川さんもドン引きしてる。


その時、魔導書の目が赤く開き、マリーンさんに向かって赤い光が放たれた。

「ぐあああぁぁぁ!!!」

光を浴びたマリーンさんはスッと消えてしまった。

目の魔導書はプンプンしてる。

「あれ?!マリーンさん消えちゃいましたよ?!大丈夫なんですか?!」

「…どうしようかね…。とりあえず本社に報告しとくよ。」

何事もなかったかように課長は本社にFAXを送った。

お土産に用意したお饅頭はみんなで食べた。


翌日

「マリーンさん大丈夫だったよ。向こうに強制的に戻ってたみたい。機会があったらまた来るって。」

きっとマリーンさんが目の魔導書の中身をみることはないだろう。



第40話 課長の出張


「佐藤くん、来週出張で3日間ぐらい留守にするからよろしくね。」

「どこに行かれるんですか?」

「新しく九州に営業所置こうとしてるでしょ?場所の視察を兼ねて王様へ渡す九州のお土産買ってくるよ。」

前に支社長が言ってたやつか。


「わかりました。課長が出張中にやっておくことありますか?」

「ちょうどコラムの提出日あるから、黒川さんに書いて貰って広報に連携してね。」

黒川さんは…1人ジェンガをしてる。

「黒川さんと2人って今までないから…。大丈夫ですかね…?」

「大丈夫!いつも提出日前には終わってるし、大人しいから!ねっ黒川さん?」

「はい」

黒川さんの少しニヤリとした笑顔が不安を助長した。

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