46話〜50話
第46話 向こうの食べ物
「コンコン」
「はーい」
異世界課のドアが叩かれて、佐藤が出る。
「異世界課宛に荷物です。」
「…ありがとうございます。」
ひさびさに向こうの世界からクール便が届いた。
「この前のお土産のお返しだね。中身は…」
開けて見ると、カラフルなケーキが入っていた。
ところどころからカエルのような足が出ているが…。
「何で向こうの食べ物は、ちょっと生々しいんですか…。」
「向こうの食材は魔物とか、魔がつくものばっかだから…。あと、食自体が日本みたく発達してないね。私も向こうでは魔物とか生で食べてたから。」
異世界は野蛮だ…。
「私が食べて見るね。」
課長は躊躇いがない。
「ムニュ…。普通に美味しいよ。中の具材がアクセントになってて。」
「パク…ムニュ…おいしい。」
珍しく黒川さんが食べた!
「黒川さんがおいしいって言うなら…。パク」
バタン!佐藤は味を感じる前にまた倒れた。
「…佐藤くんは向こうの食べ物食べない方がいいね。」
「ムニュムニュ…足がおいしい」
黒川さんは黙々とケーキを食べている。
今回、佐藤は翌日には普通に出社してきた。
第47話 拾い猫
黒川さんが部屋の隅で何かゴソゴソしてる。
「黒川さん…何してるんですか?」
「…拾った。」
「にゃー」
そこには黒い子猫がいた。
「職場に猫は流石に…ってこの猫、羽が生えてますよ!」
黒い子猫の背中には鳥の羽が生えていた。
「猫の妖精のケット・シーだね。こっちの世界にもいるんだね。」
「羽が生えた猫なんていませんよ!…どうしましょう?」
「向こうの世界とのやりとりしてる時に、紛れ込んだのかもしれないね…。とりあえず、天海さんには事情説明しとくよ!」
異世界課に新しい仲間(?)が加わった。
「にゃー」
「…シーちゃん」
黒川さんも名前を決めたようだ。
第48話 シーちゃん
ケット・シーのシーちゃんは元気に飛び回ったり、黒川さんの膝の上で寝たりとのんびり過ごしている。
「シーちゃん、意外と大人しいですね。」
「向こうの世界でもケット・シーは魔物じゃなくて、妖精だからね。住み着いた家に幸運をもたらすとか言われてるし。」
ここは家じゃなく、会社だが…。
シーちゃんは、人懐っこく、トイレもちゃんと覚えてくれた。
ただ困ったことが2つ…。
目の魔導書で爪とぎしようとすることと、魔素がない食べ物を食べない。
「…!」
目の魔導書が慌てたように目から光を放つ。
「シーちゃん!魔導書で爪とぎしちゃダメ!」
「にゃー」
爪とぎされて魔導書はしくしく泣いている。
次の日には、爪とぎの跡はなくなるが…。
「シーちゃん。キャットフード食べないんですよね…。」
「向こうの生き物だから、魔素がないと駄目みたいだね。まぁ、向こうから送ってきた食べ物がはけるから助かるよ!」
「シーちゃん、ご飯ですよー」
「にゃー」
「いい子、いい子…。ん?」
佐藤はシーちゃんにご飯を上げてる時に、気が付いてしまった…。
世話をしてるのは全部自分だと…。
「にゃー」
シーちゃんは佐藤に気持ちよさそうに顔を擦り付ける。
「まぁ…いいか。」
佐藤はシーちゃんを撫でながら思った。
第49話 佐藤の休日
朝
佐藤は少し遅めに起きて朝食。
「…食パン買わなきゃ」
洗濯、掃除を軽くして、日用品の買物へ。
「また、値上がりか…。」
昼
家で昼食に炒飯を作る。
「チャーシュー入れるとやっぱうまいな。」
繁華街に行ってウィンドウショッピング。
「高い炊飯器ってどうなんだ…?やっぱ同じ米でも違うのかな…。」
夜
友人と飲み会
「「カンパーイ」」
ビールを飲みながら、焼鳥に舌鼓。
「佐藤。この前、変な部署に異動したって言ってたけど、大丈夫か?」
「…うーん。」
少し考える。
「意外と楽しんでるよ。たまに、ワイシャツ破れたり、倒れるけど笑」
「それ、大丈夫か?!」
佐藤は友人と楽しい時間を過ごした。
第50話 課長の休日
朝
「パパー。朝だよー!」
ゲイルを娘が起こす。
「ミカ、おはよー。今日も元気だなー!」
家族3人で朝食をすませ、庭の手入れ。
趣味の園芸に精を出す。
「今年も綺麗に咲いてくれるかな?」
昼
家族でファミレスへ。
「ミカ、そのハンバーグ美味しそうだなー。パパに一口ちょうだい!」
「ヤダー」
食事後、池のある公園を散策。
「ほら、カモさんがいっぱいいるよー。」
「カモさん、こっち来るかな?」
「呼んでみたらどうかな?」
「カモさーん!こっち来てー!」
娘を見ながら穏やかに笑う。
夜
「今日はミカの好きなカレーよ!」
「やったー!」
家族でカレーを食べ、リビングでテレビを見る。
その後、娘とお風呂に入り、寝かしつけ。
「おつかれさま、あなた。今日はすんなり寝たわね。」
妻がコーヒーを出してくれる。
「公園でよく遊んでたからね。」
コーヒーを飲みながら、王都の情勢が書かれた書類に目を通す。
ゲイルの夜は静かに更けていく。




