第5話 現実と夢幻
就職活動の為暫く書けませんでした。
申し訳ありません。
3階層へ続く階段から昇って来たのは傷だらけの冒険者たち。
中には片腕が在り得ない方向に捻じ曲がっている者も居り、その光景に思わず口元を押さえて吐き気を堪える。
何があったのか判らないが彼らはナニカから命からがら逃げてきたのだろう、近寄ってきた銀子さんと悠人さんを視界に納めると気を抜いたのか崩れ落ちるように座り込んだ。
「何があったの!?」
「…ジャ…ジャイアントオークが…2匹…上の階層まで…」
ジャイアントオーク、豚に酷似した頭部に平均全長4メートル程の巨体を持つモンスターで手に持った棍棒を力の限り振り回して攻撃してくる。
彼らは基本的に10階層から15階層をうろつくモンスターなのだが、何かしらの理由で上の階層まで昇ってきたらしい。
知能は低く、食欲旺盛な為、餌を求めて昇ってきたと考えられたが原因等わかるはずもなく、エリスさんが怪我人を回復魔法で治療して詳しい話を聞いている。
まだ治療途中の為、余りにも多い血の量や、怪我のグロテスクさから眼を逸らす為、ジャイアントオークの方に視線を戻す。
悠人さんと銀子さんの拳でボコボコにされているジャイアントオーク。
悲鳴を上げて絶対強者の二人から逃げるように棍棒を振り回している彼らにどちらが化け物か判らなくなる光景にこめかみを押さえる。
命からがら逃げてきた冒険者たちは目の前の光景に唖然としており、僕はただただ溜め息を吐くしかなかった。
ギルドにジャイアントオークの件を報告し、銀子さん達と家路に着く。
辺りは既に暗く、近くの酒場では冒険者たちの笑い声や喧嘩の音、野次の声が聞こえてくる。
少し視線を外せば広場では恋人達が愛を語らっているのだろうベンチでイチャイチャしているのが見える。もっげーろ。
ふと空を見上げる。
前の世界では見る事の無かった二つ月。
赤い月と青い月が重なるように浮かんでいる姿につくづくこの世界は異世界なのだと思い知らされる。
此方に来るまではただの学生だった自分が今ではこうして異世界で助けられて喫茶店のマスターを手伝っているという事に未だに信じられないでいるのである。
ふとした拍子に気が付くと自分の部屋で寝ていてこの世界での事が夢だったんじゃないかと思ってしまう。
そしてこれが夢だったら良かったのに、とそんな事を考えてる自分に気付いて思わず苦笑してしまう。
「…なぁにクスクス笑ってるのよ?」
そんな僕に気付いた銀子さんがからかう様に肘で小突いてくる。
僕より頭一つ小さい身長なのに何倍も大きいジャイアントオークを拳一つで黙らせてしまう事実が僕の夢なんじゃないかという想いに拍車がかかる。
しかし今こうして話している彼女は正しく現実にいる人物で、こうして触れ合えている事に何処か安心してしまう自分が居た。
「いえ、やっぱり銀子さんは銀子さんだなと。」
「何よそれぇ。」
残して来た物は多いけれども、なんとなく…そう、なんとなくだけれどもこれからこの世界で頑張って行こう。と思える日だった。
戦闘描写無理ですorz
慣れるまで戦闘描写書きません。